お風呂場で対面座位がやりたかっただけなのでそれ以外は適当です
……いきなりの里香の行動とその結果に対して落ち着く為に、僕は時間が欲しかった。
なんだかとても恥ずかしいし、情けないし、でも気持ちいいのも本当で、混乱していた。
けれども、里香はあまり待ってはくれないようだ。
「わぁ……、結構たくさん出たんだ」
前を覗き込むようにして里香がそう言う。
僕はその他人事であるかのように振る舞う里香の口調が、どうにも気に入らない。
だから、思わず口調を荒げ、里香の方に身体を向けて言い返してしまう。
「おい里香……どうして……こんなことしたんだよ?」
里香はビクッとしたように固まり、少しうつむいて沈黙する。
「あのさ……何か言ってもらわなきゃ、わかんないよ」
「……ゆ、裕一がしたいんじゃないかって思ったから」
ようやく多少はまともに答えてくれたが、どうもおかしい。
僕はもっと訊いてみることにした。
「本当にそれだけ? もしかして、わざと脱衣場で服を脱ぐのを見せたのも、里香も俺としたかったからじゃないのか?」
「え、あの……」
「もしかして、俺が背中流して欲しいなんて言わなくても――」
少々強引な里香のキスで、僕の唇は塞がれる。
二人で舌と舌とを軽く絡み合わせ、そして離す。
素直になった里香は、とても恥ずかしそうな顔をして、さっき僕にどうしてあんなことをしたのか、理由を言ってくれる。
「ほんとはね……、いつも私がする時、裕一にその……されてることの方が多いから……」
「あ、あぁ……なるほど」
思い返してみれば、僕が里香を抱く時は、大抵は僕が主導で事を進めていたような気がする。
だから、里香はその仕返しというか、たまには趣向を変えてみたかったのだろう。
もう、それ以上の理解は僕と里香の間にはいらなかった。
「ひゃ……ゆうい……んぅ……!」
僕は再び里香の唇を奪うと、自分の中で強いモノが鎌首をもたげ始めたのを感じていた……。
……とりあえず、もうお風呂場でしてしまおうという流れになる。
実際、お風呂でするというのはよく考えてみたら悪くない選択なのだろう。
僕の自室とは違い、寝具の後始末や周囲への音漏れを気にすることもない。
ホテルだとかなりお金がかかってしまうし‥‥外でするのは、よっぽどのことがないと勇気がない。(したことはあるけれど)
風呂でするにあたって唯一問題なのは、どういう姿勢でするかということだけだった。
ベッドが無いとやはり不便ではある。
「うーん、どうするかな」
少しの間考えていると、里香の方が妙案を出してきた。こういうことを真剣に考える里香も可愛いものだ。
「そこのイスに裕一が座って、私がその前から……っていうのはどうかな……?」
里香が風呂場の隅にあったプラスチック製でピンク色の風呂場用のイスを指さして言う。
なるほど、それは確かに良い考えだ。
そうすれば、多少は動きづらいかも知れないが、しっかりと前から抱き合う事は間違いなく出来る。
イス無しで同じことをしたとしていたら、多少なりとも不便に感じたことだろう。
「よし、そうしよっか」
僕はあぐらを解いて立って、イスを手にする。
「あ、そうだ。イスは後ろに倒れないように壁の近くに置いといて、裕一が背中に壁を付けるようにしたほうがいいね。
後、身体が冷めないように温水でシャワー出しといた方がいいかも」
妙に細かい気配りを見せた里香が可愛くて、冗談の一つも言いながらアドバイスに従う。
「そうだな。こんなことしてて頭ゴツンって打って、救急車でも呼んじゃったら恥ずかしいからな」
「ふふ、そしたら、私は他人のフリするからね」
「そりゃあんまりだな……じゃ、ほら、準備完了したよ」
僕は壁際にイスを置くと、壁を背にして腰掛ける。イス自体は高さがないので、僕は少しだけつま先立ちになってしまうのが残念だ。
そして、一応股間を覆っていたタオルを取り去る。それが他の身体の部位と同じようにシャワーに当たって、なんだかくすぐったい。
里香の目に、僕の身体の前の部分が全て晒される。もちろん、繋がるべき相手を目の前にして激しくいきり立つ息子もだ。
里香は多少目のやり場に困ったようだが、流石に慣れてはきていたので、少し真剣な顔になって僕の前に立つ。
雰囲気に促されながら、僕と同じように身体の要所を隠していたタオルを取り去る。
