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お礼の品

「……お待たせ! さっそく作らせてもらうよ!」
 真っ白いキュウコンの隣にドカリと腰を下ろすベロベルト。ミルタンクの顔が描かれたラベルの練乳缶、銀紙で丁寧に包装された板チョコレートを傍らに置いた彼は、ティーセット一式が詰まった箱を手繰り寄せる。
 ソーサーの上にティーカップを置き、銀のスプーンを添えたら準備完了。ヒョイと両手で練乳缶を拾い上げた彼は、キュウコンの顔を覗き込む。
「それじゃあ……コユキちゃん! ミルクとチョコレートの量はいかがなさいますか?」
 恭しく尋ねるベロベルト。口元を前足で拭った彼女は照れくさそうな顔をする。
「うふふっ! どちらもたっぷりで! とびっきり甘くしてくださいな!」
「はぁい! かしこまりました! ミルクもチョコレートもたっぷりだね!」
 注文を復唱したら調理開始だった。親指の爪を蓋に突き立てた彼は、練乳缶に二つの小さな穴を開ける。
「あぁっ、見ているだけで涎が……! あとで舐めさせてもらってもいいですか!?」
 もう我慢の限界だった。トロトロと滴り落ちる真っ白い液体を凝視しながらゴクンと唾液を飲み下すキュウコン。彼女は堪らず声を上げる。
「おっ、コユキちゃんも甘いもの好きだねぇ! 別に構わないよ! どうせ使いきれないだろうし! ……あっ、でも少しだけ残しておいてね! オイラも舐めるの大好きなんだ、練乳! こんなことばかりしているから太るんだろうけど! あははっ!」
 そのまま舐めるもよし、缶ごと湯煎して生キャラメルにしてから舐めるもよし。甘いものに目がない彼の大好物だった。カップに練乳を注ぎ終えた彼は、部屋の隅に堆く積まれた空き缶の山に一瞥をくれる。
「ありがとうございます! ちゃんと残しておきますわ! ……あっ、次はチョコレートですね!」
「そう! たっぷり使っちゃうよ!」
 両前足を合わせて声を弾ませるキュウコン。練乳缶を床の上に置き、板チョコレートを手に取った彼は、銀紙をビリビリと半分だけ剥がし取る。
 うーん、さすがに甘すぎるかなぁ? 不安をよぎらせながらも二つ折りにした彼は、銀紙が付いていない方をバキバキに砕き、その全てをカップの中に放り込むのだった。
「あとはお湯を入れて……!」
「かき混ぜるだけですね! お願いしますわ!」
 シュウシュウと音を立てるケトルを焚き火からおろすベロベルト。ソーサーからスプーンを取り上げるキュウコン。彼女の合図で彼はカップの八分目まで熱湯を注ぐ。
「美味しくなりますように……っと!」
 すかさず底までスプーンを差し込み、おまじないを唱えながらグルグルとカップの中身を攪拌するキュウコン。全てドロドロに溶かし尽くしたら完成だった。ふんわりと泡立つ茶褐色の液体の水面に鼻先を近寄せた彼女は、甘い匂いを胸いっぱいに吸い込む。
「あぁ、いい香り! 完璧ですわ!」
「美味しそうにできたじゃないの! ……よぉし、オイラも作っちゃおうっと!」
 余った板チョコレートの銀紙を剥がしにかかるベロベルト。そんな彼にキュウコンはストップをかける。
「あっ、待ってください。お茶にした方がいいですわ。お礼の品との相性もありますので!」
「おっと、それならお茶にさせてもらうよ。ご忠告ありがとう!」
 後にしておこう。彼は残りのチョコレートを練乳缶の蓋の上に置く。
「……なぁんだ! やっぱりお茶菓子じゃないか! 勿体ぶっちゃってぇ!」
 茶漉しに新しい茶葉を入れながら嫌味っぽく言うベロベルト。その上からケトルの湯を注いだ彼は、カップを琥珀色の透き通った液体で満たす。
「うふふっ、ごめんなさい! 最後まで
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