ヤキモチやきなモンシェリー(静帝先輩後輩パロ)



(急がなきゃ…!)

廊下は走るなという規則も忘れて帝人は走る。
目指すは3年の教室。帝人の帰りを待っている恋人の元へ。
委員会があるから。と一緒に帰ることを辞退した帝人に静雄はただ一言「待ってる。」と言った。元々気の長い人ではないからもしかしたら帰っているかもしれない。
でも、もしも待っていたら…?
そう思うと帝人の足は更に速くなる。

(どうしてこんな時に限って先生に掴まるんだよ!)

委員会が終わってすぐに教諭から片付けを言われてしまい、もっと早くに終われる筈がいつの間にか日が傾きかけるまでになってしまった。
息も絶え絶えになりながらようやく目的の教室まで後少しのところまでたどり着く。
ぼそぼそと話し声が聞こえているから静雄が教室で帝人を待っていてくれていることは確定だ。

(話し声……?)

静雄の教室まであと1メートルというところになって帝人は違和感に気づいた。
話し声ということは静雄と誰かがいるということに他ならない。
新羅は家に彼が愛してやまないセルティがいるので余程のことがない限り直帰する。
臨也であるのならここまで静寂に包まれているなどということはありえない。
では、誰が?
嫌な予感が帝人の全身を襲う。
近付いてはいけないと本能が告げているのに近付く足が止まらない。止められない。
閉められたドアの硝子から静雄の姿が見えた。
待っていてくれたという安堵と静雄の視線の先にいるであろう何かに不安が帝人の中で交錯する。


「あの、静雄先輩が好きです……!」


聞こえてきたのは鈴が鳴っているような可愛らしい声だった。
ずるずると扉の前にしゃがみ込む。嫌な予感が当たってしまった。
怖くて中が見れない。小さく丸まって両手で耳を塞ぎ、ただ過ぎるのを待った。

「あー……」

いくら耳を塞いでも聞こえる静雄の声。
返事なんて聞きたくなかった。だって帝人がいくら頑張っても所詮女の子には敵わない。
断りの返事でも聞きたくない。了承の返事なんてもっと聞きたくない。
更に体を縮めようとした時、カタンと寄り掛かっていたドアが鳴ってしまう。

「誰かいるのか?」

静雄の声がしたかと思うと帝人の背にあったドアの感触が消えた。恐る恐る振り返り、視線をあげると珍しく驚きの表情を浮かべている静雄と視線が絡む。
静雄が何か言おうと口を開いた刹那、帝人は思い切りその場を駆け出していた。


















どこを通ったかわからないまま、帝人は気付けば借りているアパートの手前まで来ていた。
鞄は学校に置いてきてしまったままだったが今更戻る気にもなれない。
明日学校に行くことさえ億劫になる。
だって、逃げ出した帝人に静雄はきっと怒っているだろう。
どうしようかと溜息を吐く。
そうして部屋の前までたどり着き、取っ手に手をかけた瞬間、
帝人の体は突如開いた扉から中へと引きずり込まれた。

「よぉ、帝人。」
「し、しず、おさ……」

鼻腔を擽るのは嗅ぎ慣れてしまった彼の香り。
抱きしめられたままで顔は見えなかったが嫌でもわかってしまう。
どう顔を合わせないですむか模索していたところだったのにいきなり無駄に終わってしまった。
逃げた自分をここまで怒りにきたのだろうかと帝人の体は硬直して更に縮こまる。

「何で逃げた?」

いきなりの直球に大袈裟に帝人の体が跳ねる。
帝人は答えない。
しばしの沈黙の後、頭上から静雄の溜息が聞こえてきた。
(嫌われた…絶対呆れられてる……!)
だが、自分が何故逃げたか理由を話せば更に追い撃ちをかけるのは目に見えていたので固く唇を結ぶ。目尻はうっすらと涙が滲んでいた。
が、帝人の予想に反して静雄からもたされたのは怒声などではなく謝罪の言葉だった。
怒られることはあってもまさか謝られるとは思っていなかったので思わず帝人は顔を上げる。
「やっとこっち見たな。」と笑む静雄に帝人は再びいたたまれなさを覚えて背けようとする顔を今度はがっちりと静雄にホールドされてしまう。

「さっきの。断ったから。」
「…はい。」

先程の告白のことを言っているのだろう。

「?それで怒ってたんじゃないのか?」
「怒ってはいません。確かにもしかして…と思ったのは事実ですけど。」
「じゃあ何で逃げた?」

再び帝人の口が重くなる。「怒らねぇから。」と静雄にしては珍しく根気よく待つ。眉間に寄った皺があまり長い時間もちそうにないことを物語っていたが。

「静雄さんの隣にいるのは僕だけがいいです。」

変わらず顔は静雄にホールドされたままだったので目を瞑り蚊の鳴くような小さな声で帝人は話し出す。
顔は真っ赤に染まっていた。
一度言葉に出してしまえばせきを切ったようにそれは溢れ出していく。

「許せないんです。静雄さんは僕のなのに他の人が間に割って入ってくるのが嫌で、大声で喚き立てたくなる。さっきだって大声で『ダメ、許さない、この人は僕のだ!』って思わず割り込みそうになって…んんっ!」

最後まで帝人の言葉を聞かずに静雄がやや強引に唇を塞ぐ。
歯列をなぞり、舌を絡めとり、呼吸を奪い尽して海のような帝人の瞳がとろとろに溶かされた頃にようやく静雄の唇が離れた。

「…あー…あんま可愛いこと言うな。」
「?」

はぁ、と解放された帝人の口から艶めかしい吐息が零れる。
このような独占欲など静雄に言ったら嫌われると思っていた帝人は突然キスされる理由がわからなかった。

「きらいに、ならないでください…」
「はぁ?何で俺がお前を嫌いになるんだ。あーくそっ…可愛いな。」

何が何だかわからないままとりあえず怒っていない静雄に安堵して帝人は2回目のキスを受け入れた。












おもったいじょうにどくせんよくがつよいようです。
  (おれげんていならだいかんげいだけど。)



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