進んだ先には、広い空間があり、その上のほうから、音が聞こえてくる。
俺は、上を見上げて、
「おーい!」
と叫んでみた。
その時、いきなり音がやみ、今度は地響きとともに、天井を突き破り、何者かが、俺の目に現れた。
その正体は、ここを住処としているらしいドラゴンだった。
さっきの音は、音ではなく、ドラゴンの鳴き声だった.
ドラゴンは、鋭い目でギロリと俺を睨み、その後、にたりと笑った。
俺は、
「くそ…こんなところで死ぬのはごめんだ!」
と、ドラゴンを見て言った。
ドラゴンは、俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。
俺は、
「うわああっ!」
と言って、あわてて逃げた。
しかし、ドラゴンは執拗に追いかけてくる。
俺は、遂に逃げ場を失い、完全に追い詰められた。
ドラゴンは、怯えている俺を軽く掴み、またニタリと笑った。
俺は、何もできず、ただ茫然とドラゴンを見つめるだけだった。
そしてドラゴンは、大口を開け、俺を口内に入れようとした。
口内には、鋭い牙があり、唾液が糸を引いていた。
舌は、俺を誘うかのように気持ち悪く動き、俺の恐怖を引き立てた。
「う…うわああ…」
俺は恐怖のあまり、目から涙を流し、泣いた。
そんなこともお構いなしで、ドラゴンは、俺を口内に入れた。
口内の筋肉は、俺を激しい動きで揉んでいく。
おれは、必死に羽をばたつかせて抵抗したが、全く効いていない。
俺は唾液まみれになり、ドラゴンは、俺をゴクリと飲み込んだ。
俺は、筋肉が蠢く食道で、もがき苦しんだ。
食道の筋肉は、俺を弄んだ。
その後、噴門を通り、胃に到達した。
胃についた俺は、立ち上がり、胃の壁をつついたり、引っ張ったりしたが、全く効力がない。
俺は、ドラゴンの腹の中で、暴れまわった。
それも効くはずがなく、俺を消化しようと、胃の壁がぐちゃぐちゃと消化の順備を進めていった。
俺は、酸欠により苦しくなってきて、最後にはドラゴンの腹の中で、息絶えた。
ドラゴンは、膨らんだ腹を手でゆっくり撫でた。
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