……僕と里香と一緒にベッドの上で、ムンムンと湿った互いの身体を軽く抱き合い、絶頂の余韻をゆっくりと味わっていた。
僕の勃起は収まり、荒くなっていた里香の息も落ち着いている。
「……ふぅ」
ふと、里香が小さい溜め息を漏らす。
「里香、落ち着いてきたか?」
僕の問いに、彼女は少し気だるそうに、女らしい言葉使いで応じた。
「うん……もう大丈夫よ。でも、全身ベトベトで気持ち悪いわ」
彼女は自分の胸や髪を触りながら、そう言った。
「そうだな……」
僕は彼女の耳の辺りの髪の毛を触りながら、相づちを打った。
いつもはどの部分に生えているものでも、一本一本までサラサラな里香の長い髪の毛は、
今は汗によってベタベタしてしまっている。僕の指でスムーズに梳くことが出来ないくらいだ。
「せっかくの里香の髪の毛、ベタベタしてるよ」
僕がそう言うと、里香も頷いて応じた。
「うん……。それに、身体にも汗たくさんかいてるし、あそこもまだ拭いてないから、早くさっぱりしたい」
里香はそう言いながら、チラリとガラス張りのシャワールームを見やるようにした。
やっぱり、彼女もシャワーを浴びたいらしい。
里香が僕と同じことを考えていたのが、こういうことでも少し嬉しかった。
僕は枕元に備え付けられた時計を見て、まだ結構時間があるのを確認してから、里香に提案した。
「よし、シャワー浴びてこうぜ。立てそう?」
僕はそう言いながら上体をベッドから起こし、里香の手を取るようにして彼女の上体も起こさせる。
「んっ……ありがと」
里香は僕が手を貸したことに感謝しつつ、自らしっかりとした足取りでベッドから降り、絨毯の床に立った。
その姿はもちろん生まれたままであるが、自然と色っぽい仕草で秘部や胸を手で隠す様は、
充実したセックスを終えたばかりの淫靡さというものが香り立ってくるようだった。
同じ里香の全裸であっても、事をする前と後では、僕には大違いに感じた。
すると、僕は無意識にこんなこと言っていた。
「えっと、シャワールームはそこそこ広いみたいだし、里香さえ良ければ、一緒に入りたいんだけどさ…」
「うん……いいよ」
性的なことを意識してはいなかったようだが、それでも十分可愛い里香の言葉に、
僕は股間の愚息が少し息を吹き返すのを感じつつ、里香と共にシャワールームに向かった……。
僕と里香が『休憩』している『225号室』のシャワールームの特徴は、やはりガラス張りということだった。
それが、どういう風に宿泊客の間で意味を為すかはなんとなく想像がついたが、
今の僕と里香に必要なのは、あくまでシャワーを浴びるということだった。
なお、シャワールームには、洗面台や洋式便器(ウォッシュレット付き)も並んで併設されている。
いわゆるユニットバスのような感じであり、その辺りは普通のホテルらしかった。
何はともあれ、僕と里香は、色んな体液でベトベトになった身体を洗う為に、透明なドアを開け、ガラス張りのエリアに入った。
するとそこには、ガラス越しにも見えていた、いかにも機能性重視ですといったデザインの洗面台があった。
その隣には、小さな棚があり、何枚かタオルが入っていたり、何本か予備のトイレットペーパーの変え芯が入っていたりした。
視線を上げると、棚の上にはコンセントに繋がれていない、ごつい形状のドライヤーが置いてあった。
「うん? ドライヤーがあるなら、里香が髪の毛洗っても平気だな」
僕がドライヤーに気づいてそう言うと、里香は素直に嬉しそうに頷いてから話す。
「そうね。もし無かったら、髪の毛はほとんど洗えないところだったわ」
「うん、長い髪だと大変だからな。洗う時とか、乾かす時には、俺も手伝うよ」
「ありがとね、裕一。あ、タオル持ってく?」
里香が僕に、備え付けの小さい入浴用タオルを取って手渡す。
里香は良く気付く娘なのだ。
「おっ、サンキュー。忘れるとこだった」
そんな他愛の無い会話をしながら、僕と里香は洗面所を調べるのをそこそこにして、
いよいよ、シャワールームへ入るドアの前に立った。
僕のウチの風呂場と比べると、入り口のすぐ隣の壁に、二枚ほどのバスタオルがかかったバーが取り付けられているのは共通だけど、
この部屋のシャワールームはだいぶ垢抜けているように思えた。
第一、引き戸じゃなくて、蝶番で動くドアという時点でウチとは程遠い。
