淫らな月がのぼる空 〜君が笑うと嬉しくて〜 後編

―――里香の赤く上気した頬と、だいぶ落ちてしまった口紅のコントラストは色っぽい。
里香は、今度は切なげで可愛げのある溜息をついた。
「ふぅ………」
その様子をみていると、僕を射精させる為に一生懸命愛撫を
頑張ってくれた里香に対する感謝の気持ちが急に溢れてきた。
僕は、半ば衝動的に里香の小さい身体をベッドの上に抱き上げた。
軽いので苦労することはない。
急に身体を動かされた里香は、不思議そうに僕に問いかけた。
「裕一……?」
僕は吸い込まれそうな里香の漆黒の瞳を少しの間見つめて、軽いキスをした後に話しかける。
「里香……すごく気持ちよかったよ。ありがとう」
「……………」
僕は出来るだけわざとらしくない感じで言ったのだけれど、
なぜか里香の方は恥ずかしそうに、上目遣いで言葉を紡いだ。
「裕一……感謝してるんだったら、その……」
里香の言葉が途切れ始めたころ、僕は自分の方からささやかな行動を起こすることにする。
「りか……」
恥ずかしそうにしゃべる里香も可愛いくて見ていたいけれど、ここは僕はリードしなくては。
「ひゃ、あっ………!」
里香の壊れてしまいそうなほど柔く小さい身体をベッドに優しく押し倒して、
パジャマの上から秘部と胸を手で揉み揉みしてやる。
里香はそれだけの愛撫でもひどく初々しく嬌声をあげた。
可愛い声が、里香の確かな鼓動が僕の感覚を更に昂ぶらせる。
僕は次に、すでにツンと勃った里香の右胸の乳首を服の上から摘み上げた。
「ふあぁあっ!!」
すると、予想以上に大きく細かい振動が里香の身体を走る。
これは予想だけど、里香は僕に手で愛撫されるのが久しぶりだから
こんなにも反応が強いんだろうと考えた。
「……んぅっ、やぁ、っ……!」
僕は感じすぎてしまっている里香のことを考えて、こう問いかけた。
「里香。 服、脱がしても……いい?」
普通なら、聞かずに脱がしたほうが里香としては気分が良いらしいが、
今の里香は目を瞑ったまま頷くだけだ。
僕はそんな里香の表情をなめ回すようにして見て楽しみながら、
里香の服を上から下の順に出来るだけ丁寧に脱がしていった。
もちろん、服を脱がしながら里香の上半身にグッとすりよって、
里香の首筋や耳たぶに赤いキスマークや小さい歯形を沢山付けていくのを僕は忘れない。
「はうっ、うぅぅ……」
里香は僕にいいように責められているのが少し悔しいのか、
それとも僕に印を付けられているのが恥ずかしいのか、
我慢しているような喘ぎ声を下唇を噛んで出す。
そうこうしている内に、里香の身体を覆っていた最後の衣服、
つまりはショーツに僕はそっと手をかける。
飾り気のない里香らしいショーツの中心はもうグッショリと、
里香の昂ぶりによって染み出した愛液で濡れそぼっていた。
向こう側にある髪の毛と同じ色の茂みも、透けて張り付いて丸見えだ。
そんな光景は何度も見ているのだが、今回は特別淫らに見えてしまい、
思わず里香にこんなことを言ってしまった。
「里香……。 感じてるんだな」
僕の一言に対して、里香はやはり怒った。
「裕一の、バカ! ……い、いちいちそんなこと言わないでよぉっ……」
僕は、その内側に隠されている里香の女の子の部分を早く見たいと思いながら、
両手を使ってゆっくりとショーツを脱がしていった。
里香は、愛液に濡れた薄い恥毛がショーツに擦れたりする感覚に甘い溜息を吐いた。
「んぁっ……」
そして、僕の目の前に、一糸纏わぬ姿のあまりにも美しい小柄の少女が現れる。
