「里香、今日一緒にお風呂入ろうか」
食事の汚れが付いた皿を、台所用洗剤を付けたスポンジできゅっきゅっと洗いながら、僕は里香にそう言った。
里香と僕の二人で、晩御飯の後片付けを、台所の流し台でしている最中のことである。
里香はぼくのすぐ隣で、僕が洗った皿を布巾で拭き、水気をしっかり取る作業の最中だ。
「え……今日も、なの?」
一緒にお風呂に入ろうと言われて、里香は怪訝そうな、しかしまんざらでもないような表情で応じる。
彼女の手は作業を止めていないけれど、これは今日は脈アリだと感じた僕は、もう少し押してみる。
「だってさ、最近寒いし……」
「冬なんだから寒いのは当たり前でしょ? 今何月だと思ってるの?」
「まぁ、そうだけどさ……」
どんなに深い関係になっても、未だにたまにつれない態度を取るのが里香らしいと僕は苦笑する。
そこで、もう一押しをすることにする。
「年内に里香が俺のウチに泊まれるのだって、確かこれが最後だよ?」
すると、里香の手の動きが止まり、僕にジーッと軽く軽蔑したような目を向けてくる。
「わかったわよ……一緒に入ればいいんでしょ? もう……!」
そのような態度であるが、きっと、里香も一緒に入りたいと思っているに違いない。
何故なら、彼女の頬はさきほどよりも赤くなって、もう目は笑っているからだ。
……そもそも、里香が僕の家に泊まる時は、だいたい三分の二くらいの確率で身体を重ねている。
最近は、ベッドの上ではなく、一緒にお風呂に入ってするというのが二人の仲でのちょっとした流行りだ。
なので、ことさらに恥ずかしがる必要も無いように思えるのだが、そこはそれ、里香と僕らしいところだと思う。
「……じゃ、早く後片付け終わらせよっか? 俺も早くあったまりたいよ」
「うん。私も」
私も、という言葉に心の中で里香への愛情と欲情が燃え上がるのを感じた。
いっそこのままここで……という気にもなったが、自分の提案を自分で反故にするほど、僕は自分を律せられないわけではない。
隣にいる、自分よりも身長の低い里香の肩のなだらかさ、ツインテール型の三つ編みにした長髪の豊かさを見やりながら、僕は邪念を振り払った。
結局、そのまま二人で仲良く晩御飯の後片付けを続けるのだった―――。
入浴の準備が整い、脱衣場の扉の前で、バスタオルを持った里香と僕は顔を付き合わせていた。
「じゃ、いつも通り裕一から先に入って、身体でも洗っててね。私は少し後から入るから」
彼女の言うとおり、これが二人で入浴する時のパターンだ。
なるほど、二人で同時に目の前で服を脱いで、同時に入るというのも恥ずかしいし、
することをするならあらかじめ、身体の要所を洗っておくのに越したことはない。
「わかった。ちゃんとキレイにしておくよ?」
何をちゃんとキレイにしておくか、というのを考えるのは野暮というものだ。
「バカ」
と、里香に言われてしまっても、仕方ないのだ。
僕は苦笑しつつも、高鳴る期待に突き動かされて脱衣場に入り、戸を閉め、服を脱ぐ。
自分の一糸纏わぬ姿なんて、見てもなんてもないものだ。
そして、持ってきたバスタオルをタオル掛けに掛けると、ハンガーにかかっている自分用の湯タオルを手に取り、
風呂場の曇りガラス戸を開けて中に入る。
風呂場のタイルの上に敷かれているマットの上、シャワーと鏡が設置されている前に置いてある風呂場用のイスに座り、湯桶で湯船から湯を掬って身体に二、三度かける。
この後里香を抱けるということだけで、熱い湯で身体が痺れていくように感じられた。
ふと曇りガラス戸の方に目をやると、里香が思ったよりも早く脱衣場の戸を開けて中に入ってきているところだった。
このまま里香が脱衣するところを曇りガラス戸越しに見ていたい気もしたが、その前に身体の要所を洗う必要があった。
僕は少々焦りながら、ボディソープ(里香が泊まりに来るようになってから常備するようになった)を手の平に何度かポンプして、
