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エンペラーフェスティバル − 旧・小説投稿所A

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エンペラーフェスティバル
− 危険思想 動きだす二人 −
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「お前がバビロンか…その命貰うぞっ!!!!」

「鬱陶しいなこのクズが…」

リビングにまで攻め込んできた団員達。まず彼らが目を付けたのは、
シロナよりもPC系統を任せられたバビロンだった。三メートル程
の高さの黒竜に全員が刀を構え、数でぶちのめそうと襲い掛かる。




「…今忙しいんだよ…黙って入ってな。」

「「「あっ…うわああああああっ!!!!」」」

バビロンはモニターから目を外す事なく、団員らの喉元を捕らえる。
そのまま、「パソコン横に置いてある菓子を食らう」感覚で咥え、
呑み込んでしまった。凄まじい集中力は、彼の視線をモニター以外
に向けさせない。虚しい悲鳴と命乞い
が、システム防衛に
集中する彼の喉元を通り過ぎていった。



〜 バビロン 胃袋内 〜


「うぁっ…むぅぅっ!!」
「臭い…な、なんじゃこりゃぁ…!!!」

肉が腐り果てたような臭いに、団員達は粘液にまみれた手で鼻を
押さえた。大抵の者がその異臭に耐え切れず、舌を噛んで自殺し
てしまうという….まあ、いずれにせよ同じ道を歩むのだが。


「死ぬぅ…!! 畜生、出せって言ってんだろうが…!!!」

胃壁こそぷにゅぷにゅと柔らかいものの、この腐臭には鼻を取り
外したくなる程だ。新鮮な空気を吸いたい一心で、肉壁を赤ん坊
のように蹴り続ける。



『・・・・・・・・』

「何か言えやゴラアァッ!!!」
「頼む…だして…」

いつものバビロンならば、「黙れ」だの「知るか」だの、冷たく
返すに違いない。しかし今の彼はリーグのコンピュータを死守す
るので精一杯。腹に収めた者の運命など、気にかける余地も無い
ようだ。


&#160;
〜 リビング 〜


『最終ウイルスの除去成功。
全システム、回復しました。以後38時間、外部による侵攻不能です』

「よし…!! 何とかできたな…」

無意識に拳を握りしめ、達成感に浸るバビロン。流石に彼も手こ
ずったのか、額には少し汗も見える。目の前の空間モニターを全て
消すと、ようやく戦闘に参加できる時がきた。


「…ん? 私は…誰か食べたのか…?」

自分の腹がもこっと膨らんでいる。団員を三匹ほど喰らったという
事実は、彼の記憶にはなかった。恐らく集中のし過ぎで、そんな事
を覚える余裕もなかったのだろう。



「まぁ…どうでもいいか」

バビロンは目線をシロナに向ける。ロンギヌスから借りたポケモン、
ルカリオで、部屋の中に侵入した団員を全て蹴散らしていた。流石
チャンピオン、他人のポケモンでも充分に使いこなしている。


「おいシロn….チャンピオン。そろそろこの部屋…出ないか?
私達もあいつらの援護、するべきだろう…」

「ええ、そうね…誰の援護に行くべきかしら…」

「…自分で決めろ。私は先に行くぞ…」


悩むシロナに踵を返し、バビロンは部屋を出て行った。




====================


〜 西館 多目的ルーム 〜



「嘘の…記憶…?」

「そんなメモリ…聞いた事ないです」

『フフッ……ラティオスは馬鹿だ!!』

マツブサは突然、大声を上げて叫ぶ。何をしたいのかロンギヌスに
は不明だったが、すぐにライアーメモリの脅威を目の当たりにする。


「…ッハハ…僕はいったい…何やってんダロ…」

「「ラティオス!?」」

団員を壁に押さえ付けていたラティオス。彼の雰囲気が、一瞬に
して変わった。まるで「馬鹿」…そのものだ。口調までもが病気
染みている。


『レムリアが主人を喰っちまったぞ!!』

アオギリが皮肉るように言ったその言葉に、ロンギヌスは背後に
気配を感じる。はっとして振り返った時にはもう、遅すぎた。レ
ムリアの腕に軽々と持ち上げられ、頭から口の中へ投げ込まれる。


ぬちゅぁ…くちゅ…はんむっ…

「んぶっ…ま、まさか…!!」

彼女の巨舌に全身を逆撫でされ、悲鳴と唸りの混じった声を漏らす。
そして呑み込まれる寸前、ロンギヌスはライアーメモリの能力に
気付いた。



「嘘が…現実になっちまう…のか…?」

ゴクリ・・・





自分の主人と思しき膨らみが胃に堕ちるまで、レムリアはとろん
とした瞳でそれを見つめていた。しかし時間が経過すると、自分
が何をしでかしたのかを理解する。

「え…ちょ、マスター!? ななな何やってたの…私…」


急いで吐き戻そうと躍起になるレムリアを前に、アオギリは不
敵な笑みを見せた。そして右手に握り締めたライアーメモリを、
愛おしそうに眺め回す。


「元々は子供用の玩具メモリだ……
だがすこし改良すれば、こうも使えるとはな…」

アクア団が貯め込んだ大量の資金。それは国家組織でしか行え
ないメモリの改造を、いとも簡単にやってのけたのだ。悪魔の
ような能力に興奮し、アオギリはハァハァと荒々しい息を繰り返す。



「フフ…今に見ていろ…。
我々アクア団が…四地方を制圧してやる…」


〜 ライアー(LIAR)メモリ 〜
DETA:『嘘』の記憶が込められたメモリ。
口にした虚偽の言葉を、現実に作用させることが可能。
元は子供用メモリとして配布されていたが、アクア団がそれを大幅に強化開発した。

<2011/07/20 19:54 ロンギヌス>
消しゴム
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