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【保】迷い人 − 旧・小説投稿所A
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【保】迷い人

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シィナの部屋にハリネズミ…のような髪型になった僕が食事を取っていた…あのあと髪を引っ張られるお仕置きをされ静かに食事を食べている…

『シィナ…本当にすまない…]
『……]

シィナはほっぺを膨らましたまま黙っていた…

『…ご馳走様』

食べ終えた食器を台所に戻す…そして台所の釜の下から木炭のかけらを取れるだけ皮袋に採取した…

『…?何で炭を拾ってるの?』
『これから…ガルズさんの所で武器を作った後に火の山に向かうんだ…』

そう呟いた瞬間シィナの顔色が驚いた表情になる…

『え…!?なんであそこに…』
『あそこで硫黄という素材が武器に必要で…それがなければこの武器は使えないんだ…』

皮の袋から作った銃…タイプはソードオフショットガン(銃身のない撃ちやすい猟銃)を取り出す

『これ…何なの?』
『これは銃と言って僕のいた世界ではこんな武器が出回ってたんだ…』

前の世界…日本では空気で撃ちだす模擬銃があったが火薬を打ち出す本物を何度か見たことがある…

『孤人さん…火の山にどうしても行くの…?あそこには死霊にやられた人もいるし…火の守護鳥なんかに出会ったら…』

死霊にやられた人…ゾンビか?だが…火の守護鳥というのが気になるが…硫黄は少量しかないから…取りに行くしかない…

『どうしても行かなきゃいけない…じゃないとここは守れない…』
『…死なないでね…あっこれをもっていって…』

シィナは自分の首に下げていたメダルのようなアクセサリーを渡してくれた…

『これは…?』
『私のお守り…大事にしてね…』

不安そうな目線で僕を見つめている…でも僕は笑顔のままメダルを首に下げてシィナの頭を撫でた…

『あぁ…必ず帰ってくる…約束だ…』
『うん…!』

そのまま山鉈と銃を抱えて玄関のドアを潜り抜けガルズさんの鍛冶屋へ向かう前に…シィナの家のトイレの下の土から蓄積していた硝酸カリウムらしい物を採取していた…

『坊主!遅かったな!何していた?』

鍛冶屋に入ると木箱一杯に入った細かい鉄の弾に目が入った…

『すごいですね…ガルズさん…』
『ハハハ!これくらい朝飯前だ!それで坊主!火薬っていうのはどうやって作るんだ…?』

両手に抱えたふたつの袋をガルズさんの作業机の上に置いた…

『まずこの木炭をすりつぶします…それからこの硝酸カリウムを乾かして粉状にしてください…』
『なんだこの匂いは…便所みてぇだな…』

僕は黙々とすり鉢で木炭をすり潰し隣で鼻を押さえながら薪で炊いた火の熱風で硝酸カリウムを粉状にしていた…

『坊主?これぐらいでいいか?』』
『それくらいあればいいですね…こちらも大丈夫です』

素材がそろったところで僕は調合を始めた…
一定の量にした粉状の木炭と粉状の硝酸カリウムを混ぜて…皮を張った容器に混ぜた混合物を入れ硝酸カリウムを加えた…

『ガルズさん…この木の棒で強く混ぜてください…』
『任せろ!』

ガルズさんは力強く容器の中の混合物を混ぜていく…その間に僕は厚紙で紙の薬莢を作り始める…

『坊主?かなり変な匂いがするがこれでいいか?』
『あっ…それで止めてください…』

鍛冶屋の中に火薬特有の匂いが広がる…
次に…混ざった混合物を綿布で包んで別の机に置かれていた鉄板を借りて火薬を包んだ綿布を挟み圧搾していく…

『坊主は…どこでそんな技術を学んだんだ?』
『暇つぶしに…』

昔から暇なときにパソコンで見た情報を頼りに様々なことを実行していた…鍵開や火のおこし方…果てはこんな火薬作り…

『後はこの圧搾した火薬を乾燥させれば…完成です』

乾燥させた鍋の中で一定以上まで乾燥させている間に弾を入れる皮のベルトを縫い始める…

『坊主は…本当に何者だ?』
『ただの人間ですよ…』

ある程度時間がたった所で鍋の中には黒色火薬が出来上がっていた…

『これを…ひとつひとつ実包していきます…』

事前に作った雷管と厚紙で作ったショットシェルに火薬を組み合わせ…一発の散弾ができる…

『ちょっと…的になる物はありますか…?』
『この古びた鉄板でいいぞ?』

鍛冶屋にあったぼろぼろの鉄板を的に5mほど離れた位置に立ち作った銃に弾を装填…

『離れててください…』

ガルズさんが離れたのを確認すると僕は引き金を引いた…

ズドォン…!

爆音と一緒に…鉄板は穴だらけになり後ろの壁にも多数の穴が開いていた…

『これなら使える…』
『坊主…その武器は恐ろしいな…』

耳を押さえていたガルズさんはそう言っていたら…真後ろのドアから何だ何だと言わんばかりに獣人達が姿を現した…



<2011/11/24 00:08 狐人>消しゴム
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