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キズナ

彼女の体を優しく舐め上げる。
僕の体は外見は機械だけど、内蔵組織はほとんど同じ生き物と同じだ。
僕は彼女を喰らう。
「柔らかい・・・」
彼女の少し冷えた体を味わっていく。
でも心から伝わる温もりは変わらず、僕を癒してくれる。
「美味しいヨ、ティアル」
彼女の血液を優しく舐め上げる。
彼女の痛みを啜るように祈りながら、すがりながら。
「んっ・・・」
彼女がくすぐったそうにするのが可愛らしかった。
そしてゆっくりと彼女を頭からくわえ込む。
彼女を傷つけぬように、ゆっくりと呑み込んでいく。
傷口をきにして舐めながら。
「怖くなイ?」
口内に収まっている彼女に向けて声を響かせる。
「全然・・・安心する」
僕はよかった、というと彼女の体を喉奥に送り込み、彼女の全てを口内に収めた。
そして、足先まで優しく呑み込んだ。
喉肉を彼女が通る感覚。
戦時の時は何も感じなかったのに、心地よくて。
「気持ちい・・・」
ティアルは狭い喉肉を通り、呼吸が困難でも、それ以上に幸せだった。
彼の中にいることが。
そして無事、胃にたどり着く。
蠢く肉が彼女を優しく包み込む。
「ありがとう・・・テルド。貴方と過ごせて、本当によかっ・・・た・・・・・・・」
僕は彼女の消え入りそうな最期の声をしっかりと噛み締めて、泣きに泣いた。
「僕も・・・・だよ・・・・ティアル・・・・うっうウ・・・・」
嗚咽混じりになりながら、もう動かない彼女の体を取り込んだ。
雨は僕を冷たく濡らしながら、去っていった。
12/08/23 17:00更新 / ねじゅみ

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