〜これからずっと、いっしょに〜 後編1/3
――――僕は自分の心と体が、嬉しさのような背徳感のようなもので
小さいが確かに震えているのに気付いた。
その情けない震えに気付いてしまいながらも、僕より小さい身体の里香を
ベッドの上でしっかりと抱きしめないワケにはいかなかった。
「……………ゆういち」
「……里香」
二人で不思議な雰囲気に包まれながら、意味もなく自分たちの名前を呼び合う。
いや、意味ならある。お互いの存在を確かめ合うという意味がある。
……今、僕と里香は二人してベッドの上で絡み合っている。
本当に、お互いの狂ったように鳴っている心臓の音が聞こえてしまいそうな密着感。
その幸せで穏やかな感触に、僕はずっと浸っていたかった。
僕が里香の身体をギュッと抱きしめてぬくもりを感じると共に、
目を瞑った彼女の口から小さい溜息のようなものが漏れた。
「んっ…………」
その彼女の可愛さというか、なんともいえない状態に僕は少し励まされる。
……里香は僕よりも多分ずっと重い覚悟をして、僕とこんなことをしていてくれているのに、
僕がこんなにビビッていたら、里香に失礼じゃないか!
ここは一つ、少し虚勢を張るくらいで里香をリードしなくてはいけないのに……
今はもう会うこともない、夏目や亜希子さんに何度も言われた『里香を大切にしてやれ』という言葉。
結果として、僕に里香を奪われた里香のお母さん。
それらを思い出して僕は出来るだけ呼吸を整えながら、里香にこう言った。
「……上手くいかなかったら、ごめんな?」
その問いかけに、里香は恥ずかしそうに小さく肯いた。
僕はしおらしい里香の反応をとても可愛く思いながら、
ちょっとお互いの緊張をほぐしてやるつもりで、普段は僕がされているように里香の頭を撫でてやろうと考えついた。
里香が僕の頭を撫でている時、どんな気分なのか知りたくてやってみたいというのもあるけれど。
……よし。
僕の右手が、スッと里香を剥く。
里香のとてもサラサラした髪の毛が、心地よい手触りだ。
なでなで……
病院にいた頃から、こんな風に僕を撫でてくれた里香。
「なによ………」
「いいじゃん、別に」
「……もう‥‥」
少しだけ嫌がる素振りを見せるが、あくまで素振りだけのようなのがくすぐったく感じられた。
次に、里香の整った前髪を軽く掻き分けて彼女のおでこを撫でる。
すると、なんだかソコが妙に暖かいような気がした。
なんだか、微熱を出しているような温度だ。
よく見ると里香の顔自体も真っ赤だったりする。
「里香のおでこ、なんか熱くないか?」
僕の急な問いかけに、里香は目を反らしながらもちゃんと答えてくれた。
「わかんないけど……ド、ドキドキしてるから……だと思う」
里香の目がキョロキョロと動くのが珍しくて、更に僕は突っ込んだことを聞いてしまう。
「え……興奮してるのか?」
「それは………それは、裕一のせい……でしょ?」
里香は微笑みながら、恥ずかしいのに強がってこう答えてくれた。
僕のせいで恥ずかしがってる里香も可愛いな……可愛すぎる。
「そっか、じゃあもっと……」
僕はもっと恥ずかしがる里香の顔が見たくなって、
里香を正面からぎゅっと抱きしめながらキスをして、そのままベッドを半回転する。
僕の鼻には里香の肩の髪の毛からシャンプーの匂いが入り込む。
「やぁ、んぅ…………!」
僕は少しだけ苛めるようにして、里香の口の中を自分の舌でいじくりまわしてやる。
病院暮らしの質素な食生活のせいで、虫歯などあるはずもない里香の口の中を楽しむ。
歯茎をなぞり、舌を絡め、唇を触れあわせる。
「んんっ……んっ………っ」
里香は明らかに気持ちよさそうに、目を瞑りながら僕の愛撫に反応する。
唇が繋がっている場所からは、小さく水音が立つ。
くちゅ……ちゅ……
今まで何度かキスはしたけど、こんなにいやらしいキスは……したことないな。
「はむっ……ちゅっ……」
ぎこちないのはお互い様の、僕たちなりの前戯が進んでいく。
やがて、服を着たままキスしたり抱き合っているのが暑くてもどかしくなってきてしまった。
「ぷはっ………」
僕は唇をすっと離した後、まずは上の服を脱いで上半身裸になる。
