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【保】竜と絆の章1 清らかな森の湖にて − 旧・小説投稿所A

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【保】竜と絆の章1 清らかな森の湖にて

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あれから毎日のようにアイゼンは湖を見に行き続けて、
リヴェーヌは湖に来る彼女に会うの楽しみに湖の管理に励んでいく。

そんな、平和な日々や時間が過ぎていくのだった。
……そして、ある日の夜。

リヴェーヌはいつものように……
いや、アイゼンと友達になってから毎日が楽しくて仕方が無くなっていて、
自分の管理する湖を見ると、

……『アイゼンが喜んでくれる』……

その事がとても嬉しかった。

だから、ついつい湖の管理に力を入れてしまい、今も気がせいて……
いつの間にか竜人の姿になったまま、忙しい一人の時を過ごしていた。

「ふぅ……こっちはこれくらいでいいかな?
 ふふふ……これで明日もアイゼンさんに楽しんでもらえそう……」

少し疲れたようなため息を吐き…最後にチャポッっと
湖の水にリヴェーヌは手を差し入れて、
水質を調べると満足そうにうなずき立ち上がろうとした……

その瞬間!


ズシィーーーン!!!


大きな地震が起きて、激しく大地を揺さぶっていく!

「アクゥッ! なに地震なの!? ……っ!」

大地がきしむような音共に凄まじい衝撃がリヴェーヌにも襲いかかり、
立ってもいられないぐらいの揺れに思わず湖の中に向かって、
バッシャーーン!と倒れ込んでしまった。

「がふっ! うう…こんなに…大きな地震は……初めて……」

水竜であるリヴェーヌは水で溺れることはなかったが、
これまで無理をしていた疲労のツケがたたり、
地震の衝撃で激しく波打つ湖に翻弄され、湖の奥へと引きずり込まれていく。

そして、地震が収まり……

「プハッッ! うう…ゲフッ!ゲフッ!」

リヴェーヌは何とか水面に浮上して、
力なく岩壁にもたれ掛かり激しく咳き込んだ。
しばらくそのまま咳き込み続け、やっと呼吸が落ち着いてくると……

「はぁ、はぁ……とにかく岸に上がらないと……」

疲れ切り泳ぐ気力がリヴェーヌには残されていなくて
仕方なく崖づたいにたどり岸を目指していく……

それが、リヴェーヌに新たな不幸を招いてしまった。


パラパラ……


「ん…今の音は何?」

奇妙な音に気が付きリヴェーヌは頭を上げ音が聞こえてきた方向を見上げる。
すると再びパラパラと音がしたかと思うと……
小さな石や土のかたまりが自分の側を掠め湖の中へと落ちてきた。

「これは……っ! ダメ、早く離れないと!」

転げ落ちる小石と土のかたまり……
その意味に気が付きリヴェーヌは疲れた体にむち打ち
急いで崖から離れようと泳ぎだした。

……だが、遅かった。


ピシッ…ピシシィッ! ズズズッズッ!! ドシャァァアアア!!!


リヴェーヌに向かって崖が大きく崩れ、土砂崩れとなって襲いかかる!
その恐怖の光景に一瞬目を奪われ、

「あっ ……っ!」
(もう逃げられない……なら……せめて!) 

刹那の一瞬、リヴェーヌの体があの時のように白く輝きだし、
その体が大きく竜の姿へと巨大化していく。

そして、ギリギリ変化が間に合い本来の竜の姿になった次の瞬間……
リヴェーヌは土砂崩れに巻き込まれ、土砂と共に湖の底へと押し流されていった。

「ガァッ! ゴフゥッ…グゥゥ…ここままじゃ…私…」

湖底の底でリヴェーヌは土砂の下敷きになり苦痛に顔を歪めている。
体が痛い……鉛のように重い……思うように動かせない……

目を閉じたまま……ゴボゴボと口から空気の泡を吐き出し、
段々と薄れていく意識の中で、リヴェーヌの脳裏にアイゼンの姿が……
自分と一緒になって笑っているアイゼンの姿がよぎり、
リヴェーヌはうっすらと目を開いた。

(ア…イゼ……ンさん……私…私もう一度…あな…たと…会いたい。)

声は出せない…だから心の中でリヴェーヌは自分の思いを語り始める。
そして、言葉が想いが心の中に浮かんでいく…
その度にリヴェーヌの周りの土砂が少しずつ不思議と持ち上がり始めて、

(あなたと……笑いたい……)

段々と心に力がこもってくる…
周囲の水が意志を持ったかのように渦巻き始めていく。

(そして、これからもアイゼンと一緒にいたい!)