実際、僕には天使のように思えてしまった。
高級な絹のように白い肌と、スラリとした無駄のない陶器のような肢体がそこにある。
それに、海の一部のように濡れたようなツヤを放つ長い黒髪と、
無限の宇宙を感じさせる深く優しい漆黒の瞳と、
手入れをされているであろう小綺麗に生えた薄い恥毛が、
一種の芸術のような黒白のコントラストを演出していた。
胸には、里香が僕と一緒に残りの時間を生きる事を
選んでくれたかけがえのない証明がしっかりと今も刻まれている。
一つのうっすらとした桃色の手術痕だ。
「里香……きれいだ」
小さい声でそう言うと、里香は黙ったまま自分の身体を僕に任せるようにしてくれた。
「…………」
里香の秘裂は部屋の中の外気に晒されて、それと同時にショーツの外に解き放たれたばかりの
新鮮で濃厚な女の子の香りが僕の鼻腔をくすぐりにきてくれた。
里香の裸の美しさと、女の子の香りの心地よさを口に出さずに楽しみつつ、
僕は右手をためらわずに里香の秘裂に這わせる。
濡れそぼって柔らかいところに指がグチュリと埋没したとたんに、里香の身体がビクッと跳ねた。
「っぁぁ………ふゃああっ!」
僕はその声に驚いて手を止め、里香の顔を覗き込んで問いかけた。
「里香、大丈夫!?」
真剣になった僕の問いかけに、里香は淫らに震えた甘い声で答えてくれた。
「……ぁ、だ、大丈夫だよ…… 感じすぎちゃっただけ、だから……」
「ほんとに? ……大丈夫なら、いいんだけど……」
その里香の答えに、とりあえず僕は安心することが出来た。
かなり良くなったとはいえ、里香の心臓は未だに危険なんだ。
だから、セックスでだって無理をさせる訳にはいかないという思いが僕にはとても強かった。
……そんな僕の考えを汲み取ってくれたのか、いや里香も僕と同じことを気にしているのだろう。
こんなことを神妙な顔をして言い出してしまった。
「ごめんね、裕一……こんなことで心配させちゃって」
「里香……」
全裸でそんなこと言われたって、こっちも妙な気分になってしまった。
いつも強気の里香が心臓に関することで謝っているのを見ると、
僕の心は古くて重い万力で締め付けられるような切なさに襲われた。
こんな気持ちは、あまり僕は好きじゃない。里香が謝る必要なんかない。
僕は自分の気持ちが下がっていくのを誤魔化したくて、里香を強く抱きしめる。
目の前にいる里香の身体を、里香の体温を、里香を確かめたかった。
里香は圧迫感を感じつつも、抱きしめられて嬉しいようだ。
「んっ……。ゆういち……?」
ついでに両乳首を右手の指でピンと跳ね上げ、
左手の人さじ指で濡れた秘裂を上に下になぞってやった。
「ひぁっ、っあうんっ……!」
すると、あまり強くない愛撫の割にはやはり里香がひどく感じてしまっていた。
これでは多分、クリトリスを剥いた愛撫を加えてしまったら
あっという間に達してしまうだろう。正直それでは面白くないというのが僕の本心だ。
「……あの、里香さん?」
さん付けされたことが意外だったらしく、里香はちょっと不思議そうな顔をして僕の目を見る。
「なに?」
僕は今更ドギマギしながらも、里香に加工した自分の言葉と考えを伝える。
「なんというかですね、このまましちゃうとですね……
 里香がちゃんと楽しむ前に終わっちゃうんじゃないかと思いまして……」
本音をわかりやすく言えということなら、
『このまま里香が僕の指やら口やらで胸をあそこを触られたら、
 ムードや気持ちを楽しむ前にすぐにイッてつまらないんじゃないかな?
