ぎゅむっ、と胃壁が迫る。
ピカチュウは胃壁と粘液にもみくちゃにされ呻いていた。
胃袋と言う、完全閉鎖空間に呑み込まれあとは溶かされるだけ
と言う知識がピカチュウに絶望を植え付けていた。
決して希望の見えない表情を貼付け、されるがままになっていた。
粘液やらを塗り込まれ、視界も聴覚も利かない。
囁かな抵抗として胃壁を脆弱な力で押し返してみるも、
返せる訳も無く、ただ返されるだけ。
「あぁっ!!」
と、足に鈍く、熱を帯びた痛みが生じた。
ピカチュウの思考に一つの思案が描かれる。
『消化される』
だが、特に暴れるような事はしなかった。
もう、分かっていた事だった。
跡形も無く、消化されこのギガクッパの
血肉の一つになるだけだから……
「みんな……」
徐々に胃液に犯される意識の中で
ピカチュウは最後の意識を手放した。
[5]
前編へ [6]
続編へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想