冬が近いのか、最近吐息が白い。
身を切るような寒さが、午前様で今にも眠ってしまいそうな体を、覚醒させてくれる。
おかげで道端で眠って通報されるなんてことはない。
ふと、空を見上げる。秋の空はどこか高かった。
学生時代の悪友の顔が思い出された。
顔立ちが良くて合コンではアイツにばかり女がついていたな…。
無性に腹が立ってきた。
将来は医者になるとか言ってたか。
俺ですら自分の夢を叶えられたのだ、きっと奴は今頃教授にでもなってウハウハかもしれん。
むむ、後で金借りに行ってみるかな。
その時は自慢話を散々してやろう。
小夜子ちゃんとのノロケを聞いてやるのもいいな。
「――よし、いっちょ会ってみるか」
うひひと笑う。
夏目がどんな顔するのか楽しみだ。
ついでにクイズの答えを教えてやろう。
顔を上げると綺麗な半分の月が見えた。
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