長き夜の終わり
薄暗い部屋の中で次元は目を覚ました。夜と朝が混じり合う、曖昧な時間。 そのまま身じろぎもせず、次元はしばらくぼんやりと天井を眺めていた。
懐かしい、と感じた。
この部屋に来たのは昨夜が初めてだと言うのに、何故か、ここが自分の居場所であると感じる安堵感。深い安らぎ。 その時、かたわらでゆったりと動くものがあった。懐かしい、幼馴染の姿がそこにあった。 次元の体に、もう離すまいとばかりにしっかりとまわされた腕が、薄闇の中でほの白く浮かび上がっている。
きのう、コイツを殺そうとした。妹の為に。
なのにコイツは、まるで神のように、俺も妹も救い上げ、長い夜から俺を解放してくれた。
それはずっと昔から知っていた事だ。 コイツはいつだって、風のように自由で。 太陽のように世界に君臨し、月のように闇夜を照らす。そして雨のように、俺を潤す…。
昨夜の深い口づけを、熱い吐息を、紡がれた言葉を、俺は忘れないだろう。 「愛している」と、激しく俺を求めながら繰り返していたコイツを、俺は死ぬまで忘れないだろう。
これからは、ずっと一緒だ。
ルパンはまだ深い眠りの中に居た。その顔は穏やかで、神々しいまでの微笑をたたえていた。 やがて、朝日が昇った。
〜Fin〜
2008/01/16 忍さまへ ---------------------------------------
|