俺が何かを言うよりも早く、黒竜は行動を始めた。
俺を包み込んだ尻尾を口の上に持ち上げて、尻尾を解き放てばすぐに口内に落ちてしまう状態にされてしまう。
下では肉と唾液がぐちゃぐちゃに絡み合った沼が広がっており、落とされれば沈んで、溺れて、二度と浮き上がれない。
《…運が悪かったと諦めるんだな。》
『…い…嫌だ…』
シュルッ!!
俺の声を聞き届けたのか、つい先ほどまでみっちりと巻きつけられていた尻尾が一瞬にして離れ、広がった隙間からズルッと下に落ちてしまう。
その一瞬が凄く長く感じた…
緩んだ尻尾が目の前を通り、一瞬だけ外の空気が俺の身体をなで上げる。
次の瞬間、むわっとした空気に身体が包まれて…
ドチャッ…
蠢く舌の上に落ちてしまった俺を唾液と肉塊の中へと引き込む。
ぐちゅっと言う音が耳に届いた直後に、身体全体を舌の布団がくるんでしまう。
不快感の方が強かったが…少しだけ心地良いと考えてしまった自分を否定した。
《邪魔な物など、剥いでしまえばよいな…》
ズリッ…ヌチュッ…
俺を包み込む舌が蠢き、服の隙間から舌先が無理やり差し込まれ、ねちょっとした感触と共に、素肌に触れる柔らかい舌。
それがもぞもぞと蠢き、服を少しずつ引き剥がしていく…
『うっ…あっ…』
こそばゆい感覚に身体を捻り、脱がされまいと舌を掴んでみるが、そんな事などお構いなしにグイグイと服を捲り上げられてしまう。
プチッ…ブチチッ…
服のボタンの部分が引きちぎれる。
露わになる身体、不思議な事に、あまり嫌では無かった。
魔法でも使っているのだろうか、少しずつ俺は黒竜の虜になり始めている。
上着が脱がされると、次は下着だ。
唾液に濡れてびしょびしょになった服が、素肌を這い回る舌で引き剥がされる。
直に刺激される身体は熱く火照り、俺の抵抗を奪うのには十分過ぎた。
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