「では、裁判を始める。」体が全く動かせない今のままではどうする事も出来ずただ恐怖に震えていた。「アルミナよ、我の問に正確に、正しく答えよ。」
「は、はい。」恐怖に震えている自分を必死に抑えた。
「お前は殺生をして。生き物を殺した事があるな?」処刑人からの問だ。「いいえ、してません。」すると、狼が冷静な口調のまま。
「嘘をつくな。言った筈だ。我は人間の心が読めると、もう一度チャンスをやる。お前は殺生をした事があるな?」
自分では記憶にない事だった。
「いいえ!僕は人を殺してません!」しかし、黒狼は視線を彼に向けたまま哀れんでいるように言う「誰が人を殺したと言った?教えてやろう。お前は虫を数えきれないほど殺している。まぁ、これで貴様は我の血肉になる事が決まった。」
その瞬間一つの確信が生まれた。“食われる”
「い、嫌だ…食べないで…!」
「駄目だ。貴様は自分が犯した罪さえ自覚していない。それに…」言葉を詰まらせた黒狼の口元から粘着性のある唾液がだらしなく滴り落ちていた。「く…動け!動いてくれ
amp;#8252;」
「丁度腹も減っていたしな。生きたまま呑み込んでゆっくり消化してやる。」次の瞬間黒狼の尻尾が自分を巻き取る。
「い…いやだぁぁぁぁぁ
amp;#8252;」
「フフフ、喰いごたえがありそうだ。」グパァ…と黒狼が巨口を開くと同時に無数の半透明な唾液の線が張り巡らされていた。「う、うわぁぁぁぁぁぁ
amp;#8252;
amp;#8252;」バクン。クチャ…クチャ…ニチャ…
「クク、このまま胃袋まで運んでやるからな。」ゴクリ…。怪しい音をたてて黒狼の喉が大きく膨らみその数秒後には膨らみが黒狼の腹に移った。
「う、そんな。食われた。」グチュ…クチャ…ポト…ジュゥゥゥ…
「ウギャァァァァァ!」
彼に落ちた胃液がゆっくり彼を溶かしていった。
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