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第八話

白く妖しく光る細い牙、所々に立っている不透明な唾液の柱、真ん中で蠢く巨大な舌

どれも底知れない恐怖を本田に与えた

震える本田を目の前に妖狐は何の躊躇もなく、勢いよく食らいつく

上半身を咥え込まれた本田はすぐに舌の熱烈な歓迎を受けた


ベロリ、ピチャッ、ニチャァ…レロレロ…


顔、胸、背中…そこに生暖かい唾液が塗りたくられる

くすぐったさと不快感に身を捩ろうとするが、妖狐の牙が自由を奪う

それでも反射的に動いてしまう本田は体に牙が食い込み、痛みに悶えていた

やがて下半身も引きずり込まれ、全身が血と獣の臭いで溢れる蒸し暑い口内に閉じ込められた

死にたくない気持ちはあるものの、あれだけ妖狐に弄ばれた本田の体力は限界に近かった

それでも妖狐は肉厚な舌で本田の体を締め付け、更に体力を奪う

呻き声をあげる本田の顔に巨大な舌の先端を押し付け呼吸を出来ないようにした

息を吸おうとジタバタと抵抗するが、入ってくるのは酸素ではなく生臭い獣の唾液

本田はそれに吐き気を催し、ぐったりと妖狐の口内で倒れ込んでしまった

その中で疲弊と酸素不足が彼の意識を朦朧とさせる

それに気づいたのか、妖狐は本田が意識を手放す直前で舌を彼から離した

「まだ気を失うのは早いんし。これからが本番でありんすよ?」

頭の中に妖狐の笑いを含んだ声が響く

その直後に舌が激しく本田の体を舐め回す

唾液まみれになった本田を飴玉のように転がし、口全体で本田を味わう

舐められる度に本田は呻き声を漏らした

その声に妖狐は悪意のある笑みを零す

「フフフ…良い鳴き声じゃ。その鳴き声を胃袋でも聞かせてくれんやし」

最後にベロリと舐めあげ、獲物を呑み込もうと天井を仰ぐ

舌に傾斜がつき、ズルズルとその上を滑り落ちていく本田の体

助からないと分かっているのに腕を伸ばして涙を流すが、その涙も唾液に混じり、本田の体を包む

ぐにゅっと柔らかな喉肉に足から突っ込み、妖狐の喉に巨大な膨らみを作りあげながら落ちていった


ごくっ!


その生々しい音と共に喉の膨らみは消え、妖狐の腹が膨らんだ


* * * * *


中は赤みを帯びたピンクただ一色

見えないはずの胃壁が本田にはしっかり見えた

「嘘…食われた…」

妖狐に食われた。信じたくないものだが、それは目の前にある蠢く胃壁が何よりの証拠だった

上を見上げれば噴門は固く閉じられ、粘度の高い粘液が顔にベチャリと降りかかってきた

その粘液を両手でとろうとするが、舌や喉肉とはまた違った柔らかさをもつ胃壁が本田を拘束する

よほど空腹だったのか胃壁はきつく本田を締め上げる

それでも生暖かい肉壁の間から粘着質な音をたてながら腕を伸ばし、逃げ場のない胃袋から脱出を図ろうとした

「出してくれ!!」

死にたくないという気持ちから、最後の力を振り絞り胃壁を叩く

しかしそれは無駄な抵抗

胃壁は、ぶにゅりと本田の拳を受け止めて呑み込んでしまう

そのまま本田は身動き出来ないまま胃壁の圧迫と愛撫でを受ける事になった

何度目か分からない苦痛と不快感

胃壁はヌチュ、ニチャリと粘着質な音をたて、粘液を塗りたくる

全身に妖狐の濃い胃粘液が絡みつき、本田は粘液の塊のようになっていた

沢山の粘度の高い糸を引きながら揉まれていると突然激痛が走った

本田は急いで起き上がり、痛みを感じた場所を見た

肌が溶けていた

それは獲物を溶かし、自身の栄養へと変える行動――消化が始まった事を表していた

本田にはもう抵抗する気力もなかった

ただ溶
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