セックスマスター

・・・2・・・

「さあ、始めようかね。」

赤い女はそういうと奥の扉から一体のはだかのマネキン人形をひきずってきた。
「まずは初歩の初歩だ。全員ができて当たり前だよ。」
女はマネキンを四人の中央においた。

「さあ、ひとりずつ、これを本物だと思って抱きついてみな。」

最初にマッスルが立ち上がった。マッスルはマネキンの正面 からゆっくりと抱きしめた。

ビシッ、女の鞭が鳴る。
「なんだい?その抱きつき方は?あんたのは単なるだっこちゃん人形だよ。」

次に色黒が立ちあがった。色黒はマネキンの後ろから羽交い締めにした。
ビシッ
「豚でもつかまえようってのかい?」

「つぎっ!」
パトロンがおそるおそる立ちあがる。まだ考えがまとまっていないようだ。
ビシッ
「女が逃げちまうよっ。次、お前だよ。」

宇津井健は、立ちあがるやいなや、ウオッとうなりマネキンに抱きついた。マネキンがぐらりと動く。

 四人は一斉に女を見た。女の鞭が鳴らない。
「ふうーん、悪くないねえ。でもまだまだだよ。こんな程度じゃ、女心はぐらりともきやしない。」

「女ってのはねえ、男の押しに弱いもんなんだよう。」
女は急に声色を変えて、ほうっとため息をついた。

ビシッ
「このマネキンの首がとぶぐらい、思いっきり抱きつくのさ。」

男たちは、順番にマネキンに抱きついていった。
ビシッ
「まだまだっ!」
女の激がとぶ。

ドカッ、ビシッ。ドンッ、ビシッ。………

「よし、だいぶ上達したじゃないか。」
肩で息をする男たちに向かって、女は叫んだ。

「じゃあ、次の課題に行ってみようじゃないか。」

 マネキンは4人の男たちのタックルを受け、無惨にもぼろぼろになっていた。

 

 赤い女は、奥の部屋に戻ると、スーパーの袋を提げて戻ってきた。

 女が袋をひっくり返すと、ごとっごとっと音を立てながら、カップのプリンが山のように出てきた。
「プリンですか?」
色黒が女に尋ねると、女は男たちの方を振り返り、
「そう、プリンさ。もう、分かっているだろ?」

「プリンと言えば?!」
女が大声で叫ぶ。男たちは何も言わない。
ビシッ。
「なんだい、なんだい。このふにゃふにゃヤロウども。プリンと言えば、おっぱいに決まっているじゃないかっ。」

男たちは、おおっ、と感心する。

女は男たちの前に一枚ずつ皿を並べると、プリンを皿に出していった。

「さあ、お前たち、そのプリンをそのまま口にお入れっ。ただし、噛んだり飲んだりしたら承知しないよっ。」

男たちは、黒いマスクを鼻までめくり、ぷるぷるとふるえるプリンを口のなかにほおばった。

「上のカラメルは、女の乳首さっ。乳首を征する者は、あそこも征す。そうだろっ?」
「んがあ。」
男たちは、口からはみだしたプリンを落とさないように上を向き、女の言葉にうなずく。

「さあ、舌づかいの練習と行こうじゃないか。」
ビシッ
「お前たち、カラメルだけを舌で吸い取りなっ!プリン本体まで飲むんじゃないよ!」
男たちは、喉仏を激しく上下に動かしながら、もがいている。

ゴクッ…、パトロンがプリンの半分を飲み込んでしまった。
ビシッ
「何をやってるんだ、何を!もう一回おやりっ。」

パトロンはおどおどと女の目を見ながら、次のプリンを皿にだした。
「んご…、んごご…」
ビシッ
男たちの誰かが失敗するたび、女の鞭が鳴る。

 山のように積まれたはずのプリンが減っていくと、男たちはさらに必至にもがきだした。

用意されたプリンが無くなる前には、四人の男たちはなんとかこの乳首しゃぶりの訓練に合格したが、男たちのあごは、これ以上ないというほどガクガクし、胃袋はプリンで満たされていた。

 

 

 


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