風呂場の暖かさで血色良く上気した、一糸まとわぬ里香の肢体が露わになる。
体毛の黒と、健康的な肌色のコントラストが目に眩しい。
「あ、また大きくした……」
里香が僕の股間を一瞥し、そう言った。
僕はつい条件反射的にむきになり、反論してしまう。
「し、仕方ないだろ! 里香が可愛い過ぎるのがいけないんだから……」
そんないつものようなやりとりをした後、里香は微笑み、僕の身体と繋がろうとした。
里香は中腰の体勢を取りながら、イスに腰掛けている僕に、更に前から座るようにする。
もっとも、普通のイスに座るのと違うのは、座った場合に身体の一部が結合してしまうことだが。
「っ……ん」
里香は細い左腕を僕の肩から背中にかけて回しながら、自ら秘裂を右手で拡げて、上手くそこにペニスが誘導されるようにする。
その様子はけっこうよく見えてしまって、里香の秘裂は既にしとどに濡れそぼっていた。
「はぁ……はぁ……んあっ」
とんでもなく淫靡な光景に、僕は必死に自制しながら、里香がちゃんと自分に「座れる」ように協力してやる。
「俺も少し、手伝うからな……!」
両手で里香の腰からお尻にかけてのところを優しく掴んでやり、自分の方へとグッと引き寄せる。
「ひゃん!」
ズチュッ……。里香の腰が水音を上げて位置を下げて、ペニスの亀頭から先が生暖かいものに飲み込まれる感触がした。
「ん……こんな、感じかな?」
「ふぁ……あ、大丈夫そう……ひっ」
僕のペニスに貫かれ、里香は久々の挿入の快感に、涙目になるくらいプルプルと打ち震えているようだ。
無理も無い。僕が禁欲していたのとほぼ同じくらい、里香はこのようなことをしていないのだから。
それからは、里香と自分自身を慣らすように、焦らすように、少しずつ少しずつ挿入を進めていった。
……ペニスが半分以上は温かい肉の温もりに包まれ、里香の顔と体温がすぐ目の前にあるようになった頃、
僕と里香が目指していた体位というものは自然と完成していた。
これぞ、対面座位というものであるらしい。
僕の背中には少し冷たいお風呂場のタイルの壁が当たり、身体の前の方には、里香の重みと温もりがいっぱいに広がる。
ツンと勃ったピンク色の乳首が、里香が既に昂ぶっていることを示している。
僕の太ももには里香の太ももが重なり、結合部も下を見れば見れないこともない。
お互いが繋がり合ったことを確認した僕たちは、まず向かい合ってお互いの唇を満足するまで思い切り貪りあった。
「は……む、ちゅ、ちゅっぱ……」
大切なものを全て、大切な人の前に晒け出しながらするキスというものは、本当に気持ちが良いと思う。
結合部が更に熱を帯びてゆき、お互いの体液塗れになっていくのが見なくともわかった。
二人でキスをしている間、シャワーの音だけがお風呂場に静かに響いていた。
名残惜しいながらも唇を離す次は、本格的に互いの腰を動かす為に、少し体位を組み替えることにする。
「もう少ししやすくするから、体勢がきつかったら言ってくれよ」
「うん……」
僕は里香の両腰に両手を当てて、里香には僕の首の回りに両腕を回してもらい、右肩に里香の首を乗せてもらう。
すると、僕と里香の下腹部の間には隙間が出来て、角度的に腰を動かしやすくなった。
「はっ……はあん」
体位を整えたことでいよいよ、里香の口からは荒い息が漏れ始め、僕も我慢が出来なくなってきた。
「はぁ……んっ……」
「里香……」
僕がそう了解を取るように言うと、視界のすぐ右にある後頭部が縦にコクコクと振られる。
里香の許しを得た僕は、両手を上下前後に動かすのを中心にして里香を突き上げる。
じんわりとした熱と快感が僕のペニスから滲みてくるのを感じる。
「あっ‥…! ゆ、ゆういちの、動いてるよぉ……」
ぬぷっ……ぬぷっ……ぬぷっ……。
僕は、里香の身体が自分に対して小柄だということをこんな時に実感した。
肩幅は広くないし、筋肉は付いていないし、肌は白くて柔らかい。
里香の秘部は中ほどから僕のペニスをくわえ込み、より大きな快感を求めるようにヒクつく。
挿入の深さこそさほどではないが、それ以外の要素はとびきり扇情的なので、里香も大胆な発言をする。
「ねぇ……裕一、もっと動いても、いいんだよっ……?」
「わかった、腰も使うからなっ……」
