白く輝く中国の伝説に出てきそうな龍が南沢の部屋に現れ、彼を見据えている
ただ誰もが想像する巨大な龍とは少し違い、小柄な龍だった
恐らく子供なのだろう
それでも迫力は凄まじいものだった
南沢は圧巻され、震えながら龍を見ていた
「え…うわっ!?」
南沢は状況を理解出来ず、混乱していた
逃げるという考えが浮かばず、ただ龍を見つめるのみ
そんな南沢に龍は長い尻尾を近づけ、彼を自分の元へと引き寄せた
「し、シロ…?」
白く冷たい鱗が並ぶスラリとした胴体に密着しながら龍を見上げ、名前を呼んだ
すると龍は彼と同じ黄昏色の目を細め、笑ったような表情を見せた
その表情に少し恐怖心が消えていく
ベロリ!!
「んぶぶ!?」
突然南沢の視界がピンク色一色に覆われる
どうやら龍――シロが彼の顔を舐めたらしい
柔らかい舌の感触と生暖かく、ねっとりした唾液が彼の顔に絡みつく
突然の出来事に驚く南沢
そんな彼をシロは目を細めて見据えていた
「グルルル♪」
シロは何処か優しい瞳をしていた
けれども少し息を荒げ、妖しい雰囲気を放っていた
絡み付く唾液を手で拭いながら南沢はシロを見上げた
「え、うわ!?」
シロの牙が彼の目前に迫ってきたかと思うと、一瞬で彼の服が食い破られて床に落ちた
生まれた時の姿にされ、南沢は顔を紅潮させていた
彼の素肌にまたシロの体が密着する
冷たい鱗の感触が直に伝わるも、シロから伝わる温もりも感じていた
そして背中にシロの両手が回り込み、完全に抱擁を受けている形となっていた
シロのザラザラとした手
彼はそこからも温もりを感じていた
ベロォ…
その手が彼を抱き上げると再び肉厚な舌が南沢の体を這う
足元から顔まで蛇が這うようにゆっくりと…
舌は彼に合わせて形を変え、ぶにゅりと彼を沈ませる
南沢はそれも快感だと思い、喘ぎ声を漏らした
その様子にシロはまた目を細めた
その表情は何処か幼さを感じると同時に妖しさも感じるものだった
「グルルル…アツシ、食ベタイ…」
「え!?」
その言葉を聞き、背筋が凍るような感覚が走った
再びシロを見上げると、目つきが捕食者に変わっていた
消えかけていた恐怖が甦り、南沢に戦慄を覚えさせる
彼が反応する前にシロはもう次の段階へと入っていた
長い体を動かし、彼の周りを囲む
蛇が獲物を捕まえた時の姿と同じ状態
南沢は、シロが作ったとぐろの中に閉じ込められたのだ
真っ白な鱗の壁には逃げ道は無かった
南沢もそれを分かってか、抵抗するのを諦めた
そこにシロが顔を迫らせてくる
後数センチという距離
フシュッと、シロの鼻息が南沢の髪を揺らした
彼の腹部にもシロの熱を帯びた吐息がかかる
ここまで来ると中止なんてしてくれない
そう思った南沢は諦めたのか苦笑いを浮かべた
そして右手を伸ばし、シロを撫でる
ぐぱぁ……
その様子からシロも彼の気持ちを読み取り、笑ったような表情を見せる
その後にじゅるり、と舌なめずりをして大口を開けた
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