ぱちん、ぱちん

規則的な音が響く。

ぱちん、ぱちん。





「はい、おいまい。次は?」
「反対の足で。」
「OK」
白く細い足をとって再び規則的な音を響かせる。
飽きることなく続けられる行為に帝人はくすくすと笑って足元にいる臨也に尋ねた。
「楽しいですか?」
「ん〜?楽しいよ、とっても。俺だけに許された行為だしね。」
臨也の部屋。
広い寝台の上で帝人はただシャツを羽織ったまま横になり、臨也は下を穿いただけでその足元で恭しく爪を切っている。
「シズちゃんには無理でしょう。こんな細かい仕事。」
「あ〜、ですね。力加減が難しいらしく手が震えてたんで禁止にしました。」
その時のことを思い出したのか笑みを零す帝人に面白くない臨也は爪切りを投げ捨て、その足を舐めた。
「っ…!臨也さん…?ヤですよ、今日はもう散々シたんですから。」
「ダメ?」
「ダメです。静雄さんの話だすとすぐこれですから。」
眠たそうに目を擦る帝人の横に行き、腕を差し出す。
「どうぞ?」
「ん。…どうかしました?」
「別に。帝人君の機嫌がいい時にゴマすっとこうかなって。」
帝人はそれ以上深く追求せず、差し出された腕を己の頭の下にもっていって暖をとるために擦り寄る。
「じゃ、今日だけ特別ですね。」
ふ、と笑って帝人から唇に触れ、そのまま目を閉じる。
「本当、猫みたい。」
今日は本当に機嫌がいいのだろう。
でなければ帝人はなかなか自分からキスなどしてくれない。
風邪をひかぬように布団をかぶせてその小さな体を抱きこむ。






ねえ、愛してる。





(これ以上望んだら、きっと君はいなくなる。)


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