キーンコーンカーンコーン…
黒い雲が空を覆い始めた頃だった
ほとんどの人が耳にした事がある学校のチャイムが鳴り響いた
静かだった校庭が一気に生徒の声で賑やかになる
ここは雷門中学校
サッカーで有名な学校である
そこのグランドで今にも雨が降りそうな雰囲気にも関わらず、ユニフォームを着た生徒がサッカーをしていた
彼らが今の雷門中サッカー部
試合が近いようで、誰もが真面目に練習していた
その熱の篭った掛け声は帰って行く生徒の耳にしっかり届いていた
「…まだやっているのか」
その声に反応した一人の青年がいた
雷門の制服に身を包み、紫色の髪と黄昏色の瞳が特徴的な青年
元サッカー部の南沢篤志である
彼はフィフスセクターに反抗する今のサッカー部には着いていけないと思い、自ら退部した
力尽きることのなさそうな掛け声を聞き、一瞥すると呆れた笑みを零す
そして癖でもある顔の右側に大きく垂れかかっている前髪をかきあげ、中学校を後にした
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