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【保】ポケモン大戦争〜ボクらの起こした、小さな…〜 − 旧・小説投稿所A
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【保】ポケモン大戦争〜ボクらの起こした、小さな…〜

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これは…戦乱の時代を生きた、
“ボク”と仲間たちの、ちっぽけな戦いの物語…


もともと…ポケモンはすべてひとつの存在だった。
色々な場所に済むようになり、その場所に適応し、
姿を変え形を変え、今では…いくつだったかな?
とにかく、沢山の種類のポケモンが居る…

そして、そのポケモン達は…おおきく、“タイプ”で分けられている。

…そう、学校では習った。
皆、元々ひとつだったのに…何でだろう。 皆解ってるはずなのに。

「…“タイプに分かれての戦争”…か…
 何の意味があるんだ、そんなの…」

ボクはひとり、誰も居ない野原に寝転んで…
多分、色んな事を考えてたんだろう。
父がゴーストタイプで、母がエスパータイプで…
…ボクも、もちろんエスパータイプ…

友達も沢山居る。
でも、みんなタイプがバラバラで…

…結局、ひとつに纏めると…
戦争がはじまったら、どうなるんだろうって…それだけだった。


家に帰って…母さんに聞いてみた。

“なんで戦争が始まらないのか”

…母さんが言うには、“3すくみ”って事になってるらしい。

例えば、炎タイプが草タイプに強いからと言って、
安易に草タイプ軍を攻め滅ぼしてしまえば、
草タイプを弱点とする水タイプの軍勢に弱いから
そいつらに責め滅ぼされて、要するに漁夫の利で…

…よくわからないけど、しばらく戦争が始まらないって事はわかった。
戦争がはじまれば、いくら血が繋がってるとはいえ…

…それ以上のことは、考えたくなかった。


「もし戦争がはじまったら…君はどっちにつくの?」

なにげなく、友達に聞いてみた。

どっち…って言うのは、彼の2つのタイプ…“くさ”と、“どく”の事だ。

ちょっと聞いただけなのに、物凄い剣幕で怒られた。

後から聞いたけど…彼は両親とも同じタイプだけど、
父親が“くさ”につくと言い、母親が“どく”につくと言って…
…どっちにつくかで、毎晩眠れないほど悩んでるらしい。


戦争がはじまる前に、謝らないと…


父さんは、家に帰ってこなくなった。

母さんは、毎日泣いている。

タイプの違う友達は、口をきいてくれなくなった。



…ボクは…



学校が休みになった。

店も全部閉まった。

戦闘訓練が始まった。



結局…彼に謝ることは、できなかった。
母さんを慰めることもできなかった。
父さんが帰ってくることもなかった。

…ボクは… …なんて、情けないんだろう。
しなくちゃいけない事が沢山あったのに…
…全部、ほったらかしで…
結局、自分の事しか考えてなくて…


「おい、何やってる! 訓練をサボるな!」

…教官の声で、我に返った。
そう…今は、強くならなくちゃいけないんだ。

強くなって、生き残って…


訓練の合間の休み時間…
…僅かな時間だが、この上ない幸せを感じる…

「…ねぇ、聞いた?」

「うん、聞いた聞いた…」

…向こうで、誰かが話しをしている。
人の会話を盗み聞く趣味は無いけど、聞こえちゃったものは…仕方ないよ…ね…?

…でも…聞かなければ良かったかな…と、少し思った。

「炎軍が草軍に戦争を仕掛けたらしいわよ…」
「草軍もお仕舞いかしらね…」
「でも、水軍はどうするの?」
「それが炎軍、電気軍と同盟を組んだらしいのよ…」


…そこから先は、何も耳に入らなかった。


戦闘訓練の間も…夜、布団に入ってからも…

…“彼”のことが、頭から離れなかった。


恐らく、炎軍に攻め入られては…


どうしても眠れなかったボクは、不眠特性持ちの奴に催眠術をかけてもらった。


そして、次の朝…

…目覚めると、周りには誰も居なかった。



“彼”の事を考えてる余裕も無くなった。



…ゴースト軍が、攻めて来た…らしい。
ボクが寝ている間に、皆…


…生き残った人達が、集められた。

ボクを含めて…ざっと、20匹ぐらいだろうか…
フーディンさん達の必死の抵抗により、何とか追い返すことに成功したらしい。


…ボクは何度も何度も周りを見回した。
何度も何度も、首を左右に振って…
それはもう、気が狂うほどに…

…何度も何度も、確認した…けど…



…母さんの姿は、どこにも無かった…


皆、ボクと同じ事を考えてるんだろう。
あちこちで歓喜の声や、すすり泣く声が聞こえる…

「聞いてくれ…俺に起死回生の策がある!」

…それらを吹き飛ばしてしまうような、大きな…勢いのある声。
タイプ的に優位にある鋼軍につかず、エスパー軍についてくれたメタグロスさんだ。

「起死回生の策? …何です、それは…」
メタグロスさんの参謀、エーフィさんが聞く。
美しいと評判だった瞳からは、輝きが失せていた…
…この状況だと、仕方ない気もするが…

エーフィさんに続き、皆がメタグロスさんに注目する。
メタグロスさんは少しの沈黙の後、こう言い放った。


「オレのコネを利用して…鋼軍と同盟を組む!」


一種にして、全員の瞳から希望の色が失せる。

「考えてみれば、お前のは頭脳はエーフィだったな…」

フーディンさんが呆れたように言う。

「だが! 今はそれしか無いだろう!
 奴等の苦手とする格闘軍と戦うと言う名目で…」

…メタグロスさんとフーディンさんは、それから暫く言い争っていた。

そして…


…最悪の事態が、起こってしまった。


残った20人が、二つに分かれてしまったのだ。

フーディン派とメタグロス派…
ボクは、フーディンさんについていくことにした。


フーディンの考えは…とある洞窟の奥底で力を蓄えているという、
あの伝説のポケモン…ミュウツーに味方して貰う、というものだった。

当然、その考えも誉められるものではなかった。
一騎当千と言われたミュウツーだが…強すぎるあまり、
他のポケモンと協調できず…要するに引きこもっちゃったんだから、
今更仲間にならないか…と言ったところで…

…しかし…この案か、メタグロスさんの案か…
どちらかを選ばなければならない程、深刻な状況だったんだ。

…ボクは、ボクとフーディンさんを含めて10人になってしまった仲間と一緒に、
西の方にある洞窟へと歩いていった…


…奇跡とは、こう言うことか…


洞窟を目指す途中、炎軍の猛攻から逃げ延びた草軍と遭遇した。
5、6匹程度しか残っていなかった中に…“彼”…ロゼリアは居た。

「…っ!」

ロゼリアはボクを見つけるやいなや、走り寄り、抱きついてきた。
毒のトゲが刺さって死にそうになったが、痛みを感じない程に嬉しかった。
(ちなみにこの後、彼のアロマセラピーによって毒状態は回復した。)

…どうやら、彼もボクに謝りたかったらしい。
気にしていた事とはいえ、何も知らなかったボクに対して
あそこまで酷くあたった事を…

…そして…ボク達は、友情を再確認している間に…




おいてけぼりにされました…


− 第一章「戦争のはじまりと、ボク…」 完 −


<2011/06/03 21:19 ルート5>消しゴム
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