「おい戎崎、どうだこの香りは」
山口が何かを塗りたくった腕をこっちに突き出してくる。
匂いを嗅げと言うことだろう。少しだけ鼻を近づけて匂ってみる。
「うわっ臭えっ」
思わず3mくらい後ずさる。いや実際には一歩下がっただけだけど、心情的にはそれくらい下がっていた。
なんというか、腐った冬みかんの甘酸っぱい匂いに泥水を塗りたくったような臭いだ。
うん、上手く説明できてないけどとにかく臭かった。
「ちっちっち、戎崎は流行に後れてるなあ。これ東京じゃ大人気の清閑剤だぜ。これをつけてると女の子にモテモテらしいぞ」
バカ口はモテモテなんていう死後を使いつつニヤニヤと笑う。正直キモイ。
「それ自分で嗅いだか?司も嗅いでみろよ。ヤバイぜこれ」
司はゆっくりと大きな顔を近づけると、そーっと匂いをかぐ。と、みるみるうちに顔色が青くなっていく。
「な?酷いだろ?」
「な?いい匂いだろ?」
「う、うん。それなりに」
「だろ。やっぱり戎崎がおかしいんだよな」
そう言って、山口はバンバンと司の背中を叩く。
やっぱり馬鹿だ。微妙にぼかした言い方をした司も司だが、あの顔から意味を読み取れない山口も山口だ。
「それにな戎崎、自分の体臭や汗臭さにも気を配れないような男は振られるらしいぞ。せいぜい里香ちゃんに愛想尽かされないように頑張るんだな」
心の中で問答していた僕に山口がそんなこと言って、何処かへ走り去っていく。

「はぁ、司。俺臭いかな?」
一応自分でもクンクンと匂ってみる。がさすがに自分の匂いは分からない。そこで司に尋ねてみる。
「あんまりいい匂いとは言えないね。体育のあとだし」
「うーん、ま、そりゃそうか」
真夏の体育の後にいい匂いがしてる思春期男子が居たら会ってみたいものだ。いや別に会いたくないけど。
「てことがあったんだけどさ、里香はどう思う?」
僕の部屋で里香と勉強中に、僕はそんなことを話していた。
学年は高1と高2だが、習ってるのは僕だったりする。というか古典で100点。現文で120点を取った奴に勉強なんか教えられません。
ちなみに120点というのは現文テストの読解問題の回答に先生が感動して配点の3倍の点数をつけてとかなんとか。勿論成績計算の上では100点だけど、答案にはしっかりと120点と書いてある。
それが一期中間の話。一期期末テストが近づいてきた今、僕は里香にその二教科。特に古典を習っているのだ。
「裕一?問題解いて」
そして襲い掛かる絶対零度の視線。ポケモンなら一発でひんしだな。うん。
僕は慌てて問題を解く。
「この部屋の匂い嫌いじゃないけどね私」
僕が問題を解き始めた僕に気を良くしたのかそう話す里香。
「え?」
「さっきの話。裕一は気づいてないかもしれないけど、この部屋結構に匂うんだよ」
「え?本当?」
思わずくんくんと空気を嗅ぐ僕。里香はその仕草が面白いのかくすくすと笑い始める。
「そんなことをしてもわかんないよ。わかんないだろうけど、男くさいよこの部屋」
里香はそういうと軽く眉を潜める。
「うん、絶対いい匂いじゃない」
{{自分の体臭や汗臭さにも気を配れないような男は振られるらしいぞ。せいぜい里香ちゃんに愛想尽かされないように頑張るんだな}}
山口の言葉がフラッシュバックする。なんかやばい気がする。
「り、里香?」
「裕一さ、私が汗かいて、ちょっと嫌な匂いのとき私に近づきたくない?」
「いや、ぜんぜん」
というかちょっとした汗の匂いと里香の匂いが混ざって獣になる気しかしない。
「それと同じだよ」
里香はそう言って笑うと、顔を僕の胸の上に乗せる。そのまま2〜3度大きく深呼吸するのが感じられる。
「うん、汗臭くて裕一以外のだったらすぐに逃げるけど、いい匂い。私はこのくらいならいいよ。あんまり臭いのはいやだけどね」
さてここで質問です。好きな女の子にこんなことされて我慢できる男が居るでしょうか?
ついでに二人っきりで、親は3〜4時間は帰ってこないという状況で。
いるわけないよね。いたらそいつは男じゃない。僕が保障する。
「里香、ごめん」
一応謝って里香を押し倒し、唇を奪う。
「んあっ……ちゅるっ…んう」
「ふあっ…裕一、ここじゃやだ」
「ん、わかった」
僕は里香を抱きかかえるとそのままベッドへと連れて行く。
ゆっくりと里香を降ろすと、里香は僕の枕に顔を埋めるとこう言い放った。
「ここも、裕一に包まれてるみたいなんだよ」
うん。正直に言おう。くらっと来た。里香みたいな可愛い子に赤い顔でそんなこと言われたらやばい。間違いなく何かがやばい。
「ん、裕一もう一度」
再度里香に口付ける。そのまま僕は里香のスカートの中に手を潜り込ませ、パンツを下ろす。
そして丁寧に指を割れ目に沿わせた。
「んっ…ゆういちっ……」
「濡れてる……」
既に里香の秘所は染み出してきた蜜でしっとりと濡れていた。
「やぁっ…言わないで……くんっ…」
別にまだ前戯もしていない。僕と同じように里香も興奮していたのだろうか。
「俺の匂い嗅いで興奮したの?」
「ち、違うに決まってるでしょ…んっ」
顔を真っ赤にして否定してもあんまり意味はないと思う。というか入院中は絶対に見られない表情だ。
僕も苛めるのは好きじゃないし、僕自身も限界だ。
「里香、入れるよ」
里香がうなずくのを見届けると先っぽを入り口にあてがい、ゆっくりと進めていく。
「ふああぁっ……んあ…裕一、大きい……」
「くっ里香締め過ぎ。力抜いて」
里香のそこはぎゅうぎゅうに僕のモノを締め付けてくる。なおかつ柔らかく刺激してくるんだから困る。まさしく三擦り半でイってしまいそうだ。
「うぁっ…裕一無理っ……んんっ…」
僕は早く里香をイかせるべく一気にピストンを激しくする。
グチュグチュと卑猥な音が鳴り、急速に僕たちは高まっていく。
「ふんっ…ゆういちぃ……私もう……うあっ」
「里香、俺ももうっ」
「裕一一緒に…ね……あふぅっ」
「ひゃああぁああっ……イく、イっちゃうよお…裕一、ゆういちいぃぃっ」
里香の体がガクガクと震え、僕の首に全力で抱きついてくる。
次の瞬間、僕の物が里香の深奥で爆ぜた。
「うああああああぁああっ」
里香の体に力が篭り、僕のものを搾り取るように締め付ける。
僕は里香を思いっきり抱きしめ、そのままベッドに崩れ落ちた。

僕たちはそのままほとんど重なるような体勢でベットに寝た。
暑かったけど凄く幸福な気分なまま、二人とも眠りに落ちた。

僕の古典のテストが大惨事だったのは言うまでもないだろう。
でも何故か里香は成績を上げていて、理不尽だと思ったのは別の話。


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