……ちょっと恥ずかしいけど、なんだか………してるって気分は出てきた。
そして僕の行動を見た里香はというと、キスの余韻が冷めやらないポーッとした顔でつぶやく。
「ゆういち……?」
これから何が起こるか、気になったのだろう。
僕は了解を取るように、仰向けに寝ている里香の制服の肩にそっと手を掛けながら問いかけた。
いくらなんでも、いきなり女の子の、しかも里香の服を脱がせては問題だろうし。
「えっと……里香のも、脱がすよ‥‥?」
少し、声が上ずっていたかもしれない。
「う、ん……」
問いかけられた里香は、かなり素直に受け入れてくれた。
決してこういう方面に詳しくはない里香なのだから、
本当はきっと不安で一杯なのに、僕のことをまず一番に気にかけてくれているんだろう。
だったら僕も、その気持ちに答えなければならないんだ。
僕だって、里香のことを第一に考えているんだから……。
……僕は恐る恐る、壊れ物を触るように里香の上の制服を脱がしてその辺りに置き、
質素な柄と作りのブラジャーを露出させる。
ちなみに、里香は下半身にはまだちゃんと制服のスカートを着けている。
僕の目の前に、上半身にブラジャーしか纏っていない里香が現れて僕の理性を揺さぶる。
心臓の鼓動がバックンと高鳴り、視界が妙にクリアになる。
その、ブラジャーのカップに隠されている部分を僕は良く見てみたくなった。
そのせいで思わず、まじまじと里香の胸を見つめてしまっていたらしく、
ジトッとした目と口調で里香に怒られてしまう。
「……ゆういち?」
「わ、わるい……」
僕は慌ててそう答えると、慎重に里香のブラジャーを外そうとしたのだが……
(あれ……これってどんな構造に……)
あいにくと、僕は女の子のブラジャーというものを外したことが無かったので、
なかなか里香のブラジャーを外すことが出来なかった。
(……これがこうなってて……)
そして、僕が手間取っている内に里香が痺れを切らせてしまったようだ。
自分でやれば五秒くらいで外せるのだから、当然かも知れない。
里香は恥ずかしいが仕方ないといった様子で、胸元から僕の両手をやんわりとどけると、
「もう、裕一のぶきっちょ……」
と言いながら、簡素なブラジャーを外してスルリと脱いでその辺りに置いた。
ブラジャーが無くなれば、里香は下半身だけに服を纏って上半身は裸という格好になるだろう。
その一連の流れを見ていて、僕の心の中にある複雑な思いが浮かんでくる。
(……さっきは自分からリードしてやろうなんて考えてたのに、俺って……)
今はこの位のことで済んだけれども、もしかしたら僕はこれからもこんな風に
里香の力になってやれないことがあるかもしれないんだ。
それは、どんなにか無力で辛いことだろう?
……里香がブラジャーを外して胸元をすっきりさせていくのを見ながら、
僕が自分の情けなさにほとほと呆れていると、目の前にあるモノが現れた。
それを見た僕は少し驚き、不覚にも声を漏らしてしまう。
「え……」
僕の視線の先には、ピンク色の乳首と薄い色の乳輪で彩られた里香の控えめな双丘があって、
その真ん中のやや左寄りに、確かに手術の痕があった。
そんなには目立たないが、少し蛇行した縫い目が確かにあった。
里香の真っ白で神々しいほど綺麗な胸を初めて見られて嬉しかったのと同時に、
複雑な何かが、簡単には言い表せない何かが僕の心に浮かび上がってくる。
そして、里香は僕の心情の変化を簡単に読み取ったのだろう。
少しだけ寂しそうな顔をして、その痕を右手ですっと隠してしまってこう言う。
「……じろじろ見ないでよ」
里香は少しうつむき、僕の反応を待っているようだった。
そんな里香の態度は、女の子にとって大事な部分である胸にずっと残る傷跡に、
里香が少なからず劣等感を感じていることを悲しく示していた。
僕は、里香の言葉を遮るようにこう言った。
「……じろじろ見てないから」
「そんなこと言ったって、どうせ……」
「……」
『どうせ……』に続く言葉が、だいたいわかってしまうのが辛かった。
どんなにワガママで元気でしたたかな里香でも、体と心には見えない傷を抱えている。
