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第一話:わにとドラゴン(前編)

 生まれてすぐに見た景色を、あたしは未だに覚えている。厚い殻を漸く破ると、目に映
り込んだ景色はまさに壮観だった。

 そして、目に映る全てが、どうしようもなく大きかった。

* * *

「――っ!」 

 足下を掠めた巨大な手に、羽ばたき疲れて朦朧とする意識を立て直した。
 あたしの後方すぐ下には、やんちゃそうなチビ猿と、小生意気そうなこれまたチビの鼬
が追いかけてきている。
 ――ただ、残念なことに、そいつらに比べるとあたしは更にチビチビチビチビと言える。

 つまり、あたしの体は凄く小さいということだ。

 昼飯を食べようとしていた時に奴らに見つかって、その後ずっと追いかけられている。
森の中をどれだけ彷徨ったことか。
 横目に空を見るといつの間にか、真っ赤な太陽が遠くの山に掛かっていた。ってことは、

昼間中ずっと追い回されていた訳だ。ホントしつこいなこいつ等。

 そう思った直後、少し気が緩んでしまい、高さが落ちた。
 そこをすかさずチビ猿がジャンプ。影に覆われたと思ったら、次の瞬間にはチビ猿の手
の中にあたしの体は収まっていた。

「へへーん、捕まえたぁ!」
「離せ! このチビ!」
「お前のがチビじゃんか」

 ケラケラ笑いながら顔の前にあたしを引き寄せる。必死に足掻いてみるも、奴は結構き
つ目に握り締めていて、びくともしない。息苦しい。加減を知らないガキだ。

 炎を吐いてみる。ぶわっと湧き上がったあたしの炎に、二匹とも全く動じなかった。相
手は炎タイプのヒコザルと、水タイプのブイゼル。どっちにも効きやしない。
 そもそもあたしが吐く炎なんて、頑張っても火の粉に毛が生えた程度の勢いしかない。
空中でパッとすぐに消えてしまう。

 散々逃げ回ったし、昼飯を食いそびれた所為で、そろそろ体力は限界を迎えている。抵
抗は無駄だと悟って、あたしは項垂れた。

「今日はこいつで何しようか」
「そうだねぇ」

 悪戯な笑みを浮かべながら、ガキ共は頭を捻る。その間あたしは、来るべき屈辱の時を
ただ待つだけだ。下手に暴れようものなら、抑えようと力加減を誤ったガキに握り潰され
かねない。それだけあたしは小さくて、弱い存在だ。そこは自覚している。悔しいけど、
大人しくしといた方が安全だ。

 だからと言って、落ち着いて悪戯を待っていられるわけでもない。こいつ等の悪戯とき
たら、最悪この上ないからだ。見た目は馬鹿っぽいくせに、悪戯のこととなるとあたしの
気が滅入りそうなことを次から次へと考える。
 ある時はアーボの住処に放り込まれた。ま
たある時は体を蔓で縛られて、昼寝中のカビゴンの口元にぶら下げられた。一番許せなか
ったのは、地面に掘った穴の中にを入れられて、上から小便を引っかけられたことだ。あ
の時は溺れ死ぬかと思ったし、少し飲んじゃったし、臭いは暫く取れないし――何よりも、
雌としてのプライドをズタズタにされた。
もしもあたしが、せめて普通の大きさのリザードンだったなら、このガキ共を黒焦げに
してやるのに。本当に残念だ。

「……なぁ。もう結構空暗くね?」
「本当だ」

 ガキ共が空を見上げる。西の空に僅かに夕日の色が残ってはいるけど、辺り一帯は薄暗
くなっていた。冬が近づいてきていて、日が沈むのが早い。

「どーする?」
「そういえば僕、お腹空いてきたなー。今日は走り回ったし」
「俺も。こいつが逃げやがるから……なっ!」

 あたしは、顔の左半分に凸ピンという名の暴力を受ける。指一本で簡単に顔が持って行
かれた。あたしだって好きで逃げていたわけじ
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