「んもう!クルスさんったらひどいですよ!!」
次の日の部室で。
輝はクルスに、ぷりぷりと怒っていた。
「ごめんねったら〜・・・」
「本当に死んじゃうかと思ったんですよ!あー怖かった!」
「でも・・・二人の愛は、それ程までに強い物だったんですね。負けましたよ。」
「・・・・輝・・・」
「あーぁ、残念だったな。鬼道監督と結ばれたいって、ずっと思ってたのに・・。 ・・でもしょうがないですよね。」
輝は、少し寂しげに微笑んだ。
「でも、皆で仲良くできれば一番いいですよね!ほらこれ、クルスさんにもあげます!」
輝はあの時の箱を、クルスへ手渡した。
鬼道に渡した物とは違い、色や柄が少々派手めで、かわいらしいものだった。
クルスは器用に、尻尾で受け取る。
「・・ぁ、ありがとう・・・輝・・・」
クルスの目に涙が滲む。
輝はこんなにも優しいのに、自分はただ怒りに任せて行動する事しかできなかった。その事を悔やみ、クルスはただ涙を流す。
「・・・という訳だ、輝。コイツはまだまだガキだから、俺が面倒を見てやらなくちゃならないんだ」
鬼道はクルスの背中をぽんぽんと叩き、そう言った。
「あ、そうだ輝。チョコレート、おいしかったぞ」
「! ありがとうございます!」
輝は、その名に似合うような笑顔を見せた。
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