今まで知らなかった里香の気持ちを知って、心がキリッと痛んだような気がした。
僕は里香の胸に傷があろうが、それを醜いだなんて全然思わない。
全くもってどうでもいい。
……でも、里香はこんなどうでもいい傷跡に劣等感を持ってしまっているんだ。
事情を知らない他人相手にならともかく、里香は僕にまで気を遣っている。
そんな事は気にする必要なんか無いんだと言葉にして伝えて、
ついでに里香の気を逸らす様な事も言ってやりたいけど、
言葉を紡ぎ出すだけの勇気とか器量とか言う物は僕には無い。
ただ、その里香の胸の傷は、里香が自分自身の強い意志で
僕と一緒に残りの時間を生きる事を選んでくれた事の、かけがえのない証明に思えた。
そういう風に考えると、心の底から熱い物が湧きあがってくるように誇らしくて嬉しかった。
……せめて今くらいは僕が、里香にも胸の傷の事を誇りに思って欲しい。
要は、嫌なことを忘れて気持ちよくなって欲しい。
「里香……」
僕は里香の胸を隠している彼女の右手をずらすと、まるで壊れやすい模型に触るような手つきで、
部屋の蛍光灯に照らされて真珠のように光る胸に直接触れた。
里香の口から、予想外だという感じの可愛い声が漏れる。
「え……やっ‥‥ん………!」
つつましい大きさの両乳房が、僕の両手の平に覆われる。
(うわ……やわらか……)
もうすでに硬くなっている両乳首の感覚もいやらしかった。
そして本当に壊れてしまいそうなほど柔らかくて、真っ白な里香の胸。
その感覚にひどく驚きつつもやんわりと握りながら、恐る恐るとこね回し始めた。
僕は里香に気持ちよくなって欲しい一心で、里香の胸をゆっくりと揉みしだく。
まずは外側から、痛くならないように。
「んぁ……はっ、う………」
里香の顔はさっきの寂しさを消し、甘い息を漏らし始めた。
その反応が嬉しかった僕は調子に乗って、緩急を付けて赤く尖った両乳首をピンと弾き上げてやる。
ピン。
「はぁぁんっ!!」
里香は予想外だったのか、思ったより大きな声を出して身体を小さく震わせる。
「乳首……すっげぇ硬くなってるぞ?」
僕は雰囲気を変えるつもりでそう言いながら、両手の人差し指で赤い突起を弾き続ける。
しかも今度は、弾くだけじゃなく摘みあげてもやる。
里香には負担をかけないように、四つん這いのような体勢で愛撫を続ける。
クニ、ピン! クニ、ピン、ピン!
「いゃ!ぁ、あぅっ……! ひゃあうんっ!」
僕の指先一つで、里香と里香の乳首はどうにでもなってしまいそうだ。
外周からも愛撫を加えられ、里香の胸は僕の愛撫と里香自身の鼓動で小刻みに震えている。
……普段は、あんなに自信たっぷりに生きていて僕に元気をくれる里香。
僕としても、そんな自信に満ちた里香が人間として大好きだった。
そういう彼女が、今は僕に乳首をだらしなく弄られまくって気持ちよさそうな顔をしている。
「ゆう、いちぃ……はぁっ、んんぅ!」
そして、そのギャップがあんまりにも可愛いせいで僕はだんだん遠慮が無くなってきた。
乳首は中指と人差し指で挟みあげられている。
小振りで手頃なサイズの里香の胸が、僕の手によってグニグニと形を変えられて弄ばれる。
まるで、最初から僕にこうされる為にあったかのように
「あぁ、んぅっ、ひゃ、あ、あ……!!」
里香は短い間隔の喘ぎ声を上げ、明らかに快感を強く感じているようだ。
僕は言葉責めのつもりも込めて、少し恥ずかしいけれど里香にこんなことを言った。
「里香……その‥‥気持ち、いいか?」
すると、里香は途切れ途切れの口調で、顔をいやらしく歪ませながら答えてくれる。
「うんっ……気持ち、いいよお」
その正直な答えが嬉しくて、僕は俄然やる気になる。
「わかった、もっとしてやるからな」
ぐに、ぐに……
少しやり過ぎなくらいに里香の胸が形を変え、弄ばれる。
「ああっ、あっあっ、……んっ!」
僕がそんな風に里香を愛撫していると、不意に里香が喘ぎながら、
「ひゃあうぅっ……! わたし、やっぱりもう少し胸があればよかった、かな……」
こんなことを言ってきた。
もしかしたら、もっと胸を思い切りいじられたいと考えてポロリと出た本音なのかもしれない。
