そこは無数の人形の部屋だった。
アタシについてまわってた小さい人形と、子供と同じぐらいのサイズの人形が無数に置かれている部屋だった。
すべての人形がアタシをみてニヤーっと笑って見ている。
凍りつくような寒気。
ぞぞぞっと体の毛一本一本がさわだつ。
しかし恐怖に包み込もうとする意識の中に安堵があった。
最後の白の絵の具玉が灰色に塗られたキャンバスの手前に置かれていた。
「・・・あっ!」
ギャリーは恐怖を押しのけ、白の絵の具玉に飛び付くように取った。
すると白の絵の具玉は消えていく。
ほっと安堵の息を漏らしたギャリーはさっさとこの部屋から出ようと早歩きで扉へ向かう。
そして、ドアノブを回した。
ガチッ
「えっ」
あかない。
何度も、やってみる。
ガチッガチガチチッ
「うそっ!部屋に入る時は開いてたのに!」
そして後ろから人形達の笑い声が部屋に響く。
キャキャキャキャ
そしてどこの人形からか、声を発した。
「ギャリー また たからさがし しようよ
カギは どーこだ?
キャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャ」
「えっ!!?」
部屋が暗転する。
また明るくなったかと思うと、青と黒の部屋になっていた。
そして灰色のキャンバスから―――。
巨大な手が――――――。
でてきた。
「ーーーっ!!!!!まずい、まずいわよこれ!」
ギャリーは腹の膨れた人形を片っ端に裂いていった。
しかし、出てくるのは石ころや気味の悪い虫。
「ぎゃー!!なっなによこれ!!!」
悲鳴を上げている間にも巨大な人形が姿を現していく。
もはやあれは人形とはいえない。
四つん這いになった姿は獣そのもの。
「まずい・・・まずい・・・あった!!!鍵だわっ・・・・・・っつ!!!」
とうとう鍵を見つけた。
が、巨大人形が完全に姿をあらわにし、ギャリーの体を巨大な手で叩きつけるように押さえつける。
その拍子に鍵は遠くの方へ放り出されてしまった。
「くうっ・・・離しなさい!!!このばけも・・・・・・がっあっ!!!」
巨大な手には小さいギャリーの体を握り、締め付ける。
そして。
「ねえ ギャリー ? 」
「っ!?」
「ギャリー の まけ
わたし おなか
すいちゃった
ごはん に
しよ ? 」
心音が止ま―――――――――
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