小さくなった腹をシロは優しい瞳で見つめていた
外で降っていた豪雨も勢いが衰え始めていた
シロは窓に近づき空を見上げた
黒い雨雲に覆われた空、遠くの方は晴れてきたのか少し明るかった
南沢がやっていた事を見ていたのか、器用に窓を開ける
雨水を含んだ冷たい風がシロの体にあたった
ふわりとシロの体が浮く
ギリギリ通れた窓から外に出ると白い体をうねらせ、天へと昇り始めた
そして神々しい姿を晒しながら雨雲の奥へと姿を消した
それと同時に雨雲は消え、青空が広がった
南沢の最後の望みはシロに伝わっていた
いや、吸収したと言った方が正しいだろう
雷門を潰すと考えていた南沢が、雷門に勝利をと願った時のシロは本当に嬉しそうだった
それから雷門中は試合を勝ち進んでいった
フィフスセクターに支配されたサッカーは陰を薄めていった
これが彼の望んでいた結果なのだろう
ゴロゴロ…
また別の町では雨雲が広がり豪雨が降った
雷鳴が轟き、轟音と共に一筋の閃光が走る
その閃光は民家が並ぶ普通の道にまで走り、消えた
そこには水溜まりがあり、中にはあの生物が……
とある場所で雷は龍神が過って子を落とした時と同時に落ちると言われている
また違う場合では龍神が子に試練を与える為に人間界へ雷と共に落とすとも言われている
真相は誰も知らない
ただ言えるのは……
タツノオトシゴ…
…龍の落とし子
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