さっき問題になった貧乳の話題であるだけに、僕は手を止めてできるだけ無難に答えておく。
「そんな事ないって、大きければいいもんじゃないと思うけどなぁ……」
すると、だ。やはり貧乳問題はデリケートなようだ。
「でも……裕一だって、さっきバカにした」
里香は急に目を吊り上げて、まじめに怒ってしまった。
僕は再び、里香を傷つけたことの重さに耐えきれずに、釈然としない謝り方をしてしまう。
「……それはほら……ごめん。ホントにごめん。俺、里香が気にしてることわかってて……」
「……」
里香は少しの間、僕をたしなめるような目をした。
その視線に耐えるようにしていると、里香はこう許してくれた。
「……わかったから。 もう、いいから……つづけて、ね?」
僕は嬉しいけれど申し訳ない気持ちで軽く頷くと、里香の胸への愛撫を再開した。
今度は、里香の右乳首に急に舌を這わせてやった。
「ぁっ!?!?」
今までの感覚と違う湿っぽさに、里香はまた昂ぶっていく。
「ん……っ! ………ゆ、ゆういち、意外と上手いんだ、ね……」
そうおぼつかない口調で言いながら、里香は艶々と漆黒に輝く瞳で僕の顔を見上げる。
その顔があまりにも可愛くて、愛おしくて、今まで保っていた僕の理性のタガは軽く外れてしまった。
「りか……ちょっと我慢しろよ」
「……え?」
里香がそう返事した直後には、僕は里香の右乳首にしゃぶりついていた。
「ふああっ!!」
柔らかく勃起した里香の乳首を、僕の唇と舌と歯が少々下品な音を立てて絶え間なく愛撫する。
ピチャピチャピチャ……
「あ、あ………舐め、てる……ゆういちがわたしの、むね‥‥」
僕の唇は乳首を挟み、舌が絡め取り、歯で甘噛みしてほぐす。
カリッ‥‥コリッ……
「ああぅ! ひぁぁ!」
里香は、自分が知らない快感を次々と教えられていることになかば恍惚しているようだった。
もしかしたら、もう何度か軽くは達してしまっているだろう。
まだ脱がせていないショーツの中は、たぶんビショビショだろう。
そんなことを考えながら僕は次に左乳首も同じように愛撫してやり、そして……
「あ、ひっ、あっ!……らめ、そこは……ッ!!!」
僕が今舐めまくり始めたのは、里香の胸の手術痕だ。
うっすらと桃色で奇麗な縫合痕を、容赦なく舐めあげる。
「ゆ、ゆういひぃ! そ、そんなこと、しな……ふぁ!
んぅっ……ひぁ……あ…ッ!!!」
もしかしたら……と思って舐めてみたら、案の定、
里香にとっての手術跡はかなりの性感帯になっていたようだ。
里香は軽く身体を跳ねさせながら反応する。
……今までコンプレックスだった箇所なのに、その箇所で存分に感じてもらえるなんて嬉しかった。
これから里香とエッチするときは、いつもここを必ず苛めてやろうと心に留めておく。
そして僕は、里香もそろそろ頃合いだろうと考えて達せさせることにした。
「里香……」
「え、何? ………んぅ、っ――!」
僕は里香に深いキスをして、彼女の口の中をかき回してやる。
「むぅっ……ぅ、う、んっ!」
抱きしめながらとどめとばかりに、里香の両乳首をいじってやる。
そして、里香は達した。
「む、っ! ん――――っ………!!」
里香の身体は口の中の舌から細い足のつま先まで、一瞬ピン硬直したあとに激しく震える。
里香は目を瞑り、自分を襲う快感に耐えているようだった。
やがてその波が彼女の身体から去り、穏やかな余韻を残していく。
「はぁ……はぁ……あぅ……」
僕とのキスを絶頂で終わらせて、里香は身体をベッドに横たえる。
彼女の口からは、呼吸を整えて落ち着くための甘く濃い息が吐かれる。
……里香が普段見せてくれないような姿を見ることが出来て、僕としても満足した。
彼女の身体のことを優先させなければならないので、少し休憩することにする。
「んっ……ゆういち?」
僕は里香の身体を軽く抱き寄せて、そのまま少しまったりとしていた――
―――しばらく後、里香は自分から僕に行為の続きを求めてきた。
どんな風に求められたかというと、僕の腕の辺りをギュッと掴みながら切なそうな目で見上げられたのだからたまらない。
僕は嬉しいながらも念のため里香の正面を向いて胸に手を当てて、
里香の心臓が正しく脈打っているか確かめる。