僕はその構造に少し緊張を感じながら、里香を連れてシャワールームに入った。
シャワールームは、利用するカップルが同時に使うことを前提としているのか、
二人で入ってもそこそこ余裕のある空間だった。
ただ、ガラス貼りというのはやはり落ち着かないものがある。
清潔感のある白い部屋の天井の方には、防水仕様になっている蛍光灯や、回りっぱなしになっている換気扇があり、
タイル貼りの床とその中心にある排水口は、まだ水気をほとんど帯びてはいなかった。
「湯船が無いのがさみしいけど、結構ちゃんとしてるね」
里香は物珍しそうに、そう感想を述べた。
「あぁ、ボディソープとかシャンプーとかリンスもあるし、十分だよ」
僕はそう言って、足下の方へ目を向け、備え付けのものをチェックした。
里香の足下にある、外からも見えたスケベイスが、ここはラブホテルだということを示している。
そして視線を上に戻すと、僕のおなかの辺りの位置には、シャワーの温度や勢いを調整する為のレバーやツマミがあった。
その少し上には、シャワーヘッドと、それを固定している金具があった。
「俺が試しに出して、調整するよ」
僕はそう言っておもむろにシャワーヘッドを右手で外すと、温度を41度くらいにセットして、試しに自分の左手に当ててみる。
シャー……という音がして、僕の左手を濡らしていく。
シャワーは最初こそ冷たかったが、すぐに心地良い温度の刺激に変わって、僕の左手を温めながら洗ってくれた。
「よし」
これなら、里香が浴びても大丈夫だ。
「里香、先に使っていいよ」
僕はそう言いながら、温水を出し続けるシャワーヘッドを里香に手渡し、自分は一歩下がる。
「うん、どうも」
里香は律儀にそう言い、僕からシャワーヘッドを受け取り、身体を清め始める。
里香はまず、足や腰、秘部といった下半身の方から上に向かって温水を当てていく。
「――っ……」
彼女はよほど気持ちいいようで、満足そうに目を瞑り、小さく息を漏らし、背伸びをしながら温水を浴びる。
その様は、さきほどベッドから降りた時に見せた淫らなものとは違い、
とても健康的で、少し幼い感じの色気を感じるものであった。
里香の身体の、隅々まで無駄の無いラインがスムーズに温水を受け流し、汗や体液は流されていく。
長く伸びる髪の毛は、温水を多少被って、彼女の背中にしっとりと張り付く。
彼女の恥毛も同じように、秘裂にしっとりと張り付いている。
僕がその芸術的な様子に見とれている内に、彼女は胸や脇の下をテキパキと洗い終わり、首筋や髪に満遍なくシャワーを当てているところだった。
里香のうなじが温水に濡れている様に、僕がドキドキとしていると、彼女は一通り身体を洗い終わったらしい。
彼女は僕の方に、ほんわかとした身体を向けて、シャワーヘッドを差し出して来た。
「はい、裕一の番だよ。あたしは、ボディソープとシャンプーを付けてもう一回洗うわ」
里香はやはり女の子だけあって、お風呂にも手間がかかるらしい。
シャンプーの後に更にコンディショナーを付けなければならないのは、もう検討がついた。
「わかった。俺は面倒だから、あっさりめでいいや」
里香を待たせてしまうなら、自分はボディソープやシャンプーは使わなくて良いと思った。
「汗くさいのは、ちゃんととってよね?」
釘を刺してくる里香を、僕は上手く流す。
「もちろん。そうじゃないと、里香と外歩けないからな」
どうせ、家に帰ってからまた風呂に入るのだし、とりあえずさっぱり出来れば良い。
僕はそう決めると、里香に比べるとやや手抜きといった感じで自分の身体を洗い清める。
やはり、その気持ちよさはひとしおであった。
里香はというと、さっき自分で言った通り、ボディソープを、足の裏や膝の裏や、秘部の辺りや、
脇の下といった、清潔にしておくべき部分で泡立てていた。
その様子は、なんだか里香が生クリームでデコレートされているように見えてしまう。
僕は気を紛らわす為に足下を見ると、温水を吸い込む排水口には、里香以外の誰のものでもない長い黒髪が二、三本引っかかっていた。
その元の持ち主である里香は、ボディソープのケースを床に戻すと、今度はシャンプーのケースを手に取り、大量にプッシュした。
次にそれを、慣れた手つきで濡れた髪に塗り込もうとするのだが、どうやら少し苦戦しているらしい。
