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終焉は何処

「あ・・・・も・・ぼく・・・食べられちゃったんだ・・・・・・」
鼓動の音と連動するかのように肉が揺れ動く。
こんな怪物にも心の臓器を持っていると思うと安心するようなしないような。

どく、むにゅ、ぐちゃ、ぐちゅう・・・

「はあっあぁ・・・ふぅあ・・・あんっ・・・ふぁあ・・・」
肉は快楽へと誘ってくれる。
きもちい。肉はとても柔らかいし、これから死ぬなんて思えない。
今の僕にとっては快楽のベッドだ。
肉が肌にすれるたびに体が震える。
寒気と快感が混じり合って、心地よい。
輝を締め付け、緩めを繰り返す。
たまに汚い体液が口に入りそうになる。
全てが心地よく思えてそれすらを舐めとってしまいたくなる。
と、体に違和感を感じる。
肌がチリチリする。
少しずつ痛みに変わっていく。
これは、まさか―――。

ジュ、ジュグゥ・・・

「ああ゛あ゛っああ・・・いだ、いたい、よぉ・・・」
胃液。
焼けるような痛みが次々と突き刺さる。
しかしその痛みも、受ければ受けるほど快感にも思えてくる。
怪物は僕を栄養としか思っていないかもしれない。
でも、ぼくが気持ち良ければ何でもいいのだ。
もう、ほかのことなど、どうでもいい―――。

ぐじゅ、ぐにゅ、びちゃ・・・

肉は輝を溶かすために激しく動く。
もう胃液による痛みはすべて快感へと変わり、溺れていくのみとなった。
「あ、はっあ、も、もっと・・・溶かして・・くだぁ・・はあぁ・・・//////」
肌の色と胃液の色が混じり合い、肉の部屋はアートを描く。
顔に飛び散った胃液はすべて舐めとり、胃液に浸かっていた手をいやらしく舐める。
喉の奥がピリピリして、舌がとろけそうになって、心地よい。
もの足りないときは肉壁を軽く噛み、刺激してわざと胃液を出させる。
快感になるものは多ければいいのだ。
「あ・・・あっうっはああぁ・・・すっごい・・・きもちいよぉ・・・・・・」
もう足があるのか、腕があるのか分からないけど、幸せだっていうのは確かだった。
フィフスセクターは僕らを狙う―――。
みんな・・・ここに来ればいいよ―――。
「みなさんも・・・いこ・・・・?はは・・・あははは・・・・・」
輝はほとんど原形を留めないまま、崩れ落ちた。
そして、極楽浄土への眠りに入る―――。



「気絶したようだ」
「あんなに溶かされてんのによう生きてんな」
「彼にはあそこが天国のような場所だったのだろう。とても清々しい顔をしていたではないか」
「・・・そうなるのかねえ?」
「じゃあ食われてみたらどうだ」
「そ、それは遠慮しとくぜ・・・」
「なんだつまらん」



フィフスセクター聖帝、イシドシュウジ、いや、豪炎寺修也はたまたまそこの監視カメラのシステムを見つけてしまっていた。
豪炎寺は、とても切なそうな顔をしていた。
「・・・・・・」
豪炎寺は手元にあるケータイを開く。
そして、番号を打ち込み、耳にケータイを持って行った。
しばらくすると、豪炎寺が口を開く。
「もしもし、私だが。実は――――」
表も裏にも戦慄が迫ることを彼らは知らない。


12/01/09 04:11更新 / ねじゅみ
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