「ひゃっ……」
ちなみに里香は、触られただけで感じてしまったようだ。小さい嬌声が耳に心地よい。
「えっと……大丈夫そうだな」
僕が里香の一々色っぽいムラムラしてしまいながらそう言うと、
里香は微笑みながら目を細めてこう返してきた。
「……そりゃあもう、ちゃんと体力付けてますからねぇ」
「ぷっ……」
こんな時に芝居がかった口調で話した里香が面白くて、僕は思わず笑ってしまった。
すると、里香は少しだけふくれっ面をして僕を促した。
「ゆういちのバカ。 ……雰囲気読みなさいよね」
「わかったよ、悪い悪い……」
僕は少し誤魔化して話しながら、密かに左手を里香のスカートの中に伸ばす。
そして……
「もう、本当に反省して……ひゃっ!」
軽く指をショーツの先に触れただけなのに里香は敏感に反応して、短い嬌声を上げる。
ちなみにショーツがすでに湿っていたような気がしたのは、おそらく気のせいではないだろう。
「おおっ……」
バカっぽい声を出して驚いた僕に、里香は少し怒りながらこう言う。
「な‥‥なに驚いてんのよ‥‥っ!」
「いやさ、凄く感じるんだなって」
僕は里香の怒りを珍しく受け流しながら、再び彼女のショーツに指先を触れさせた。
「ひゃ!」
里香は怒りの表情を崩し、さっきと同じような短い嬌声を上げる。
……これだけ感じてくれているなら先に進んでも大丈夫だろうと思い、僕は里香に進言する。
「里香……その‥‥スカートとかも脱がすぞ」
僕はそう言いながらベッドの上に膝立ちになり、
足を伸ばして仰向けに寝ている里香の正面につく。
そして、里香が静かに頷くのを見ると、彼女の制服のスカートを慎重に手早く脱がしにかかる。
ブラジャーみたいに手間取る訳にはいかない。
「…………」
里香は少しだけ不安そうな顔をして、自分が一枚一枚服を剥かれて裸にされていくのを見守っていた。
そして、僕の手によって里香のスカートが脱がされる。
スルスル……
スカートがなくなれば、当然後に残っているのはショーツ一枚だけなのだが……
……さっきあれだけ感じていればショーツはビショビショだろうと思ったけれど、
僕の予想や妄想よりも、なんていうか、すごかった……
「濡れ……てる」
僕の目にまず入ってきたのは、内側から少しずつ大量に染み出た愛液で濡れて張り付いて、
ついでに少し透けて向こう側の恥毛の色まで見えてしまっている、里香のショーツだった。
僕が思わず鼻の下を伸ばしたままその淫靡な光景を見て愉しんでいると、
里香は珍しく恥ずかしくて死にそうだという感じで、顔を両手で隠すようにしてこう言ってきた
「裕一の、エッチ……。 ジロジロみないでよ〜……‥‥」
僕は里香を恥ずかしがらせて悪いと思いながらも、正直な感想を漏らさずにはいられなかった。
里香の顔を隠している彼女の両手を自分の手でどかして、少し泣き顔になっている里香の顔を愉しむ。
「ごめん。でもさ、けっこう濡れてるんだなって思ってつい……。
ほら、こんなにビショビショなんだぞ?」
僕はもう少し調子に乗って、ビショビショなショーツの隙間から右手の指を入れて
内部を撫でるというか掻き回すようにして刺激を与えてやる。
「バ、バカッ……! そんなこと言わな……ひぁぁっ!!」
里香はまともに反論する隙も持てないまま、僕の指先に秘部を弄られて感じ続ける。
触っている僕としてもショーツの中の感覚は面白いし、何より里香が悦んでくれるのが良かった。
僕の指に濡れたショーツと恥毛と柔らかい肉が絡んだ何度目かの時に、
里香は今日何度目かもわからない、いやらしい嬌声を発して身体を震わせた。
「ああああ……っ……!!?」
里香はもう、随分出来上がっているようだった。
クチュクチュと秘部をいじられるだけで、軽く達してしまっているような気がする。
……なんだかこのままだと、最後までする前に里香が疲れてしまいそうな予感がしたので、
僕はショーツの方も脱がしにかかることにする。
いつの間にか僕と里香の周囲には、お互いの汗と里香の女の子の匂いが香水のように蒔かれていた。
「里香、もうちょっと、腰上げて」
「……へっ?」
僕はそう言いながら、仰向けに寝ていた里香の腰を持ち上げ、