もしかしたら、家で普段髪を洗う時は座ってしているのかも知れないが、今回は、立ったままだからやりづらいのだろうか。
座ってやるにしても、下はマットレスを引いていない直接のタイル貼りだし、僕を置いて一人座りづらいのかもしれない。
……そこまで考えた僕は、シャワーを浴びる前に里香に話したことも思い出して、自分のシャワーを終わりにした。
シャワーの温水を止め、シャワーヘッドを壁の金具に引っかけると、僕は里香を手伝う為に声をかけた。
「里香、俺も髪洗うの手伝うよ。後ろ向いてくれないか?」
「あっ……うん。ありがと」
里香はそう素直に応じると、僕に向かって背を向けた。
現在、里香の身体の前面が向いている方はガラス貼りになっている壁の方で、
もしも部屋の方から見たら、彼女の肢体の全てが丸見えになってしまっているだろう。
もっとも、僕の方から見えるのは、今はしっとりと濡れた、里香の豊かで長い髪ばかりだった。
里香の髪の毛を洗うのはこれが初めてだったが、ある程度うまくやる自信はあった。
「じゃ、シャンプー付けて馴染ませてくからな」
「うん、裕一に任せるわ」
「そう言ってもらえると、嬉しいぜ」
里香のチャームポイントとも言える髪を手入れさせてもらえることを、
僕は男冥利に尽きると思いながら、入念にシャンプーを馴染ませていく。
ただ黒いだけではなく、見事な艶を持った里香の髪の毛に、白いシャンプーが馴染んでいく。
里香の髪の毛は、やはり間近で触ってみると驚くくらいにきめ細かくて、自然とひれ伏してしまうような美しさがある。
……実は、以前に里香にフェラチオしてもらった時、間違って彼女の前髪の辺りに思い切り射精してしまった事があった。
その時、彼女はけっこう怒ったのだが、その理由が今になって余計にわかり、申し訳ない気分になった……。
ちなみに、僕の方からは洗えない前髪の方は、里香にシャンプーを手渡して、彼女自身にやってもらった。
しばらくして、シャンプーが里香の髪全体に馴染んできた頃合いを見計らって、僕はシャワーヘッドを取り出し、問いかけてみた。
「里香、そろそろ流してもいいか?」
「うん」
里香がそう言うのを聞いた僕は、シャワーから温水を出し、温度を確認すると、里香の髪の毛に当てていく。
同時に、シャワーヘッドを持っていない方の手を使って、丁寧に髪を梳いていく。
これが自分の頭だったらゴシゴシとやってしまうのだけれど、里香相手にそんなことは出来るはずもない。
「あ〜〜………、きもちいいよ……。裕一、案外上手いじゃない?」
僕に髪を洗われている最中の里香が、背を向けたまま、楽しそうに感想を述べる。
僕も同じような調子で彼女に返事を返す。
「それはどうも。あ、コンディショナーも俺がやろうか?」
「うん。そうしてくれたら嬉しいわ」
「よっしゃ、任せといてくれよ。里香の髪の毛、本当にキレイだから……俺も頑張るよ」
「……うんうん。裕一は偉い子ね……」
いつしか、僕は里香の髪の毛に対して一生懸命奉仕することが楽しくなってきていて、
奉仕されている里香もまんざらではない様子だった。
お互いの信頼が、お互いをそういう思いにさせているのだろう。それは、もはや愛撫の一種のようにも思えた。
そういう感じで、適当に二人で会話をしながらシャンプーを洗い流した後、
僕はコンディショナーも里香の髪に丁寧に馴染ませて、シャンプーと同じように洗い流した。
洗い終わった今の里香の髪は、洗う前よりも、一段と艶々として見えた。
「さぁて、こんなもんでどうかな?」
僕はそう言いながら、里香の髪の毛を洗っている内に、少し冷えてしまった自分の身体にシャワーを当てて暖め直す。
里香はというと、髪の毛の仕上がり具合を、シャワールーム内の壁に設置されている大きな鏡で確認している。
「……うん、初めてにしては、凄く上出来だと思うわ。ありがとう、裕一」
「いやいや、それほどでもないよ」
満足そうな里香を見て、これでそろそろ、シャワールームともおさらばかな……僕はそう感じた。
すると、里香が鏡の前から離れたかと思うと、何故かまた僕に背を向けるように、
ガラス貼りの壁に身体の全面を向けて立った。
しかも今回は、両手を壁に付き、僕の方に向かって、あまり大きくないが張りのあるお尻を突きだしているではないか!
