「あ、あれ・・・?」
マルムは自分の家の部屋に戻っていた。
夢とも思えず、しばらく窓から見える丘をじっと見つめていた―――。
「ありがとう・・・ぼくを、助けてくれて・・・」
「いや、私は私のことをやっただけ。君は自分を突き動かした。それは自分にしかできない」
「でも、きっかけを作ってくれたのはきみだよ・・・」
ゴーストは照れくさそうに頭を掻く。
「ぼく、君に会えてよかった。ぼく、変われる気がするんだ。君といれば・・・」
「そんなこと無いさ。これは偶然だ。たまたま君を見つけただけだ」
「ぼくは、運命だったんだと思う。今起きたことはすべて・・・」
フォティスの目はさっきまでの目ではなかった。
今は澄んだ川のように透き通っている。
「・・・そうか」
「君たちには名前はあるの?」
フォティスは見上げて言う。
「うん?あるが・・・私はヴォストだが」
「ぼくはフォティス。よろしく、ヴォスト」
ニコリと笑って、手を差し出した。
ヴォストは一瞬不思議な顔をしたが、笑って握手をした。
「・・・こちらこそ!フォティス・・・良い名だ」
二人を下弦の月が美しく照らす。
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