 俺もあんまり里香の反応を見て楽しめなくなっちゃうし』
という文章になる。さすがにこれは言えない。
ともかく、僕のそういう意味を含んだ言葉を聞いて里香はむうっとしてしまった。
「………じゃあ、どうしろって言うのよ?」
これはこれで可愛い顔だから良いかと思いつつ僕は案を考えた。
「うーーん……」
そして、実に良い妙案を考えついた。
「そうだ。 今日はセルフサービスにしよう」
僕の言葉の意味を里香は理解しきれないようだが、ニュアンスは伝わったようだ。
「……セルフサービス? もしかて………自分で、ってこと……?」
「そう。 里香もさっきみたいじゃ保たないだろ? だから自分でした方が……」
一時休憩をとって里香の火照った身体を冷やすという考えもあったが、
それよりかはこういう遊びを試したかった気持ちが勝った。
つまりは、里香に自分でオナニーしてもらうのである。僕の目の前で。
「な何言ってるのよ裕一! ……で、出来るわけないじゃない」
顔を赤くしてあからさまに動揺する里香が面白くて、僕はもう少しおちょくってしまった。
「あ、俺の前でするのは恥ずかしい? 俺は見たいけどなあ」
「………だいたい、裕一が私が自分でするのを見たいだけでしょ? こんの変態!」
里香は目を可愛くつり上げて、白い手で僕の頬をぎゅ〜っと抓ってくる。痛い。
里香が可愛いのは良いのだが、あまりにも強い力で頬が引っ張られるので喋ることもままならない。
「いっ! いはいから、やめへっ!」
「……やめて欲しいの? ホンっトにやめて欲しい?」
里香がきつい口調で聞いてくる。僕はコクコクと頷いた。
すると里香は僕の頬から手を離し、伏せ目がちで恨みがましくこういった。
「もう……裕一はバカなんだから………そんなこと恥ずかしくて、出来るわけないじゃない……」
僕はひどくヒリヒリしている頬を右手で撫でながらも、
里香の口調に含まれた、まんざらでもない思いを突いてみた。
「じゃあもしかして、恥ずかしくなくなればしてくれるんだ?」
「……どういうこと?」
不審そうな顔をしている里香に向かって、僕は爆弾を投げ付けた。
「実はさ……入院してる時、里香にあのコレクションを捨てられてから、
 俺の、オカズは、ずっと里香なんだ」
「!?」
里香の身体がビクッと震えた。
「いや、ほら、やましい意味なんか全然無くって、
 前から里香のことはそれくらい好きだったということで――」
僕の告白に、里香の顔がみるみるうちにおかしな表情になる。
恥ずかしさのような、嫌悪のような、嬉しさが入り交じったような表情だ。
「――な、これで俺も恥ずかしいこと言ったから、とりあえずおあいこということで……」
僕の言葉が終わりきらない時に、里香は反撃し始めた。
「このヘンタイ!……………ヘンタイ……!」
里香はおかしな表情のまま、途切れ途切れに僕への嫌悪を口に出した。
近くにあった枕を抱きかかえたかと思うと、片手持ちしてバスバスと殴りつけてきた。
「バカッ……! だから裕一なんてっ……ゆういちなんて………」
「いたっ……うわ、やめてくれ!」
けれど、枕を振り回していた右手の勢いはなぜか徐々に弱まっていった。
最後には、僕を叩こうとしてベッドに力なくポスンと打ち付けられる。
どうしたのだろうと思っていると、里香は自嘲気味な口調で急にこう言った。
「……変なのは、あたしのほうも同じ。 裕一のことなんて言えないよ。
いつもいつも意地張ってて、裕一にも無理させてるのに。
 最近のことだって、私から先に謝ってればよかったのにね……」
悲しげなその声と目つきからは、演技らしいものは見受けられなかった。
「里香……?」
いつもはもっと覇気のある里香が、
散々僕を罵った挙句に落ち込み気味になってしまったので、
僕は少し焦りながら里香が気にとめてくれそうなことを言った。
女の子の心の中というのは、随分大変なようである。
「……里香は変じゃないよ。 みんな、そんなもんだって」
僕は、里香に元気を取り戻して欲しい一心で言葉を紡いだ。
「それに俺は今まで里香に何されても、一緒にいて自分が無理してるなんて思ったことないし」
「………」
ちょっとウソが混じってるけど、ウソも方便というから大丈夫だろう。うん。
里香は僕の言うことを少し顔を下げて聞いている。
「ああ、あと‥‥俺だって頭の中でもう散々……」
里香の気を紛らわす為とはいえ、また恥ずかしいことを言うのには勇気がいった。
「普段、里香がしないようなやらしいこともさせてたしなぁ……」
すると、僕にそこまで言われたからなのか、里香が顔を上げてくれた。
まだ少し悲しそうな顔をしているけど、もう大丈夫そうだ。
「だからってわけじゃなけどさ……
 里香はどんな風に一人でするのか、俺見たいんだ」
その言葉がトドメだったのだろう。
「……ゆういち、そんなに見たいの?」
里香は少し軽蔑したような、けれど甘さを残した口調で聞いてくる。
僕は甘えることにする。
「うん」
僕が躊躇わず頷くと、里香の唇に軽いキスをする。
すると、僕の唇が里香の唇から離れたときに、もう里香が体勢を変えていた―――