心から…思いの力があふれ出し、
リヴェーヌは心から溢れる力のままに声なき咆吼を発した!

『湖の水よ! 我を戒める楔を打ち砕き、我を解き放て!』


ズッッシャァアアァンンン!!


湖の水が突然爆発して、100mちかい巨大な水柱が立ち上り
次の瞬間、豪雨と変わり湖を中心に周囲の森へと激しく降り注いだ。

そして、未だ激しく波打つ湖……
その湖底からリヴェーヌはボロボロになりながらも、
体を引きずり岸にはい上がってきた。

「う…うう…あ……ぁあ……アイゼン……」

最後の力を振り絞ったリヴェーヌ……
目は霞んでいて、ロクにモノを見ることも出来ず。
体は痛み以外の感覚を失い……

最後にアイゼンの名前を掠れる声で呟いた後、
……その場に崩れ落ちるように倒れ込んだ……

その場でハァ、ハァと息も絶え絶えで……
それでも何とかギリギリの所で命を繋いでいきながら、

(気…気が…生き物の気が欲しい… 誰でもいいの私に…気を分けて……)

リヴェーヌはある物を欲していた。

それは……
自然や大気に満ちているモノ、
そして、多くの生き物たちが持っている

……『気』という命の力……

彼女はリヴェーヌは気を食べて生きている竜だったのだ。
普段は周囲の大気に満ちる気を少しずつ体に取り入れいるのだが……
激しく傷つきリヴェーヌは自身の気の力を大量に失っていた。

だから、リヴェーヌは最後の手段として、
生き物の気の力を求めて、薄れゆく意識の中で……
あの綺麗だったスカイブルーの瞳を、徐々に赤みのある狂気の瞳に変えていき、
リヴェーヌは本能で生き物を探すように目を動かしていく。

その時、リヴェーヌの耳に微かだが……

「リヴェーヌさん!! 何処にいるのー!」

自分の名前を呼ぶ誰かの声が聞こえてきたのだった……
それにリヴェーヌは顔を少しだけ動かし、
口をゆっくりと動かしたが声は出なかった。

(…誰? 誰か呼んでる…… 私を助けて……お願い…もう気が…残って…ない…)

それなのに心では、その誰かに必死に助けを求めて叫び続けている。

声なき悲鳴……
それに不思議と先ほどの声の持ち主は気が付いたのか?
足音がゆっくりとリヴェーヌに向かって近づいてきて……

「きゃっ! 何この生き物!? ……まさかこれが湖の竜なの!?」

そこにリヴェーヌの元に現れたのは 『アイゼン』 だった。







十数分前……
湖に通じる森の中の道。

その道をアイゼンは必死に走り湖を目指して走っていた。

「はぁっ、はぁっ……あんなに凄い地震初めて……
 いつもリヴェーヌさんは一人で湖に…お願い無事でいて…!」

少し前に起きた地震はアイゼンの住んでいた町にも
当然のように襲いかかり大きな被害を出していた。

何とかアイゼンの住んでいる場所は大きな被害を免れたのだが……
いつも湖に独りでいるリヴェーヌのことがどうしても気にかかり。
地震の後片付けも放りだして湖に向けて走り出したのだった。

そして、ようやくアイゼンは湖にたどり着いた。

「はぁ、はぁ……うっ……何これ…酷い……」

いつもの場所……そこから湖を見たアイゼンの表情が悲しく歪んでいく。
静かだった湖の水面は荒々しく揺れていて、
周囲の森の木々達は所々へし折れて無惨の姿をさらしており、
大きな土砂崩れがあの綺麗だった湖の景観を悲惨な物に変えてしまっていた。

「せっかく……リヴェーヌさんが…頑張って……
 ……っ! そうよ、リヴェーヌさん!! 何処にいるの!」

湖の悲惨の様子に目を奪われていたアイゼンは、
ようやく自分がここに来た目的を思い出し、必死に声を出してリヴェーヌを探し始めた。


荒れ果ててしまった湖の周囲を歩き回り、
アイゼンはリヴェーヌの名前を何度も呼んでいると……

『助けて…』

誰かが助けを呼んでいる声が聞こえた気がした。

「何…今のは…? まさか…リヴェーヌさんそっちにいるの……?」

何故かその声がアイゼンにはリヴェーヌの……
助けを求めている声に聞こえて、
聞こえてくる場所すら感じ取れたような、
そんな気がして自然と足が湖のある一角の方へと動き出していた。