僕はその里香の体勢が、僕に襲いかかってくれと言わんばかりに感じて、慌てて彼女に問いかける。
「あの、里香? 一体何してるんだ?」
すると、里香はシャワーを浴びて暖まったせいではなく、明らかに興奮で火照った恥ずかしげな顔をチラリと向けて喋る。
「だって……裕一の、また大きくなってるから」
「えっ」
僕は里香の言葉を聞いて初めて、いつの間にか愚息がすっかり息を吹き返していることに気付いた。
新鮮な血液を海綿体に集めて力強く脈打ち、亀頭の鈴口からは、ヨダレを垂らすように先走りを漏らしている。
「うわ、いつの間に……」
すると、既に心の準備を決めていたらしい里香には呆れられてしまった。
「自分で復活させといて、今更何言ってるのよ……。男の人って、気付かないままそんなになるの?」
「いや、普通はそんなことないんだけどな……」
どうやら、里香の髪を洗っている内に興奮して、いつの間にか勃起してしまっていたらしい。
どうして気付かなかったかというと、目の前の里香に夢中だったのが原因らしい。
そして、僕の股間の様子を見て、里香は再び僕としようと思ったらしいが、この展開だと僕は結構情けない。
とはいえ、状況は簡単だろう。
僕は里香とまたエッチがしたくてシャワーを一緒に浴びたり、髪の毛を洗ってあげたりしたわけじゃないけど、
据え膳は食わぬは男の恥、というだけの話だ。時計は今は見られないけど、余裕はまだ十分あるはずだ。
僕はゴクリと息を飲み、僕を誘う里香の背中に近づく。
「……いいか?」
里香は、僕の方を向いて、恥ずかしげに微笑んだ。
「うん。…今日は、好きなだけしていいよ」
僕は里香の言葉を聞くと、安心して彼女に愛撫を始めた。
「ひゃんっ……!」
まずは、里香がどれくらい濡れているかを確かめることする。
左手で里香の腰とお尻の境目辺りを押さえると、右手の指で里香の秘裂を後ろから触ってみる。
くちゅくちゅ……。
換気扇が回っている室内でもハッキリとわかるくらいの水音を、里香の秘裂は僕の指に触られて出した。
「アアッ、んぅ……」
里香は喘ぎながら、自らも腰を前後に小さく振って、僕の指でより大きい快感を得ようとする。
先ほど洗い清めたハズの里香の秘裂は、新しい愛液を分泌してヒクヒクしていて、もう挿入しても大丈夫だということを、これでもかと示している。
そんな、里香の身体の状態が可愛くてたまらなくなって、ついこんなこと言ってしまう。
「うわ、里香のここ……もう、すげえぐちゃぐちゃになってるぞ? 聞こえる? クチュクチュっていってるよ?」
そう言いながら、僕は里香の秘裂に人指し指と中指をそっと突き入れる。
そして、秘裂の外側に人指し指と中指を引き抜くと、親指と共に擦り合わせて粘着質な水音を立たせる。
里香の顔が見えないせいで、そんな無礼なことをする僕であったが、彼女は強く反論しなかった。
「バカぁ……も、もういいでしょ……」
恥ずかしそうにそう言い返すことしか出来ない彼女が可愛くなって、僕はいよいよ我慢が出来なくなってきた。
「ゴメンな、もう焦らさないからな」
僕はそう言いながら、両手で里香の腰を押さえる。
そして、自らの腰を突き出して、その股間でそそり立っているペニスを、里香の秘裂に触れさせる。
「んっ……!」
粘膜が触れあう感覚に、里香は悦びに震えた息を漏らす。
このまま一気に奥まで突き上げても良かったけど、僕はもう少しだけ里香を焦らすことにする。
僕は、挿入に手間取っているように見せかけて、ヌルヌルと里香の秘裂にペニスを擦りつける。
「あっ、んっ……!」
ヌルヌル、クチュクチュという粘着質な水音がする度、里香の甘い喘ぎ声が漏れた。
もう完全に、里香は僕のペニスの虜になってしまったらしい。