――――里香はベッドの上一糸纏わぬ姿で、足を左右にM字形に開いて僕の前に座る。
僕は里香を見る。里香は僕の目によく見えるように足を開いてくれていた。
里香の左腕に隠されている小振りな胸を見る。
里香の右手に隠されている秘められた泉を見る。
まだ事は始まっておらず、すでにそそり立った二つの赤い点と
蜜が止めどなく出ている秘裂はお預けを食らっていた。
里香のそんな姿を見たことがない僕の心は、愛おしさではち切れそうだった。
里香は寂しいときにこんな姿で僕に抱かれることを想っていたのか、
今も僕を相手に妄想しているのか、と考えれば余計にだ。
股間に植わっている器官は再び血流を集めて元気になり、
僕であっても制御が効かない状態になっていってしまった。
そんな時、里香がなぜか甘い溜息を吐く。
僕の目の前ですることに対しての緊張をほぐしたかったのだろう。
「はああっっ………」
里香の目に、口に、乳首に、秘裂に、淫靡さが満たされてきて僕を煽り立てる。
僕のペニスから、じゅっと先走りが滲み出るのを感じた。
このままでは、冗談抜きに里香を襲ってしまうかも知れなかった。
里香と好き勝手に交わり、腰を振りまくって膣内に射精してまう妄想が、
僕の頭の中を駆けめぐろうとするのをなんとか食い止めて里香に言う。
「里香。 そろそろ……」
僕に促されると、ポーッとした顔をしていた里香はおぼつかないというか、
理性を快感と背徳感で半分溶かされたような口調で返す。
「わ、わかった…… んっ、ううっ………」
そして、里香の自慰が始まる。……僕の目の前で。僕のおねだりで。
「はっ……ぅ……」
里香も実際問題、身体が相当火照ってしまっているらしく、
僕に身体の隅の隅まで視姦されているにも関わらずに手を動かす。
「ふぅっ……あぁっ……」
左手は、右胸と左胸の交互に痛そうな程そそり立った乳首を弄くり倒す。
里香は乳首を人差し指と親指でキュッと絞り上げる。
「ひゃっ……!!!」
他の指では小さいけれどふにふにとしている乳房を、
まるで乳牛の乳揉みをしているかのように強く揉んでいる。エロい。
僕の鼻を、里香の汗くささと淫臭が香しく刺激する。
ちなみに目は片目を瞑っていたりして、自分で自分を愛撫することに集中しているようだ。
時々僕に愛おしそうな、もっと見てという含みのある視線を送ってきているから更にたまらない。
「はぁっ……んぅっ……」
右手はというと、はじめは場所が場所なだけに直接的には愛撫していなかった。
恥毛を撫でたり、スジをなぞったりしているだけだ。
それが今では、人差し指と薬指を使って自らの秘裂をクチャッと押し拡げて、
肉色の襞が見え隠れしている部分を中指で貪欲に貪っている。
クチュックチュッと、ある程度規則的に聞こえる水音がその動きに華を添える。
「………ふ、っ……! やぁんっ……!!」
まるで、獲物を食らおうとする生物のように里香の指が更に貪欲になる。
これがいつもの里香の仕方なのか、そうでないのかは僕にはわからない。
愛液で濡れそぼった里香の中指が秘裂から一端引き抜かれたかと思うと、
今度はその上に位置しているクリトリスの包皮を器用にクイッと剥いてしまったのだ。
里香の大切そうな色をした肉真珠が、剥かれた反動でプルンと震えながら空気に曝される。
瞬間、里香の肩辺りからブルブルブルっと大きく震えが発生する。
振動は里香の身体に広がり、やがて絶頂を導いた。
里香は涙ぐんだ目を閉じ、右腕が挟まったままの足を閉め、嬌声を必死に押し殺す。
「ふわっ、あああっ‥‥‥!!! ゆういちぃ……みな、いで……!」
その声の質は、僕の愛撫で達した時とは大分違う気がした―――
――――自慰による絶頂が収まった時、里香は少し上がった息を整えていた。
健康的に汗ばんで紅潮した身体と頬が、僕の目には眩しく映る。
「はあ……はあ……」
里香は、自慰による絶頂を僕に見られたという背徳感を含んだ余韻に浸っている。
しかし、僕と繋がって達した訳ではないせいか、
里香の身体の中の切ない疼きは未だに燻っているようだ。
時折、もの欲しそうに動かす腰がそれをよく物語っている。
僕は一連の里香の淫らな姿にもう耐えられなくなり、ことを進める。
『ゆういちぃ……みな、いで……!』という言葉が、僕の心に衝動を植え付ける。
里香のもっと可愛い姿が見たい。僕に抱かれる里香が見たい。
僕は里香の秘裂のクリトリスを狙っていきなり右手を触れさせる。
チュクッ……
「ぁんっ……!!!」
敏感になった里香の身体は、面白いように反応してしまう。
「あれ、里香……いつもより感じてる?」
僕はそう意地悪な口調で言いながら、更に少し指を動かした。
チュッ……ネチャッ‥‥
里香は快感に耐えながらも恥ずかしそうに、コクっと頷く。
……普段ならこういう風におちょくろうものならすぐに鉄拳制裁されるのに、
今は僕の愛撫にただただ感じているだけだ。
そんな初々しい里香の反応が可愛くて、もう少し意地悪を続けてしまった。
「やっぱりあれか。 ……自分の手よりかは気持ちいいよな?