それを主に股間などにこすりつけて念入りに洗った。不思議と、まだそんなに硬くはなっていなかった。
僕がその泡をお湯で洗い流すのを見たからだろうか、里香が曇りガラス戸をガラガラと開けて入ってきた。
彼女はわざとらしく不機嫌な表情を作っていた。胸から腰まで覆っている大きめの湯タオルが、非常に扇情的な格好に見える。
「裕一、私ちょっと待ったんだからね?寒かったんだよ」
「ゴメン、ゴメン」
僕は苦笑して謝るが、里香もちょっと来るのが早すぎたような気はした。
「‥‥罰として、今日は私の身体を洗ってよ。念入りに」
「え?」
里香の口から出た、罰どころかご褒美としか思えない命令に、僕は呆けて聞き返してしまった。
「……き、聞こえなかったの? 私の身体、洗ってよね」
ははぁ、そういうことか。里香はつまり、すぐにでも僕としたいという気持ちはあるのだが、
ここで自分からしたいと言ったらちょっと負けな気がするのだろう。
だから、「命令で身体を洗わせる」という、何か半端なことを言い出したのだ。そんなことを僕にさせたら、どうなるかは火を見るより明らかだというのに。
事実、里香はもう自分が何をされても構わないというような、いつも行為の前にするような表情をしている。
里香の気持ちを汲んだ僕は、ありがたく彼女からの罰を受けることにした―――。
まず里香は、自らの身体を覆い隠していた大きめの湯タオルをふわっと取り払うと、その身体を僕の前に露わにした。
色白でスレンダーではあるが、女性らしい丸みを帯びたライン。
そのラインをなぞるように長いツインテール型の三つ編みにした長髪。
そして、僕以外の人間には秘されている小振りな乳房、それに一つずつピンと勢いよく頂を成している桜色の乳首。
もちろん、今はまだピッチリと縦の筋になっている秘部も僕の目を惑わせる。
そんな里香の肢体が、イスに座っている僕の前をするりと通り抜け、目の前にちょこんと女の子座りをする。
その仕草の可愛さに、僕の理性が軽く吹き飛びかける。
「! ああん……んっ……!!! ん……!」
僕は里香を両手で抱きしめると、激しく唇を奪い、肩や頭をかき抱いた。
女の子特有のシャンプーや体臭の香りが僕の鼻孔を刺激し、オスとしての本能を触発する。
半ばケダモノのように、僕は里香を愛撫した。
「や……! ちょっ、はげし……!」
もっと、里香を近くで感じたい。
そう感じた僕は、里香のお尻を少し強引に僕の太ももの上に持ち上げて、左腕で彼女の背中を抱いた。
柔らかいお尻の感触と重みから、そのまま里香の存在を感じられた。
里香は、僕の太ももの上に座っているかのような状態になる。しかし、彼女の足先はマットに届いておらず、膝を折っている形になる。
つまり、中途半端な体勢に固定されて、身体の自由が効きにくい状態に里香はなっている。
「はあっ……やぁっ……! ひゃあっ!!」
夢中で愛撫をしている最中、ふと里香の嬌声が甲高くなったことに気付いた。
自分の両手を見てみると、偶然かどうか、彼女の両胸を掴んでいた。
里香の胸はサイズこそ小さめだが、とても感度が良く、また形も良い。
よし、今日は徹底的に里香の胸を責めてやろう!
変な方向に勢い付いた僕は、両手で両胸を円を描くようにしっかりと揉み上げる。
「ん……ハァンッ……ハァッ……ァ…ッ……!」
敢えて乳首にはまだ触れずにおいて、まずは乳房から快感を与えるという順番は正解のようだ。
里香は、両胸からの焦らすような快感に息を荒くし始めている。
僕も里香自身も、こんなにグニグニと里香の胸を揉みしだいたことは無いだろう。
「やだ……! 裕一、どうしてそこばっかり……!?」
大分出来上がってきた里香の様子を見て、僕は行為を次の段階に進めるべきだと感じた。
右手の親指と一指し指で、僕から向かって右の里香の乳首を優しく摘む。