それを確認出来た僕は、下腹部に力を込めると、いきなり力を込めて腰を前に突き出し、ペニスを挿入した。
ぐぷ……ぐちゅぅぅ、という粘膜が絡み合う音が聞こえたと同時に、里香の腰が快感に反射的にビクンと震えた。
里香の意識も、僕が挿入したことに気付いたようで、もはや恥も外聞もなく女の悦びに喘ぐ。
「あぁ、アッ、あんっ! ……あ、ゆいちの、はいってきたよぉ……!」
僕も、後背位特有の挿入感や、後ろから無抵抗の里香を獣のように犯しているという背徳感や、
いい感じにほぐれている里香の膣内の感触の素晴らしさに、どんどん我を忘れていく。
それは里香も同じようで、いい感じに昂ぶっていく。
「うぅ……ゆういちのおちんちんで、あたしのなか、いっぱいだよぉ……」
自然と、里香の腰を押さえている手にも力がこもる。
「里香っ、里香っ!」
僕は里香の身長に合わせるように、両膝を曲げて背を低くした上で腰を突き出し、より深く里香の中を犯していく。
ぐぷっ、ぐぷっ、ぐぷっとリズミカルに僕が前後に腰を振る度に、里香の身体はビクビクと震える。
「あッ、くあっ、あっ、んあっ……あんッ、いや、はぁんっ!」
その里香の淫らな様に、僕も更に我慢が出来なくなってきた。
僕と里香の結合部から発する水音は、ズチュッズチュッとより激しいものになり、
チラチラと僕を見てくる里香の目も、トロンととろけてきたものになってきている。
「ね、ゆういち……」
急に、すっかり舌足らずになった里香が声をかけてきた。
「んっ、何だ……?里香っ?」
すると、里香は喘ぎながら、よくわからないことを言い始めた。
「そこのっ、かがみ、見てみて……っ! あんっ!」
「かが、み?」
僕は里香の言った『鏡』という単語を聞き取ると、シャワールームの鏡を里香の腰を突きながら見てみる。
すると、その鏡には、僕と里香が繋がっている様子が、あられもなく映し出されているではないか!
その図は僕が里香を背後から襲っている図そのものだ。
恐らく、里香はその図を見て、今回は余計に昂ぶっていたのだろう。
僕も、余計に興奮した。勢いよく奥まで突き入れて、里香を鳴かす。
「ハァンッ……ふあっ!!」
僕は腰を夢中になって突き動かす。快感を貪り、里香をもっと乱す為に。
激しい水音に混じって、パンッ、パンッという皮膚同士がぶつかる音さえした。
「あっ、ゆういちの……きもちいい、きもちいいよぉっ……!!」
里香はイキかけているのか、あからさまによがりながら、身体を小刻みにブルブルと震わせている。
僕がなおも突き上げていると、ふとコツンコツンと、亀頭が里香の奥にぶつかる感じがした。
すると、里香の身体がビクンと震え、里香自身も大きく反応した。
「あ、そこいいのぉ、そこ……もっとコツンコツンしてぇ!」
確か、そこは膣の奥にある子宮口だったはずで、普通に挿入しただけではなかなか到達出来ない場所だ。
「里香、ここが気持ちいいんだな……? よしッ!」
僕が意識して里香の子宮口を連続して小突くと、彼女は体勢を崩すくらいに腰をガクガクさせた後、更に懇願してくる。
「ひいいんっ!? ……うんっ……!もっと、らんぼうにしてもいいから……そこ、ゆいちのすきにしてもいいよおっ……!」
……流石に里香の乱れ方が凄すぎたので、僕は荒い息を必死に整えて、里香に了解を求めた。
「……里香、俺ももう我慢出来そうにないんだ。ほんとに、好きにしてもいいんだな?」
僕がそう聞くと、里香は快感のあまり涙と涎を流しながら、僕を必死に求める。
「うんっ……ゆいちが、おちんちんでそこコツンコツンしてくれたら、あたし、かってにイクからぁっ……!」
……どうやら里香は、子宮口を突かれるのが病みつきになってしまったらしい。
