Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!

夢に向かって【下】【小】

「うっひゃあ! 今度も凄い勢いだ!」
 一度に出しきれる量ではなかったらしい。彼が遠足から帰ってきて最初にすることになったのは立ち小便だった。佇んでいたのは――高さ数十メートルの断崖絶壁。見晴らしの良い木陰でゴロゴロして過ごすべく、果樹園のある裏山の頂上にやってきたのだった。
「えぇっ、嘘でしょ!? これってもしかして……虹!?」
 いきなり頓狂な声を上げるベロベルト。目の錯覚などではなかった。体の中心から崖下に向かって伸びる黄金色のアーチの脇にもう一本、七色のアーチが浮かび上がったのである。
「あははっ、オシッコで架けちゃったよ! もぉ、オイラったら汚いなぁ!」
 面白おかしくて仕方ない光景だった。二本の曲線を交互に見やった彼は大笑いする。
 その後も丸太小屋の住民たちから絞り取った水分をジョボジョボと大地に還元していくベロベルト。放尿するほどに輝きを増していく七色の光に願わずにいられなかったのは六匹の冥福だった。
「よかったじゃないの、君たち! こんなにも綺麗な虹になれたんだ! もし次に生まれてくることがあったら、きっと真っ当な道を歩むんだよ! でなきゃ、またオイラに食べられてウンチにされちゃうだけだからね! ……まぁ、それはそれで、オイラとしては嬉しいんだけど! あははっ!」
 祈っているのか貶しているのか分からなかったが、食べた獲物は笑って見送ってやるのが彼なりの流儀だった。段々と勢いを失っていく黄金色の噴流に一抹の名残惜しさを覚えた彼は、最後にもう一度、断崖絶壁に架かった七色のアーチを目に焼き付ける。
「じゃあね! バイバイ!」
 塞がった両手の代わりにベロを振って別れの挨拶を述べるベロベルト。そこで回れ右をして絶壁に背を向けた彼は、ポタポタと黄色い雫が滴り落ちるのみとなった雄の象徴を元あった場所へと仕舞いにかかる。
「んっ……あれっ? なんで……?」
 どういう訳か上手く収まってくれなかった。股間をベロで弄る彼の口から戸惑いの声が漏れる。
「んくっ……! この……!」
 意地になって力任せに押し込もうとしたのが運の尽き。彼は最悪の事態に見舞われる。
「げっ、しまった! 大きくなって……!」
 充血する感覚に慌ててベロを離すも時すでに遅し。最高に精が付く食べ物を六匹も堪能した翌日であることも相まって、瞬く間にトロピウスの首の房となって天を衝いてしまう。
「おほぉっ! こんな立派になっちゃうんだ! あぁ、進化できてよかった……!」
 その雄姿を見て喜びを新たにするも――間もなくして彼は底なしの脱力感に襲われる。
「あーあ、恥ずかしいったらありゃしないよ。何をやっているんだい、オイラは……」
 意味もなく熱くさせてしまった雄の象徴を目の前に意気消沈してしまうベロベルト。こうなってしまったら、ゆっくりと風に当てて冷ます他なかった。彼は果樹園で一番の大木を目指して歩き始める。もっと楽な移動方法があったが、この状況でその手段を取る勇気はなかった。
「ふひぃっ、ちょっと歩いただけでこれだよ……。何が何でも両手だけは離さないようにしないと……!」
 さもないと雄の象徴をボキリと根元からへし折られるという、昨晩に食べたグレイシアも真っ青の運命が待ち受けるのである。ボリューミーな腹周りの贅肉を両腕いっぱいに抱えた彼は、よろめく足取りで前へ前へと進んでいく。お目当ての木の幹に背中を預け、尻尾を股の間に通して前へ出し、腰を下ろして両足を伸ばせば一安心。ベロベロと額と首周りの汗を舐め取った彼の口から深い溜め息が漏れる。
「はぁ、だらしない体になっちゃったなぁ…
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想
まろやか投稿小説 Ver1.53c