僕はそう言うと、両手の動きと連動させるように腰を出来るだけ振り、一ミリでも多く里香の膣内を突き上げる。
「っ! ひゃぁんっ!」
里香の反応は思ったよりも大きくてわかりやすく、それに応じて僕をきつく締め付けてくる。
里香が僕の首周りにしがみつく力を強めると共に、僕が感じる快感と、里香の膣内の締め付けも強くなる。
まずい、このままでは思ったよりも早く出てしまう。
「くっ……里香、もう少し緩めて……」
僕は冗談抜きで里香に懇願するが、どうやら難しいらしい。
「む、無理だよぅ……気持ちよすぎて……!」
それどころか、快感に半ば我を忘れて、目を瞑って自ら必死になって腰を振っている。
その動きは、僕の手と腰の動きと見事に連動し、もう止められるものではない。
仕方ない。なんかちょっと早すぎるかも知れないが、そろそろラストスパートだ。
僕は里香の身体を少しだけ上の方に持ち上げるようにすると、より深く里香を突き上げる。
片手で里香の腰を掴んで上下前後に動かしながら、もう片手で里香の頭をかき抱く。
「はぁ……はぁっ……、はっ!っ!」
里香も必死になって腰を振り、もはやニュルニュルになった膣内で僕を締め付けてくる。
自分と里香の限界を感じた僕は、一回一回のストロークを深くし、絶頂へ上り詰めていく。
そんな状況を、言葉でも里香に伝える。
「里香……俺、もうそろそろ、限界だから……!」
対する里香も切なげに、首を縦に振りながら答えてくれる。
「い、いつでもいいから……、裕一の、私のなかに、いっぱい出し……てぇ……!」
その言葉で僕の心身はついに臨界に達して、もう終わりにする勢いで里香のお尻をしっかりと持ち、腰を下からズン!と突き上げて貫く。
そして、身体の最奥を突き、突かれた二人は、そこで同時に絶頂に達する。
「ううっ……!!」
僕のペニスがいきなりドクンと脈打ったかと思うと、次の瞬間にはマグマのようになった粘っこい白濁液が、快感と共に流し込まれる。
それを里香の膣内がきゅううっと締め上げることで、快感が相乗効果によって余計に倍加される。
「ひあっ! ……あっあっあっあぁぁぁぁああああっっっ!!!」
身体を固定されながら今までに無く激しく絶頂し、新鮮で熱い精液を流し込まれている里香は、
家の中でしているとは思えないほど大きく色っぽい嬌声を発した。
「ふあああぁっ! やら! わたし、へんになっちゃうよおぉ……!」
快感のあまり里香は思わず身体をよじろうとしたが、僕と抱き合っているせいでそれすら出来ない。
最後の一滴まで僕に精液を流し込まれ、膨大な快感をその細身の身体で受け止めるしかない。
ただ、身体をぶるぶると震わせることは出来たが……。
……嵐のようなひとときは、思えばあっと言う間に過ぎた。
里香がお風呂場に入ってきて背中を流してくれたかと思ったら、
いきなり逆レイプまがいのことをされ、その後は本番までしっかりいたしてしまった。
でも、それでも良かったのかもしれない。
僕は以前からの、里香と一緒にお風呂に入りたいという望みを果たすことが出来たし、里香も気持ちよくなってくれたようだ。
……多少落ち着いてくると、互いの荒い息づかいと、シャワーの音だけがやたらハッキリ聞こえる。
今は後戯ということで、まだ結合したままお互いの唇といわず首と言わず貪り合い、自分たちがしたことの淫らさを確認し合っているのだ。
僕が十数回目かのキスを里香と終えると、彼女はふと気付いたように、未だ夢心地の口調で僕にこんなことを教えてきてくれた。
「ふぁっ……? あ、でてる……ゆいちの、わらひのなかに、こんなにたくさんでてるんだ……くちゅ……ちゅぱ」
彼女は自分の手を結合部にやると、そこから零れ出た精液を一つまみし、おもむろに口に運ぶ。
そして、精液がついた指先を愛おしそうにしゃぶる。
「里香……!」
あぁ、こんなことを里香にされたら、また愚息が元気になってしまうじゃないか!
また、このままの体位で2回目に雪崩込むのも良いなと思ったが、
同時に、これ以上お風呂場にいたら上せてしまいそうだから、続きはベッドの上でも良いかなと、
僕は実に幸せな二択で悩むのであった……。
おわり。
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