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連載小説
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4−
ブイゼルは、取れたばかりの実をバスケットごと川の中に沈めて、冷やしていた

「やっぱり、冷たい方が果実は美味しいよね♪」

そう言って、バスケットから一つ実を取り出す。艶やかな実についた水滴が太陽の光を浴びて輝いて見えた

「一つ味見しちゃお」

小さな口を目一杯開いてその立派な実にかぶりつく

途端に口の中に爽やかな果汁が広がった

「ん〜♪ 美味しい!」

ゆっくりと口に頬張ったものを咀嚼しながら、ブイゼルは幸せな気分に包まれていた。その時までは……

「よぉ、美味そうなもの食ってるじゃん」

不意に声をかけられ、体を強張らせるブイゼル

その声のする方を向くと、自分の2、3倍はあるだろう巨大なバンギラスがニタニタと不気味な笑みをうかべて立っていた

「ククク。まぁそんなに怖がるな。あまりにも美味そうだったからな、思わず声をかけちまっただけだ」

笑みをうかべたまま話すバンギラス。その様子からすると、何か裏がありそうな顔だ

「……一つ恵んでくれないかな?」

「う、うん……」

下手に嫌がったら、何されるか分かったもんじゃない。そう思ったブイゼルは、実を取り出そうとバンギラスに背を向けた

その時だった、気がつけばブイゼルはバンギラスの緑色のゴツイ手に捕まれていた

「な、何を!」

「決まってんだろ、食事の時間だ」

口の端から涎を滴ながらバンギラスは言った

「だったら降ろしてよ。実が取れないじゃんか」

「あー、そっちじゃないんだよな」

そう言うと、ペロリとブイゼルの首もとを舐めた

「ひぅっ!」

その慣れない感覚に襲われ、ブイゼルは変な声をあげた

「いい声で鳴くじゃないか」

ググッと、バンギラスの鎌のような爪がブイゼルの体に食い込む

「うっ、止めて。離してよ……」

背中に脂汗をかきながら、ブイゼルは上目遣いでバンギラスに言った

「あぁ、すぐに離してやるとも」

そう言うと、バンギラスはガパッと大きな口を開いた

パカッと開いた口には鋭く尖った牙が何本もあり、所々黒いシミがついていた

「ひっ! ちょっ、ま――」

「いただきま〜す♪」

ブイゼルは抵抗するままなく、バンギラスの口の中に放り込まれた
11/11/25 21:25更新 / マタタビ
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