第六話
ゴロゴロ…ザァーッ!!!
「…っ!?しまった!!」
いつの間にか私は眠っていた
目を覚ますと、雨が降っている様子が目に飛び込んでくる
雨のせいで外も中も一気に暗くなってしまった
時折轟く雷鳴が周りを照らしている
私は急いでテラスに向かい、制服を手にとる
少し濡れてしまったが、すぐ乾く程で済んだ
その間に雨は激しさを増していく
傘を持っていない私は、ここで暫く待つ事にした
何処もかしくも埃を被っている為、制服は自分で持っておく
冷たく、湿っているせいで寒い思いをするけど仕方ない
「大丈夫かな…っ」
ふとあの狼の事が頭を過る
この豪雨の中、何処にいるのか、寒い思いをしてないか…と
でも制服を見ると、その心配も消え去る
「最悪…」
制服をよく見ると穴が空いていた
他にも生地が若干薄くなってたり、ボタンが消えている
幸い縫えば誤魔化す事が出来る
一瞬安心したが、恐怖も覚えた
あのまま狼の胃袋にいたら、どうなっていたか…
恐ろしくて考えるのを止めた
それだけ不快な思いをさせたのだから、ますます許せない
あんなうざったい狼…どうなってもいい
ピシャァァッ!!!
「きゃっ!?」
眩い閃光が走り、風車が一瞬揺れる
その震動に私は戦慄を覚えた
そして次の瞬間
ガラガラと何かが崩れ去る音が響き渡る
音はかなり近い
危険だと思ったが、私はテラスに出て確認しようとする
だが、出来なかった
テラスが無くなっていた
眼下に広がるのは雨に濡れた地面と向日葵
水溜まりに作られる無数の波紋がこの豪雨の激しさを表している
その隣には、瓦礫の塊が落ちている
私は恐る恐るテラスへ顔を出し、見上げてみた
黒い雲が覆う空を背景に紅を纏う羽が私の目に飛び込んでくる
どうやら風車の羽に落雷したらしく、そこで崩れたものがテラスの床と一緒に落ちたのだろう
そうしている間にまた瓦礫が落ちてくる
ボロボロと崩れていく様子に私は危険を悟った
急いでこの場から離れなきゃ
そう思った瞬間、床が動き出す
いや、風車自体が動いている
一部の羽を失い、軽く形を崩した風車が傾き始めたようだ
鈍い音と共に床に傾斜がつく
バランスを崩した私の体は、小麦粉の袋と共に奥へ滑っていく
起き上がろうとしたが、重力に負けて転んでしまう
強風により更に傾いていく風車
今から逃げてももう間に合わないだろう
…別に死んでも良いかもしれない
受験から解放されるし、母と喧嘩する事がなくなる
それに、私一人が死んだところで世界が変わるわけない
「…助けて…」
そう思って楽に死にたい
でも死ねない、死にたくない
そんな思いは涙になって、私の頬を伝う
気がつけば私は泣きじゃくっていた
暗い風車の中に私の泣き声が響き渡る
それをかき消すように、周りの雑音が一段と大きくなる
その中に一つ、聞き覚えのある音が近づいてくる
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
必死に私を呼ぶ声
憎たらしい声なのに、凄く嬉しい
「怒らないでね」
生暖かい風が私の体を包み込む
どうやらまた私を食べるつもりらしい
他に手段はないのかと聞きたいが、今は大人しくしておこう
「…っ!?しまった!!」
いつの間にか私は眠っていた
目を覚ますと、雨が降っている様子が目に飛び込んでくる
雨のせいで外も中も一気に暗くなってしまった
時折轟く雷鳴が周りを照らしている
私は急いでテラスに向かい、制服を手にとる
少し濡れてしまったが、すぐ乾く程で済んだ
その間に雨は激しさを増していく
傘を持っていない私は、ここで暫く待つ事にした
何処もかしくも埃を被っている為、制服は自分で持っておく
冷たく、湿っているせいで寒い思いをするけど仕方ない
「大丈夫かな…っ」
ふとあの狼の事が頭を過る
この豪雨の中、何処にいるのか、寒い思いをしてないか…と
でも制服を見ると、その心配も消え去る
「最悪…」
制服をよく見ると穴が空いていた
他にも生地が若干薄くなってたり、ボタンが消えている
幸い縫えば誤魔化す事が出来る
一瞬安心したが、恐怖も覚えた
あのまま狼の胃袋にいたら、どうなっていたか…
恐ろしくて考えるのを止めた
それだけ不快な思いをさせたのだから、ますます許せない
あんなうざったい狼…どうなってもいい
ピシャァァッ!!!
「きゃっ!?」
眩い閃光が走り、風車が一瞬揺れる
その震動に私は戦慄を覚えた
そして次の瞬間
ガラガラと何かが崩れ去る音が響き渡る
音はかなり近い
危険だと思ったが、私はテラスに出て確認しようとする
だが、出来なかった
テラスが無くなっていた
眼下に広がるのは雨に濡れた地面と向日葵
水溜まりに作られる無数の波紋がこの豪雨の激しさを表している
その隣には、瓦礫の塊が落ちている
私は恐る恐るテラスへ顔を出し、見上げてみた
黒い雲が覆う空を背景に紅を纏う羽が私の目に飛び込んでくる
どうやら風車の羽に落雷したらしく、そこで崩れたものがテラスの床と一緒に落ちたのだろう
そうしている間にまた瓦礫が落ちてくる
ボロボロと崩れていく様子に私は危険を悟った
急いでこの場から離れなきゃ
そう思った瞬間、床が動き出す
いや、風車自体が動いている
一部の羽を失い、軽く形を崩した風車が傾き始めたようだ
鈍い音と共に床に傾斜がつく
バランスを崩した私の体は、小麦粉の袋と共に奥へ滑っていく
起き上がろうとしたが、重力に負けて転んでしまう
強風により更に傾いていく風車
今から逃げてももう間に合わないだろう
…別に死んでも良いかもしれない
受験から解放されるし、母と喧嘩する事がなくなる
それに、私一人が死んだところで世界が変わるわけない
「…助けて…」
そう思って楽に死にたい
でも死ねない、死にたくない
そんな思いは涙になって、私の頬を伝う
気がつけば私は泣きじゃくっていた
暗い風車の中に私の泣き声が響き渡る
それをかき消すように、周りの雑音が一段と大きくなる
その中に一つ、聞き覚えのある音が近づいてくる
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
必死に私を呼ぶ声
憎たらしい声なのに、凄く嬉しい
「怒らないでね」
生暖かい風が私の体を包み込む
どうやらまた私を食べるつもりらしい
他に手段はないのかと聞きたいが、今は大人しくしておこう
12/08/05 00:34更新 / どんぐり