「おやすみなさい。お父さん」
「あぁ、おやすみ」
グラスを揺らしながら答える。
里香は写真立ての中で変わらずに微笑んでいた。

夏目はおおむね正しく、少しだけ間違っていた。
正しかったところは「5年から10年」という見立て。
里香と二人で若葉病院を退院してから8年後、里香はあっさりと逝ってしまった。
間違えていたのは「里香のいない世界を一人で生きていく」というところ。
里香は逝く前に娘を一人、僕に残してくれた。

僕と里香の娘は美香と名づけられ、すくすくと成長している。
ここのところ面差しが里香に良く似てきて、思わず戸惑ってしまうこともある。
そんな美香は明日、小学校を卒業する。

グラスを洗って寝室に入る。
布団に潜り込むと、美香の体温を感じる。
「お父さん。今日もしていい?」
どうやら寝ずに待っていたらしい。
「ああ」
気のない返事とは裏腹に僕自身は既に熱くなっていた。
美香は僕のパジャマと下着を下ろすと、僕自身を口に含んだ。
幼い頃から繰り返し身に着けた技術のせいか、それとも実の娘に咥えさせているという
背徳感のせいか、僕の分身はあっという間にそそり立っていた。
僕たちは美香を上にして、お互いを貪りあう。
美香の秘所から甘い蜜が溢れてくる。
我慢できなくなったのだろう。美香は僕のものにゴムをかぶせると上に跨り、自ら僕自身を迎え入れた。
まだまだ幼い腰を振る。
里香に良く似た長い髪が揺れる。

異常な関係だと分かっている。
二人の行く先には破滅しかないと分かっている。
それでも里香を失った僕は、まだ幼い美香の身体を求めてしまった。
美香もよく応えてくれ、数限りない僕の欲望を受け止めてくれた。

僕の上で美香が果てた。
母娘だからだろうか。あのときの反応は里香と良く似ている。
僕のものはまだ力を失っていない。
力が抜けた美香の身体から僕自身を抜かないようにしながら、慎重に体勢を入れ替える。
美香の腰を掴み、後ろから突き続ける。
一度は果てた美香がまた感じ始める。
長い髪を振り乱し、あえいでいる。
「いくよ」
短く美香に声をかけると、ストロークを一層深くする。
美香の反応は既に声にならない。
僕は美香の中に欲望の塊を撃ちだした。
美香の身体が硬直し、ついで力が抜ける。
僕も快楽の残滓に揺すっていた腰を徐々に止め、美香の中から抜け出した。
美香は気だるそうに振り向くと、ゴムを僕のものから外して後始末をしている。
もう一度僕自身を口に含み、綺麗にしてくれる。

「お父さん、明日の卒業式は来てくれるの?」
「休みを取ったから行くよ。美香の晴れ姿も見たいしな」
先ほどまでの激しい行為が嘘のように、穏やかな会話が始める。
疲れたのだろうか、美香はだいぶ眠そうだ。
「良かった。そういえばもうそろそろ中学校の制服が届くね。今度はセーラー服でしてあげるね…」
あどけない顔をして、無邪気に喋る美香。
僕はそんな美香を抱きしめると、ゆっくりと眠りに落ちるのだった。
今日こそは夢の中で里香に会えますようにと祈りながら。


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