「っぐ……ソルぅ……」
狭い肉道、柔らかい肉。
その肉にぐしゃぐしゃにきつく揉みしだかれながら
ボクは黙々と食道を嚥下されていた。
より体力を奪うように揉みしだかれていく。
痛みよりも体力を奪うその鬼畜な責めは
睡眠する気力すら奪っていた。
ぐちゃ……ぐちゅちゅっ……
粘液が奏でる粘っこい音が耳を離さず
体が柔肉が揉み続け息つく暇を与えない。
数分後にやっとボクは食道を抜けた。
獲物を糧とする肉の牢獄
胃袋に落ち込んだ。
「落ちたか?シロ。喉越しも極上だった」
ソルの満足そうな声が聴こえた。
ボクには悲痛に聴こえるけれど……
胃壁が妖しく蠢いた。
ぎゅっ、とボクをきつく締め付け
押し潰しにかかる。
「ぁぁあぁっ!!」
最早、万力の如き圧力。
肉体を疲労させるどころか
骨身を砕くかのような勢い。
緩んでは押し潰す。
緩急をつけた胃壁が体力を奪う。
(そうだ……ソルは……)
ソルはずっと寂しかったんだ……
寂寥に捕われて抜け出そうともがいていた。
やっと捕まえた友達はモンスターじゃない。
モンスターであるソルに対して余りにも脆すぎたんだ。
軽く触れただけで粉々に砕いてしまったんだ……
彼の優しさは残虐。
だからこそ、彼は捕まえた獲物に寂しさをぶつけた。
原型も留めない程に粉々に砕いて、喰らってしまう。
寂しさが……彼を残虐にしてしまったんだ……
彼の甘えに、誰も耐える事が出来ないんだ……
「あっ……」
胃壁がボクを解放した。
支えるものを失い、ボクは胃底に倒れ込んだ。
薄らと眠気に襲われ始める。
「安心して寝ろ。俺はお前を消化しねぇ。胃袋で飼ってやるよ、シロ。好きなときに口に吐き戻して何度でも味わってやるからな。覚悟しとけ」
ほら……やっぱり寂しいんだ……
ボクも、ずっと独りだったから
その気持ち、痛感できるよ……
こんなボクで良ければ……
ずっと、側に……いるよ……
さぁ……笑って……ねぇ
[5]
前編へ [6]
続編へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想