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エンペラーフェスティバル − 旧・小説投稿所A
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エンペラーフェスティバル
− イッシュVSシンオウ −
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太陽はとうに沈んでも、ムシムシと全く衰えない熱気。集まった人々に汗をかかせるポケモンリーグの外で、熱意の込もったアナウンスが轟いた。


『さあいよいよ開幕!!! 地方の壁を超えたバトルが今、ここイッシュの地で始まろうとしています!! 』

観衆から嵐のような歓声が響き、スタジアムを埋め尽くした。中央に備えつけられた巨大な電光掲示板に、『3 - 3』の文字が光る。どうやらこの戦い、シングルバトルのようだ。


さらに歓声を掻き消す様にして、花火がドンドンと美しい彩りを見せた。観客の期待度が、いよいよMAXへと近づく。七万人を収められるスタジアムは、既にぎゅうぎゅう詰めだった。


『それでは登場して頂きましょう!
地方の誇りを賭けて戦う二人のチャンピオン・・ロンギヌス選手とシロナ選手です!!!』


きらびやかなライトアップに照らされて、東西に置かれたゲートが開く。イッシュ、シンオウのチャンピオンが、拍手喝采に迎えられて入場してきた。お互いに指定ラインまで歩くと、決闘の雰囲気を絶やさないまま、軽く礼をする。



『さて前置きはこのくらいにして…始めましょう! 一世一代のチャンピオン対決。バトル…START!!!』








GOOD MUSIC:『ブラック ホワイト カントーチャンピオン』
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「ルカリオ、バトルON!!」

「天空に舞え…ガブリアス!!」

モンスターボールから、エースのポケモンを真っ先に出す二人。その瞬間から、既にバトルは始まっていた。ルカリオとガブリアスは地を踏む前に、まるで光のように消えたのだ。いや…正確に言えば、見えない速さで動いているだけだ。

ギシュン…!! カィン…キィン…!!

威嚇し合っていた二人の爪が、スタジアムの中央で火花を散らす。直撃すれば傷は深いのは当然だが、それ以上に彼らは、トレーナーの指示なしで動ける能力がある。しかし・・

「ガブリアス、地震!!」
「飛び上がって竜の波動!!」

地面にひび割れが起きるほどの威力。ルカリオは鍛えられた跳躍力でジャンプすると、空中から竜の波動を、三発つづけて撃ち込んだ。


ゴゴゴゴゴゴ…!!
ギュゥンギュンギュン!!

地震はしっかり避けれた。命中率も高いためか、竜の波動は全てガブリアスに直撃した。だがシロナが見せた怪しげな笑みに、ロンギヌスは不安がよぎる。


「ガブリアス、落ちたタイミングを狙って地震!!」
「ル…ルカリオ、見切れ!!」

ガブリアスはふらつきながらも、技を出せる力を残していた。空中から降ってくるルカリオに、容赦なく地震をお見舞いする。当然、ルカリオはそんな一瞬で見切れない。



ズガガガガガァ…!!

「ガァゥ…!!」

ルカリオは効果抜群の地震を、今回は避ける間もなく受けてしまった。鋼のような肉体を、地面からの揺れが伝う。プライドが許さなかったのか、ルカリオは悲鳴も上げない。しかし耐えきれないダメージに、ガクンと膝をついて倒れた。


『ロンギヌス選手の一番手、ルカリオが敗れたぁぁ!!!』

アナウンスが観客席から、残念そうな声や歓声を呼ぶ。掲示板の『3 - 3』が、『2 - 3』に変わった。ロンギヌスは力尽きた相棒を、黙ったままモンスターボールに戻す。


「…流石ですねシロナさん。
ルカリオだけでほとんどの挑戦者は倒せたんですけど…」

「まだ試合は始まったばかり…あなたの他の二匹、さぞ強いでしょうね。」

「…どうでしょう。カイオーガ、バトルON!!」

ハイパーボールから姿を現した、この試合初の伝説ポケモン。カイオーガは余裕の表情で、相手のガブリアスから目を離さなかった。


「交代は趣味じゃないけど…仕方ないわね。ガブリアス、戻って。」

流石にガブリアスでは勝ち目はないと見たのか、シロナはレックウザを出してきた。タイプではカイオーガが有利だが、レックウザは多様な技を持ち合わせている。


「カイオーガ、冷凍ビーム!!」
「空を飛ぶ!!」

恐らく回避としてだろう。レックウザは周りの空気を巻き込んで、天高く昇っていった。しかし冷凍ビームの射程距離から外れるというのに、ロンギヌスは舌打ちすら漏らさない。



「カイオーガ、引き戻せ!!」

獲物を捕らえるときのような眼で、カイオーガは長い舌を空に向かって伸ばす。それをレックウザに巻き付けると、勢いづけて地面に叩きつけた。どうやらシロナも、これは予想外だったようだ。


ヒュゥ…ズゴォォン!!!

「今だ、吹雪!!」

地面に激突した衝撃で、レックウザはすぐに動けない。自分に向かってくる冷気の波を、まともに喰らってしまった。シロナの指示が届く前に、レックウザは氷漬けとなる。



『おおっ!! 見事なレックウザの彫像が…ってちがうちがう。ロンギヌス選手が同点に持ち直しました!!』

掲示板のカウンターが『2 - 2』になり、勝負の行方は分からなくなった。観客はチャンピオン達に、激励や怒号を飛ばしながら騒いでいる。彼らの高まった興奮は、もうアナウンスでは抑えられない。


「ふぅん…カイオーガ、か…」

プラチナ色の長髪の先をいじりながら、真剣な顔つきでカイオーガを見つめるシロナ。その恐ろしい対策を練ってそうな表情に、ロンギヌスも油断はできなかった。


「…カイオーガ…頑張れよ…」

「ねえマスター、あの女の人綺麗だね♪」

「バ…バカっ…今は勝負の事以外考えるな!」

尊敬するチャンピオンを相手に、ロンギヌスは緊張で今にも起爆しそうだ。しかしそれを理解しているのか、シロナは素早く次のポケモンを出してきた。



「…舞い降りよ、ミロカロス!!」

最も美しいといわれるポケモンが登場し、会場の期待は最高潮に達する。ロンギヌスとシロナはプレッシャーの渦巻く中で、同時に声を張りあげた。



<2011/06/26 21:10 ロンギヌス>消しゴム
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