僕は今逃げている。
疲れても、途中諦めたくても走り続ける。
「もう、大丈夫かな・・・」
追っ手はもう来ない。
でも逃げてよかったのだろうか。施設に、母が連れて行かれたのに・・・
この世界には、トランスリングというものがある。
人間が作った指輪のようなもので、身につけると身体能力が上がるものだ。
まあ、身体能力が上がると言っても、開発途中なので不完全。
トランスリングには動物の遺伝子が使われる。
なので、足が速い動物に変身するとか、ジャンプ力の高い動物なんかに変身してしまう。
そして、トランスリングには使える人と、使えない人の適性がある。
国の定期検査では、その適性を診断している。
トランスリングを使える人は、被検体として施設に収容される。
そして、僕と母は国の定期検査で捕まった。
その後、母は僕を逃がした。
今頃母はどうしてるだろう・・・
母に会いたい・・・
幼い頃に父を亡くしても母と二人で幸せに暮らしていたのに・・・
そんな時だった、あの噂を聞いたのは。
ある電話番号にかければ、たまに誰かが電話に出て願い事を叶えてくれるという。
そして、電話に出るひとは人間じゃないらしい。
バカバカしい。よくある都市伝説みたいなものじゃないか。
「でも・・・」
母に合わせてくれるなら、なんでもしよう。
そう思ったのだ。
だからダメ元でやってみた。
プルル・・・プルル・・・
(やっぱりならないか・・・)
プルル・・・プっ
『もしも〜し、こちらペンテ。あなたの願い事はなんですか?』
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