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連載小説
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ソルの口腔。ボクには暗すぎて何も見えなかった。
暗闇の中感じられるのは粘っこい唾液に
蠢く舌、右手辺りに感じられる鋭牙か。
「十分に味見してから呑み込んでやるよ」
舌が蠢き、ボクを縛り上げた。
そのまま強く絞め付けられ味を搾り取られていく。
その状態で激しく揺さぶられ体力も奪われていく。
(モンスターってなんだろう?)
ふと、そう思った。
人間を殺し、殺され。
有益でも無益でもなぜ殺される?
殺されるだけの存在?
そんなの……無駄な存在。
「あっ……ん……」
舌の戒めが解かれ、今度は舌の上で
執拗に舐め転がされる。
先程の責めで体力はほぼ底を尽きかけていた。
荒く浅い呼吸を続ける中、何度も舌で舐め転がされる。
(無駄な存在……か)
じゃぁ、なんで神様はそんな存在を作ったんだろう。
モンスターがいなければ
ボクも両親も殺されずに済んだのに。
まだ殺されてはいないけど、それも時間の内
現在進行形なのだから。
「っあ……」
今度は舌が持ち上がり硬口蓋に強く押し付けられた。
グリグリと舌先が最も強く押しつけ弄んでくる。
それに微かな呼吸を乱されさらに体力を消耗してしまう。
きっと、味も奪われているだろう。
(それじゃ……ソルは?)
もし、神様がモンスターが生み出されなければ?
ボクはソルと出会えなかったかもしれない。
この寂寥に捕われた残虐狼に。
唐突に背中が柔肉に包まれた。
軟口蓋に押し付けられているようだった。
柔らかい肉が返って体勢を崩され、体力を失う。
ボクはすでに疲労困憊だった。
にもかかわらずソルの責めは激しさを増すばかりだった。
舌が戻る。体を支える事すらままならない。
柔軟な舌に全体中を預けてしまう。
「いい声だすなシロ。それに美味い」
「うぅ……」
下から振り落とされ、下顎に落下してしまう。
さらにそこへ、口蓋から、舌からも
唾液が降り注ぎ瞬く間に唾液風呂に浸かる形になってしまう。
「俺からの餞別だ」
「んっ!? んんんっ!」
その状態から口先に舌先が強引に突っ込まれ
分泌された唾液を直で喉に流し込まれてしまう。
ボクは抵抗らしい抵抗もできずに
その唾液を大量に飲み込んでしまう。
生暖かい粘液が喉を下り、腹に溜まる。
「げほっ!! がはがは……」
舌が去り、自由を取り戻した瞬間に
体が反射で唾液を吐き出そうと咳き込む。
「もう少しで呑み込んでやるからな」
舌が蠢き、ボクは跳ねてしまう。
そしてそのまま、牙の隙間に落とされると…
グニィ、アグアグ、グニッ
鈍い痛みを伴う程で何度も甘噛みされる。
「っ……ううっ!んあっ……」
時には呻き、時には甘い声を漏らし。
底に着いたはずの体は過剰な反応を示す。
「そんなに喘いで気持ちいいのか? それなら」
体を挟み込む牙に一層力が籠った。
それも皮膚を喰い破るのを厭わないかのように。
「えぁ……や、やめ、ぁぁぁぁああっ!!」
ぶつっと皮膚を鋭牙が喰い破り
ボクの鮮血が口腔に広がる。
「んっ、血も美味ぇな。いい声だしな」
舌先がボクを掬い、喉奥へ放り投げた。
いよいよ呑み込むつもりか。
ソルが天を仰いだようで口腔に傾斜がついていく。
鮮血にも唾液にも塗れた体にも
唾液を存分に含んだ舌にも
摩擦などない。
直角の傾斜を落ちるように舌上を滑り落ちる。
「じゃあな。シロ」

ごくん!
12/03/08 02:51更新 / セイル
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