「聞こえる…こっち…ええ…そっちね……」

リヴェーヌの周囲に無差別に助けを求め続ける声が、
アイゼンに向けられ集まり始めていく。
それに応えるかのようにアイゼンは目を閉じて、
声の聞こえるままに導かれ、
無意識に足の動くままに……その一角を目指して……

「……ここは湖の砂浜なの? リヴェーヌさんここにいるの…?」

たどり着いた湖の砂浜で、
目を開いたアイゼンは 『竜』 を見つけた。
その巨大な姿に目を見開いて驚き、大きく逃げるように後ずさって

「きゃっ! 何この生き物!? ……まさかこれが湖の竜なの!?」

目の前に横たわる竜の姿にアイゼンは町に伝わる古い伝説を……
最初に湖を訪れた原因を思い出していた。

『その竜はとても優しい性格をしていて、
 自分の住み着いている湖を何時も綺麗にしてくれている。
 そのおかげで、周囲の森も影響を受け、
 たくさんの森の恵みを、綺麗な水を授けてくれていると……』

アイゼンはこの伝説がとても好きで、
最初にこの伝説を知った時……
この竜に会ってみたいなと心が引かれて、ごく自然と湖を訪れていた。
そして、湖のすばらしさに魅了され……
毎日のようにその景色を見ようと訪れて、リヴェーヌにあったのだ。

「えっ……それって……」

思い出した自分の記憶にアイゼンは不思議な引っかかりを感じていて、
それが……多くの引っかかりが、少しずつ一つに纏まり始めていき……

一つになる!

「……っ! リヴェーーーヌ!!」

アイゼンは横たわる竜の正体に気が付き、
気が付いたときにはリヴェーヌの名前を叫んで側に全力で駆け寄っていた。

「あなた、リヴェーヌなんでしょ!? …酷いこんなにボロボロになって…」

力なく横たわるリヴェーヌの体を近くでよく見ると、
全身は傷だらけで、とても痛々しくて……
今も辛そうに少し口を開いて浅く呼吸をしている。

「……私がもっと早く来てたら……あなたに気が付いていたら…。
 ごめんね…リヴェーヌさん、一人で辛かったよね。」

すでにも目を閉じられて、
アイゼンの言葉にすら反応することが出来ず……
リヴェーヌはただ呼吸をして…何とか命を繋いでいるだけ。

「ううっ……今助けるから……お願いだから…
 リヴェーヌさん、もう少し頑張って……」

今にも止まってしまいそうな呼吸をしているリヴェーヌの顔に
アイゼンはすがりつくように抱きつく。


……ポチャン……


アイゼンの目から涙がこぼれ落ち……
優しくリヴェーヌの顔を濡らしていき、
数滴が口の中へと滑りこみ……涙が口の中も湿らせると、
リヴェーヌの喉がそれを飲み込んだかのようにゆっくりと動いた。

そして、赤く染まっているリヴェーヌの目が少しだけ開いて、

「……グァ? グゥルル……」
(暖かい…… 誰か側にいる… )
「リヴェーヌさん? ……良かった気が付いたのね。」

目が開いて喉を鳴らしているリヴェーヌの顔を、
アイゼンは嬉しそうに優しく撫でていく。

リヴェーヌは目をゆっくりと動かして、
自分の顔にすがりついているアイゼンを見つめていた。
だが、すでに目は殆ど見えて無くて……
誰が自分を暖めてくれているのかは分からなかった。

そして、意識が戻ったことで全身に痛みが…リヴェーヌに再び襲いかかってくる。

「ググ…グォオオ…ガァア! ……ハァ、ハァ……」
(うう…痛い……痛い! 体を治すのに…気が足りない……)
「キャッ! あぅっ! …痛ったぁ〜!」

余りにモノ激痛に全身を砂浜に打ち付けのたうち回り、
首を大きく跳ね上げアイゼンをはじき飛ばして暴れ続けて唐突に止まった。

ハァ、ハァと浅く速く呼吸を繰り返しながら首をもたげていき、
すぐ側で痛そうに手足をさすって砂浜に座り込んでいるアイゼンを……

不気味に真っ赤に染まりきった深紅の瞳で睨みつけた。

すでにリヴェーヌの正気の意志はなく、ただ生存本能で動く……
飢えた竜の本能だけが彼女を突き動かし始めて、

「ガァ……ガァ……グオォォォォ!!!」
(気…目の前に気の固まりが……ああ……もうだめぇええええ!!)

