第八話
どちゃっ!
本日二度目の吐き出し
冷たい空気が肌を刺す
やっぱり体にまとわりつくヌルヌル感には慣れない
今度は風車の中ではなく、外に出たらしい
周りは向日葵の黄色一色
豪雨も小雨程度にまで勢いが衰えている
肌に触れる雨水が体液を少しずつ流してくれた
「お姉ちゃん…?」
振り返ると彼がいた
そう、黄色い狼
その奥には瓦礫と化した風車が倒れている
もし、あのまま誰も来なければ……
再び狼に視線を戻す
今度の彼は耳をパタンと折り曲げ、尻尾を丸め、申し訳なさそうな瞳で私を見据えている
怒られるのではないかと怯えてるようだ
私はそんな彼の頭にそっと手を伸ばす
彼は一瞬目を瞑り、ビクッと体を震わせた
けれど私が手を置いた瞬間に力を抜かしていく
翡翠色の瞳がゆっくりと開かれ、私を見つめる
怒ってないの?と言いたそうな顔をしている
だから私は微笑みながら、彼の頭を撫でた
「クーン…♪」
次第に狼の表情が明るくなっていく
耳は起き上がり、尻尾も左右に振られる
両手で彼を撫で回すと、その仕草が一段と大きくなる
飼い犬と戯れてるような感覚に私も笑顔になっていた
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
「ん?」
「遊ぼ♪」
今度は首を縦に振ってあげる
すると狼は嬉しそうに、はしゃぎだした
同時に雨が止み、少しずつ雲が消えていく
「きゃっ!」
忘れそうになっていたが、相手は巨大な狼
力は普通の大型犬とは比べものにならない
そう、私は押し倒された
やり過ぎた、という様な表情を浮かべて私の顔を覗き込んでくる
そこで私が微笑むと、彼も微笑んでくれる
そしてあの平べったい舌で顔を舐めてくる
一瞬にして私の顔は唾液まみれ
でも、そのくすぐったさに私は声を出して笑った
久し振りに笑ったかもしれない
喜んでると勘違いしたのか、彼も嬉しそうに私を舐め回す
雲が薄くなり、隙間から温かい日差しが差し込んでくる
少しすると明るい太陽が姿を現した
彼と太陽が重なり、光輝いて見える
それは周りを照らすと同時に私の心まで照らしてくれる
「お姉ちゃん…また、食べて良い…?」
「え?」
あれだけ憎たらしかったのに
「その…お姉ちゃん…美味しかったから…」
「…制服が乾くまでの間だけだよ?」
今じゃ、全く違う
「うん♪」
向日葵が咲き乱れる場所
そこで、私は小さな太陽に出会った
本日二度目の吐き出し
冷たい空気が肌を刺す
やっぱり体にまとわりつくヌルヌル感には慣れない
今度は風車の中ではなく、外に出たらしい
周りは向日葵の黄色一色
豪雨も小雨程度にまで勢いが衰えている
肌に触れる雨水が体液を少しずつ流してくれた
「お姉ちゃん…?」
振り返ると彼がいた
そう、黄色い狼
その奥には瓦礫と化した風車が倒れている
もし、あのまま誰も来なければ……
再び狼に視線を戻す
今度の彼は耳をパタンと折り曲げ、尻尾を丸め、申し訳なさそうな瞳で私を見据えている
怒られるのではないかと怯えてるようだ
私はそんな彼の頭にそっと手を伸ばす
彼は一瞬目を瞑り、ビクッと体を震わせた
けれど私が手を置いた瞬間に力を抜かしていく
翡翠色の瞳がゆっくりと開かれ、私を見つめる
怒ってないの?と言いたそうな顔をしている
だから私は微笑みながら、彼の頭を撫でた
「クーン…♪」
次第に狼の表情が明るくなっていく
耳は起き上がり、尻尾も左右に振られる
両手で彼を撫で回すと、その仕草が一段と大きくなる
飼い犬と戯れてるような感覚に私も笑顔になっていた
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
「ん?」
「遊ぼ♪」
今度は首を縦に振ってあげる
すると狼は嬉しそうに、はしゃぎだした
同時に雨が止み、少しずつ雲が消えていく
「きゃっ!」
忘れそうになっていたが、相手は巨大な狼
力は普通の大型犬とは比べものにならない
そう、私は押し倒された
やり過ぎた、という様な表情を浮かべて私の顔を覗き込んでくる
そこで私が微笑むと、彼も微笑んでくれる
そしてあの平べったい舌で顔を舐めてくる
一瞬にして私の顔は唾液まみれ
でも、そのくすぐったさに私は声を出して笑った
久し振りに笑ったかもしれない
喜んでると勘違いしたのか、彼も嬉しそうに私を舐め回す
雲が薄くなり、隙間から温かい日差しが差し込んでくる
少しすると明るい太陽が姿を現した
彼と太陽が重なり、光輝いて見える
それは周りを照らすと同時に私の心まで照らしてくれる
「お姉ちゃん…また、食べて良い…?」
「え?」
あれだけ憎たらしかったのに
「その…お姉ちゃん…美味しかったから…」
「…制服が乾くまでの間だけだよ?」
今じゃ、全く違う
「うん♪」
向日葵が咲き乱れる場所
そこで、私は小さな太陽に出会った
12/08/05 00:38更新 / どんぐり