「あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい」
お母さんが歌っている。
「あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい」
思わず一緒に歌ってしまう。
お父さんはそんな私たちを見ながら、ニコニコと笑っている。
今日はお父さんとお母さんと手をつないで、おかげ横丁に遊びに来ている。
うちのお母さんは「若くて綺麗ねぇ」とよく言われる。
「髪が長くて素敵だわ」とも言われる。
そんなお母さんの髪にブラシをかけてあげると、お母さんはとても幸せそうな顔をして笑ってくれるんだ。
そんなお母さんだけど、具合が悪くて布団から起きてこれないことがある。
お父さんは心配して「今日は仕事を休んで一緒にいようか?」と言ってくれるのだけど、
たいていは「この子がいるから大丈夫よ」ということで、私とお母さんとでお留守番になるんだ。
そんな日はお母さんが抱っこして一緒にお昼寝してくれる。
お母さんのいい匂いに包まれて眠るのはとっても気持ちいいんだよ。
でも今日はお母さんの調子もいいらしく、元気に3人で歩いてる。
赤福ぜんざいは相変わらず美味しい。
だけど半分ぐらいでお腹が一杯になっちゃうな。
お母さんが食べたそうな顔をしているので「食べてね」とお願いすると、すっごい喜んでくれた。
あれを「満面の笑み」と言うのかな。
お腹が一杯で川べりのお花畑を見ていたら、とってもいいことを思いついちゃった。
「あそこのお花畑に行ってるね」とお父さんとお母さんに声をかけていく。
お花畑で花を摘んでいると、知らないお姉ちゃんが「一緒に花を摘んでいい?」と声をかけてきた。
ちょっと驚いたけど、少し話をしているうちに仲良くなれたんだ。
お姉さんと一緒に花冠を編もうとするのだけど、なかなか上手に編めない。
そのうちにお父さんとお母さんもやってきた。
お母さんは「ちょっと貸してね」といって花を受け取ると、細くて綺麗な指であっという間に
花冠を編み上げて、私の頭に載せてくれた。
あれ〜、本当は私がお母さんにプレゼントするはずだったのに〜。
お母さんに言われてお父さんも花冠を編み始めた。
「あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい」
お母さんが歌っている。
「あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい。あっかふくぜんざーい」
私も一緒に歌っている。
お父さんの花冠が出来上がって、お母さんの頭に載せている。
お母さんは嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑っている。
「それじゃもうそろそろ帰ろうか」
「うん、帰ろう」
「帰ろう」
お父さんとお母さんと手をつないで帰ろうとする。
あ、そういえばさっきのお姉さんに挨拶をしなきゃ。
「お姉さん、さよなら〜!」
川沿いの土手に座ったお姉さんに手を振る。
お姉さんも手を振りかえしてくれた。
とっても楽しい1日だったなぁ。
またお父さんとお母さんと3人で遊びに来たいと思いました。
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