濡れそぼった里香のショーツを脱がしていく。
僕の目の前に、里香のずっと隠されていた秘部が徐々に顕わになっていく。
割れ目はしっとりと濡れていて、里香の黒くて艶々した髪と同じ色の薄い恥毛で密やかに守られていた。
それが目に入ると、僕は一瞬何も考えられなくなるくらいに興奮する。
「っ………あんまり、みないでよぉっ……」
里香は文字通り丸裸にされていき、隠されているべき部分を見られてしまったので恥ずかしそうに嘆く。
……僕は里香の言葉で我に返りながら、脱がすのを続けた。
ついに、僕の両手に握られたショーツが、里香の白く細い足の間を通ってスルスルと脱がされた。
僕は里香から脱がせたショーツをそこらに置き、
男としてイヤでも高まる興奮を抑えながら改めて里香の裸を目に写す。
(う、わ……)
僕の目には、一糸纏わぬ里香の裸の姿が写される。
里香の真珠のように白い肌があられもなく、蛍光灯の光に照らされてベッドの上に晒される。
無駄もなく不足もなく、服の上からでも見え隠れしていた陶器のような身体のラインがそこにあった。
うなじも、肩胛骨も、二の腕も、お尻も、足も、
それらの部分だけをオカズに出来そうな程に綺麗で、いやらしかった。
里香の身体の一部だということももちろんあるけれど。
そして、とどめとばかりに里香の顔は朱く綺麗に染まっていて、もうなんというか……
……とにかく、まるでこの世のものとは思えない。
胸や秘部といった部分は、さすがに里香が恥ずかしがって隠してしまっているけれども、
それが逆に僕には可愛く、色っぽく思えた。
ついつい見とれてしまって、僕は何も言葉を発していなかったらしい。
案の定、静かに語気を荒げた里香に怒られる。
「……裕一……ずっと見てるだけで何にもしないの?」
僕は慌てながらも、恥ずかしい本音を口にして里香の追究を誤魔化す。
「や、その……綺麗だから、見とれちゃってて……」
僕がそう言うと、里香は少なからず恥ずかしそうな顔をした後になぜか不気味に笑い始める。
「…………ふーん…… ‥‥ふっふっふ〜〜……」
裸で意地悪そうに笑う里香も可愛いなとか思いながら、僕は次の里香の言葉を聞いて驚く。
「……そっかあ、裕一は私の身体にコーフンして、
息子さんをそんなに窮屈そうにさせちゃってるのね?」
里香はその言葉を言う直前、僕のズボンのギュウギュウになった股間を一瞥していた。
「!?」
僕はいきなり恥ずかしいこと……生理現象とはいえ……を指摘されて顔を赤くしてしまう。
里香はきっと、さっきまで僕に恥ずかしがらされた分の仕返しであんなことを言ったのだと考えて、
とりあえず男の沽券にかけて反論しようとする。
「ばっ……! お、男なんだから仕方ないだろ!?」
しかし、里香は僕の反論なぞどこ吹く風といった感じでこんなことまで言い始める。
「もー、そんなに怒らないでってば? 我慢しなくてもいいじゃないのよ。
どうせ、裕一はスケベなんだしね」
里香め。今この場で『スケベ』なんて言われても、怒るに怒れないじゃないか。
しかも、歯なんか出して妙に可愛くて楽しそうな顔してるし。可愛いなら怒れない。
「……この天のじゃ……
僕がせめて愚痴ろうとした時だった。
「んっ―――」
里香が急に、上体を起こしてきて僕の唇に軽いキスをした。
「………」
僕が唇に残るふわりとした感触に驚いていると、里香はさっきの意地悪な表情とは違う、
だいぶしおらしい恥じらうような表情でこう問いかけてきた。
それでも、目はしっかりと僕の目を見ていたけれど。
「……わたし、裕一にされてばっかりは嫌だから‥‥こんどは、私からしていい?」
里香の言動が、僕の脳を甘い感触で満たしていく。
‥‥里香が自分からしてくれるなんて言ってるので、僕が断れるわけないじゃないか!
僕は里香の目を見て頷いた後、里香の裸の身体を軽く抱きしめた。
抱きしめられたせいで、里香は口から可愛い吐息を漏らす。
「はふっ………!」
里香の身体は柔らかくて温かくて、とても優しい匂いがした――――
つづく
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