しかも、普段はあまりしない(お互いの顔が良く見える体位が本来の里香の好みなので)後背位のせいで、さらに昂ぶっている。
恐らく、僕に完全に身を任せるような体位に、里香は一種の被虐的快感を得ているのだろうと思った。
とはいえ、僕は里香の乱れ方の激しさに、さすがにちょっと驚いた。が、里香の痴態の前では自分の理性を押さえるのも限界なのはわかっていた。
そして、里香の理性はというと、とっくに壊れてしまっているようだった。
「うあ、きてるよぉ……! うしろからするの、すご……い……ひんッ!」
僕は息を再び荒くしながら、里香が病みつきになっている最奥を、コツンコツンどころかゴツンゴツンと突き上げまくる。
その激しさは、もはや獣じみたものになりつつあった。
「ひあっ、あッ……ああっ! あ、あたし、イク………イク……いっちゃうよぉっ……!もう、らめぇ!」
「里香、俺もッ、限界だ……っ……!」
ノンストップで、二人で絶頂まで駆け上っていく。
「あッ、なかにっ……またなかにだして、ゆういちっ……! うあっ!」
「も、もちろん……く、ウッ!」
ビュルッ!ビュッ!
里香の中に勢いよく深く突き込まれた僕のペニスが激しく脈打ち、彼女の最奥を白く熱く染め上げてゆく。
股間から背筋を通って脳に注ぎ込まれる快感に、僕は腰が抜けそうになる。
「ひあっ!?あはぁッ!ふわああぁぁぁぁ!アアアァッ………!!!」
僕と同時に絶頂を迎えた里香は、全身でも受け止めきれない快感に、ただただ悦んで鳴き叫ぶだけだった。
「いやあぁっ、おかひくなるっ、あたし、へんになっちゃうよおぉぉ……!!」
里香はビクビク震えながら、僕のペニスを断続的に容赦なく締め上げ、少しでも快感を得ようとする。
僕はその締め付けが弱くなるまで里香と一緒に余韻を味わい、その後ややゆっくりと彼女の中からペニスを引き抜いた。
ずるぅ……っと、固さを失いつつある肉棒が引き抜かれると、里香の秘裂はひくひくしながら、
愛液と精液の混ざりモノをこぷっ……と溢れさせた。
すると、今まで自分の中を滅茶苦茶にかき回していたモノが無くなった反動と、激しい絶頂の余韻のせいなのか、
里香の身体から力がふっと抜けてしまいそうになる。
「ふわああぁっ………」
「おっとっと!」
僕はその里香の動きに危うさを感じて、慌てて彼女の身体を抱きかかえる。
「里香、大丈夫か?」
僕がそう声をかけた時、なぜか、ショロロロロロロロロ………という、結構勢いが良さげな水音が耳に響いた。
何だ?と思ってふと足下を見ると、黄色い液体が白いタイルの隙間を辿るように、川を作って排水溝へ向かって流れていく。
その黄色い川の上流を視線で辿ると、なんとそこにあった源泉は、今は陰になっていて見えない、里香の秘裂だった。
里香の小水は、彼女の太股を伝って床に流れたり、腰を突き出しているせいで、直接床やガラス張りの壁に当たっている。
……どうやら里香は、あまりの快感に失禁してしまったらしい。簡単にいうと、おしっこを漏らしてしまったということだ。
彼女の小水は、僕の足にも触れていたりするのだが、里香のものということで、不思議と汚い感じはしない。
気付けば、僕と里香の身体は、再び汗まみれになっている。もちろん、股間の辺りは更にベトベトしてしまっている。
「……こりゃ、また二人で洗いなおしだな……」
僕はそう独りごちると、とりあえず里香の身体を抱いて安定させつつ、シャワーヘッドを取りにいくのであった……。
……帰りの電車の中、もうそろそろ降りる駅が近づいてきたというのに、僕と里香の会話は必要最低限だった。
それは、二人で自由に会話が出来ないくらい電車内が混雑しているからではない。
むしろ、空いている。
三連休の一日目の終わりというのは、僕にもよくわからないが、こんなものなのだろうか?