背筋が凍るような、それでいて悲痛な雄叫びを叩きつけ、
一気に首をのばしアイゼンに向かって口を開いて突進していく!

……そして


バクゥッ!!


アイゼンの体は一瞬にしてリヴェーヌの口の中へと消えてのだった……

「えっ……何でいきなり真っ暗に……」

突然訪れた漆黒の闇……
涼しげだが何故か不思議な風…
そして、ピチャ、ピチャと何かが滴る音が聞こえてくる。

「ううっ……狭い、何処なのここ……?」
 
狭い空間の中……アイゼンはまともに立つことが出来ず、
仕方なく四つんばいになって、思わず手を地面から逃げるように離した。

「いやっ! 何!? 地面が凄く柔らかい……」

地面に手が触れた瞬間……
柔らかな地面が沈み込むようにアイゼンの手を受け止めて、
凹んだ場所にチルチルと冷たい水が流れ込み……
不思議な粘りを持って手に絡みついて来たのだった。

「それになんかネチャネチャしてて……もしかして、地面が動い…てる…?」

それだけではなく…地面が突然グワァ!持ち上がり、

「きゃあっ! 今度は何!? あぅっ! く、苦しい……」
 
アイゼンを同じように柔らかな天井へと押しつけて、
その一瞬、漆黒の闇に亀裂が生じて光が差し込み……
自分がおかれている光景を潰されて呻きながらも見つめていき……

「な、何よこれ…舌…なの? もしかして…リヴェーヌ…さんの口の中…?
 あぅっ! キャッ! うぁっ…ぅうう…」

目の前でリヴェーヌの舌の先端が自分の顔を舐めたかと思うと、
いきなり元の位置に戻り上顎に張り付いていたアイゼンは舌の上に
…ビチャ!っと唾液を跳ね上げ落下して、全身を唾液に絡め取られてしまった。

「ググッ! …グルル…ガッグゥ…」
(ハグゥッ!……早く…早く食べないと…)

そして、リヴェーヌは寝そべった体勢のまま少しだけ首を上に持ち上げて…
口の中に含んだアイゼンを舌の上で転がし唾液で絡め取り、
舌を波打たせて喉の奥へと運んでいく。

「うっ……あう……リヴェーヌさん……やぁ……止めて……」

舌の上を転がされ舐められ喘ぐ声をあげて、
それでもアイゼンは手足を伸ばして口の中の肉壁に押し付け抵抗しようとする。
しかし、もう……目の前にはリヴェーヌの喉が唾液の糸を引きながら開いていく。

「ググッ…ガァッ……」
(ハクッ……んっ…もう少し…)
「あぅん……もう……ダメ、力が入らないよ……」


手足が震えアイゼンの体が少しずつズルズルと喉に向かって引きずり込まれる。
あがらう僅かな抵抗をリヴェーヌは……


……ゴクリッ!


大きな嚥下と共にアイゼンを生きたまま丸呑みすることで終わらせた。

「あっ……あぁぁぁぁぁぁぁ! リヴェーーヌ!!」

アイゼンの悲痛な声……
最後まで友達のリヴェーヌの名前を呼び続けた叫び声ごと
アイゼンは徐々に喉をくだり叫び声は小さくなっていき……
ついにその声はリヴェーヌに届くことなく飲み込まれていった。

そして、アイゼンがリヴェーヌの胃袋に収まり、
その体の大きさの分だけお腹が膨らんでいくと……

「グゥガァ……グゥルルル…ガァルルル…」
(美味しい……早くしないと…早く気を取り込まないと…)

胃袋の中に…生き物が…気の固まりが…収まったことを感じたリヴェーヌは、
少しでも早く痛みから、辛さから逃れるためにお腹に手を当て揉み始めた。
それが気の吸収を早めると言わんばかりに……

そして、リヴェーヌは、

一番会いたかった…一緒に笑っていたかった……大好きだった…
『アイゼン』から気を吸い取り始めたのだった。



<2011/06/14 21:43 F>消しゴム
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