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Wolves Heart 真実の心 − 旧・小説投稿所A

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Wolves Heart 真実の心

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パチ・・パチ・・パチッ・・
灼熱の火炎が彼女を焦がしてゆく。
「・・・っ・・・」
彼女の美しい体を・・・彼女を葬る事など俺には出来ないと思っていた。
半ば放心状態で彼女の体に火をつけていた。
火葬、土葬、水葬・・
土葬も水葬も形が残るから未練が残る・・
火葬なら未練は残らない。
業火に灼かれあの世に旅立つ・・
いい気はしない。
誰だっていい気はしない。
かけがえのない存在が死んだのだから・・・
「俺は・・お前をまた・・救えなかったな・・」
俺を喰おうとした時は俺の覚悟が甘かったからだ。
今回も俺の力が足りなかったからだ。
「なんで・・クリスマスにお前を火葬しなければいけないんだろうな・・・」
俺の手の中にはフェンリルの爪の欠片がある。
衰弱のあまり抜け落ちた爪をフェンリル自身が俺にくれたものだった。・・忘れないようにと・・
「忘れるものか・・・お前を・・・おま・・えぉ・・・なぁ・・フェンリル・・ぅ・・」
涙がこぼれる。本当に悔しい・・救える命を救えなかった。
狼医になったためにさらに悔しい。
専門の知識を身につけ、処置さえ出来る身であっても彼女の命を救うことが出来なかった。
いっそ、この身をこの火に・・断罪の業火に投げたい。
「なんで・・なんでお前がぁっ・・・死ぬのは・・俺でよかったのに・・・っ・・・」
火炎は彼女の体を灰に・・命のないモノの変えていく。
フェンリルとの思い出さえ真っ黒に焦がしていく。
「うぅ・・っ・・うおおぉぉぉっ!」
自責の念に駆られた俺はいつの間にか泣いていた。



ーや、止めてっ・・虐めないで!ー


<2011/05/13 23:53 セイル>消しゴム
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