恐らく、ちょうどの今の時間には、僕と里香が帰る駅の方面には、あまり人がいないのだろう。
何せ、この時間からでは観光も出来ない。
また今の時間は、夜遊びの帰りというには早すぎるし、夕飯の支度の帰りにはちょっとばかり遅いという、中途半端な時間帯だ。
だからなのだろう。車内の座席には空席が目立ち、途中の駅で人が乗ってきても余裕で座れるが、そういう人すらいないという感じだった。
「……」
「……」
では、どうして僕と里香の間に会話が無いのだろうか?
その原因は、どう考えてもラブホテルでした情事の結末だった。
里香が失禁した後、二人で再び身体を洗っていたまでは良かった。
だけど、人心地が付いてきた里香が、彼女が凄く乱れてしまったことや、
それに、失禁してしまったことをハッキリと思い出してきて、凄く恥ずかしがってしまったのだ。
僕がドライヤーで髪を乾かす時も、ほとんど目を合わせてはくれなかった。
ホテルからチェックアウトする為に、自動精算機で料金を支払った時も、里香は黙って3000円を出してきただけだった。
また、僕がドライヤーで乾かした里香の髪には、ホテルでついたコンディショナーの香りが残っていて、
その香りが良い香りだと、電車に乗ってすぐに褒めもしたのだが、ほとんど無反応だった。
……そんな感じで電車に揺られていると、車掌さんのアナウンスが、もう二駅で僕と里香が降りる駅に着くというのを知らせてきた。
それをなんとなくきっかけにして、僕はすぐ隣に座っている里香に話しかけようと思ったが、上手い言葉が出てこない。
結局、下を向いたまま僕は押し黙ろうとするが……。
「……裕一は、今日のあたしに幻滅しなかった?」
里香は、だいぶいつもの理性を取り戻した声で、僕にそう聞いてきた。
僕は自分の頬が思わず綻ぶのを感じながら、周りの乗客に聞こえない程度の声でしっかり返事をした。
「何言ってるんだよ? ……ああいう里香も、俺は大好きだよ。良いじゃないか、正直でさ」
僕の素直な言葉に、里香は恥ずかしくて死んでしまいそうな顔をして応じた。
「ゆういちの……スケベ」
駅のホームに電車が滑り込んでいく音に、かき消されそうな大きさの声だった。
里香が恥ずかしげに言ってきたその言葉を、僕は少し間を置いた後に、そっくりそのまま打ち返す。
自分でも少し、意地が悪いかなと思う。
「……何言ってるんだ。それは、どっちのことだよ?」
それに対する彼女の返事は、僕の足をいきなりギュッと踏みつけることだった。
「あいてっ!」
僕は思わず声を上げるが、駅から発車する電車のドアが閉まる音にかき消されて、周りの乗客にはほとんど聞こえない。
これも里香の策略らしい。
「……ふん」
彼女は不機嫌そうにしていたけれど、目はとても嬉しそうだった。
その目の輝きを守る為だったら、僕はどんな努力だって惜しまないだろう。
(あぁそうだ、次の夏休み、里香を叔父さんの家へ連れて行けるようにしなきゃな……)
僕がそんなことを考えていると、電車はいよいよ、僕と里香が降りるべき駅、帰るべき所への最終カーブに差し掛かっていた。
すると、カーブで電車にかかる重力(いわゆる慣性の法則だ)のせいに見せかけて、隣に座っていた里香が、僕に寄り添ってくる。
その重みと温もりが、今の僕には何より尊く感じられた。
「……今日は、本当に楽しかったよ。ありがとう、里香」
僕が素直にそう言うと、里香は目こそ合わせなかったが、コクリと頷いてくれた……。
おわり。
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