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連載小説
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7−
気がつくと、ブイゼルは地面に横になっていた

風の音が響いて聞こえることから、どうやら洞穴の中のようだ

「うっ……。こ、ここは?」

呻きながら体を起こし、周りを見渡す。外へと繋がる洞穴の入り口から注がれる一筋の太陽の光のお陰で、真っ暗というわけではなかったが、それでもやはり少しは暗い

「僕は、いったい――」

「おっ、目が覚めたみたいだな」

静かな空間に、堂々とした声が鳴り響いた

ブイゼルは声が聞こえた方を振り向いた。そこには、逆光でよく見えないが自分よりも大きな者がいた

その瞬間、飲み込まれた時の記憶がフラッシュバックした

「い、いや! やめて!」

『また食べられる!』そう思ったブイゼルは、身を縮めて必死に叫んだ

気持ちが悪い口の中、体を締め付けられる細い食道、そして何よりも吐き気を催すような異臭を放つ胃袋

どれをとっても、ブイゼルには地獄、あるいはそれ以上の場所だった

そんな事を考え、ガタガタと震えていたブイゼルに対し、その声の主は優しく語りかけた

「おい、落ち着け。俺はさっきのバンギラスじゃない」

「ひぇ?」

予想外の返答に、ブイゼルは間抜けな声で反応してしまった

「安心しろ、アイツは俺が何とかしてやったから」

先程のバンギラスとは違い、堂々としていて、それでいて優しく、温かな声だった

「俺はリザードンだ。お前は?」

「あ……ブイゼルです」

「そうか、ブイゼルか。よろしくな。あ、あと敬語じゃなくていいから」

リザードンはニコニコと笑いながら言った

「さてと、もうじき日が落ちる。夜のこの森は危険だ、俺が家まで送ってやろう」

「えっ、そんな……悪いです」

「いいから、いいから」

そう言いながらリザードンに背中を押され、少し体を強張らせるブイゼル。何故ならリザードンの暖かくも、冷たくもない獣特有の鋭い爪が、少しブイゼルの背中に食い込んだからだ

そんなぎこちない歩き方で、ブイゼルは押されるがままに外へと出たのだった
11/11/25 21:52更新 / マタタビ
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