「帝人。」

少し低い声。欲情を孕んだその声が、好き。










「ぁ…んん…ひぅ…」

ぐちゅぐちゅといやらしい音が聴覚を犯す。
耳を塞ぎたいのに両手を大きな手で絡めとられているために塞ぐことは叶わない。
ならばと首を横に振って音を散らそうとする。
ぱさぱさと乾いた音が鳴るだけであまり効果はみられないが。
すると上から笑い声が聞こえた。

「なぁにやってんだ…?」

わかっているのに聞いてくる意地悪な声。でも大好きな声。
言いたいことは色々とあるのに悪戯に動く後孔を弄る指の所為で口を開けばあられもない声が出そうで唇を噛み締める。
だが、それを静雄が許してくれるわけもない。
すかさずその唇を静雄が塞ぐ。固く結ばれた唇を肉厚な舌が丁寧に蕩けさせてからこじ開けてくる。
嚥下できなかったどちらともいえない唾液が伝う。
ようやく唇が離される頃には酸欠状態になってしまっていて帝人は朦朧とする意識の中で呼吸を整えることに必死になる。
だから気が付かなかった。
いつの間にか後孔の指が増やされていたことに。

「ひぃ!…あああぁぁ!」

ばらばらに中を動く指が前立腺を中心に攻め始めると帝人の口からは嬌声しか出てこない。

「わかるか、帝人…お前のココ俺の指を咥え込んで離さない。そんなにウマいのか…?」

静雄の揶揄を含んだ言葉が耳元で囁かれるが帝人の脳はその意味を理解できない。ただ首を振って喘ぐだけだ。
「静雄さん、静雄さん、」と狂ったように名前を呼べば「しがみついていい。」と帝人の細腕を己の首へと持っていく。
しっとりと汗ばんだ肌に触れれば静雄も興奮しているのだと知れてきゅう、と指を締め付ける。

「や、しず、おさ…そこばっか、やらぁ…!」

先程から静雄は後孔ばかり弄っていてぽたぽたと先走りを零している帝人自身には一切触れていない。
イきたくて羞恥を堪えて中心へと伸ばした手は静雄に止められてしまい、あまつさえ「自分で弄ったらお仕置きな。」とまで言われてしまっていた。
そしてとうとう、涙腺が壊れてしまったのではないかというくらいに帝人の瞳から大粒の涙が溢れ出す。

「うぅ〜…しずお、さんの意地悪…!」

しがみつく肩に思い切り爪をたてて抗議の意を示すと静雄の手が帝人の頭を撫でる。

「悪い、だから泣くな。」
「誰の、せいですかぁ…!」
「んなもん俺のだろ。だから…」
「あぅ!」

ずるりと唐突に後ろの指が引き抜かれた。大きく体を振るわせる帝人を落ち着かせて静雄はゆっくりとひくつく蕾へと猛った自身を宛がう。

「ちゃんと責任とってやるよ。」

そのまま肉を押し入って静雄の陰茎が挿入される。

「ひ、あ゛、ああああぁぁ!」

いつまでたっても慣れない挿入に悲鳴を上げる。
帝人の呼吸が落ち着くまで待って静雄は緩く腰を動かし始める。
断続的に零れる帝人の喘ぎ声が静雄の心を満たしていく。まだ高校生の帝人に無体を強いている自覚はあるが今や静雄にとって帝人はどうしても手放せない存在へとなっていてどうしても前にすると手加減ができなくなる。
壊したくないのにいつかこの力が壊してしまいそうで、怖い。
そんなことを考えているとふ、と唇に温かい感触。

「は、は…しず…おさ…も、大丈夫ですから…」

動いて、と顔を真っ赤にして帝人の唇が小さく動く。
ぷつん、と理性の切れる音がして静雄は勢いよく腰をグラインドさせて帝人のナカを蹂躙する。

「ああぁ!や、しじゅ、おさ…!らめぇ…!お、おかしくなっちゃ…!!」
「いいじゃねぇか。俺だけがお前におかしくなってるのは不公平だ、ろっ」
「ふ、ぇ…?ちょ、ひゃあああぁん!しじゅ、あっ、ああっ!」

ぱちゅ、ぱちゅと肉のぶつかる音と静雄の荒い息遣いが帝人の聴覚をうつ。
快感の波に翻弄されて帝人はもう自分が何を言っているのかわからない。夢現にただ静雄の名前を呼んでもっていかれないように思い切りその体にしがみつく。

「帝人…!いいか…?」
「は、はいぃ…!あーー!な、中に…!」
「くっ、お前これ以上俺を煽るな…」

でないと本当に壊してしまいそうだ。
帝人の耳元で静雄がそう呟くと後孔がきゅう、ときつく締め付けた。

「っ…!」
「あーーー!はうぅ、ああぁー!」

中に飛沫を受け止めて自身も射精しながら帝人は意識を手放した。







『帝人…』






大好きな声を聞きながら。




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