「うっ…く、食われた…」
ズルズルと狭い肉洞を通り、胃袋へと到着した
南沢は少し恐怖を感じていた
ここは獲物を消化する場所なのだから
あちこちから粘液が掻き回される水音が聞こえてくる
その中でドクン、ドクン一際大きく脈動する命の音が谺していた
にちゃっ……ぎゅうぅぅ!!!
「んんん!!」
南沢に反応したのか、胃壁が一斉に迫ってきた
粘液を滴らせながら彼に密着し圧迫した
そして時折粘着質な音を響かせ、南沢の体を揉みほぐし始めた
ぐちゃっ…にちゅっ…ぬちゃぁ…
「あっ…んっ…///」
体内とだけあって、温もりに満ちた場所
胃壁は押し返そうと少し力を加えただけで、ぶにゅりと伸びる
そんな温もりと胃壁のマッサージに南沢は魅了されていた
もうどうなっても良いと彼は思った
雷門から出て行った時から彼はそう思っていたのかもしれない
最初命を奪われる事を拒んだ彼だったが、やはりシロと一つになるという事に悦びを感じでいた
音、感触…全てが愛おしく思え、シロに身を委ねた
「シロ……ん!?///」
ふと肌を焼かれるような痛みが彼を襲った
何かが彼の体に降りかかってきている
それが胃液だと分かるまで数秒もいらなかった
ピリピリとした刺激に一瞬顔を歪めるも、それも快感に変わり自ら胃液に浸りにいった
体が溶けていく中、胃壁も南沢に胃液を塗りつけようと蠢き始めた
「あぁ、気持ち良い///…シロ…もっとやってくれ…//」
その言葉が通じたのか胃壁は激しく南沢を揉み始めた
ぐちゅっ…にちゅっ…じゅぷ…しゅぅぅ…ずちゃっ…どろぉ…
胃液の量も増え、南沢の体が溶けていく
チョコが溶けていくように彼の体も、どろりとした液体になっていく
もう南沢の下半身は液体になっていた
上半身も脆くなっており、少しずつ形が崩れていった
もう少しで消えてしまう
その時に彼は願った
今一番の望み、雷門の勝利を
「アツシ」
シロの声が頭の中に響く
彼は蕩けた表情で見上げた
少し間が空き、再びシロの声が谺する
「アリガトウ……ダイスキ…」
ぐちゃっ
胃壁が肉薄し、彼の体を圧迫した
生々しい音が響き、南沢の意識はそこで消えた
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