 さっきも凄く気持ちよさそうだったけど。」
その言葉によって、里香はさっきまで僕の目の前で激しく自慰をしてしまったことを思い出す。
「……っ!」
「な、自分の手と俺の手とどっちが気持ちいい?
 『ゆういちぃ……みな、いで……!』とか言ってたけどさ」
僕は自分の手を休めると今度は里香の右手を取り、それを使って里香の秘裂を愛撫した。
グチュッ……!
僕自身の手ではないから適当な触り方になり、それが里香の嬌声を生んだ。
「ふわああんっ!!」
僕の行いに里香が全身でビクビクッと大きく反応して、
足を広げていた体勢が崩れてベッドに仰向けに寝そべってしまう。
僕はすかさず追い打ちをかける。わざと残念そうな口調で問いかけた。
「里香は……俺の手よりも自分の手の方がいいんだ?」
そう言いつつ、里香の右手を動かして愛撫を続ける。
グチュッグチュッ……
すると、里香は恥ずかしさで真っ赤な顔を伏せながら僕に訴えかけてきた。
上目遣いの里香にこんなことを言われたのは、きっと世界で僕だけだろう。
「もう‥…こんなことしないでよぉっ………わたしは……ゆういちのことっ……」
普段は素直になれない里香でも、今はなんとか気持ちを僕に伝えようとしていた。
そして言葉が出てこなくとも、僕には里香の言いたいことがわかった。
今目の前にいるこの女の子は、本当に僕のことが好きなんだ。
……だったら、もう回りくどい事をする必要なんかないじゃないか?
それがわかった瞬間、僕の心の中では里香に対する加虐心よりも愛おしさがずっと上回った。
僕は、里香の小さな身体を抱きしめながら唇を優しく奪った。
里香は少しも抵抗せずに、僕の舌を甘い顔で受け入れた。
「ぅっ……はぁっ、んむっ……ゆふいひぃ……」
僕は唇を離して里香をベッドの上に仰向けに寝かせ、僕と繋がる体勢を作る。
蜜で濡れそぼって薄い茂みまでもが光っている秘泉が、肉色の割れ目までもを露わにして、
僕に対してあまりにも無防備に差し出されていた。
僕は膨張しきったペニスの亀頭をそこにグニッと押しつけ、里香の許しを得ようとする。
「……いいか?」
僕が聞くと、里香はひどく切なげな口調で返してくる。
「ゆういち、おねがい……」
「うん、わかった………っ!」
グッ……
僕は里香の身体を抱き寄せながら、思い切って腰を前に送る。
赤黒い亀頭が、濡れそぼった里香の秘裂を割って進入していく。
……ズッ‥‥ズッ‥‥
「んぅっ……!!」
僕のペニスが、暖かい里香の肉襞に出迎えられる。
里香の膣の感覚は新鮮でひどく気持ちよく感じられ、
それどころか里香の肉襞の一つ一つが僕のペニスに向かって、
『おかえり、裕一』とさえ言っているように錯覚してしまう。
「あぁっ、……んぅっ!」
里香はといえば詰まったような嬌声をあげながら、やはり久しぶりの挿入される感覚に震える。
「っ、あっ、あっ……! ゆういちぃ……!!」
僕が腰を前にズッズッと送ってゆく度に、里香は律儀に切ない声を上げた。
僕の名前まで呼ばれてしまい、それが更に僕の興奮を煽る。
里香がどんな風に感じているかは、具体的にはわからない。
ただ僕にわかるのは、里香は今気持ちいいということだけだ。
そして、少しずつ慣らしていくように腰を進めていった結果、
僕と里香は難なく最も深い場所で繋がることが出来た。
里香の中にすっぽりと自分自身が包まれている感覚が不思議で不思議で、
僕はふと溜息のようなものを吐いた。
「ふぅ……」
すると、里香は僕が動くのを躊躇っているのと勘違いしたらしく、こう促してきた。
「ゆういち……うごいてもいいよ?」
里香の方から促されて、僕は慌てながら返事をした。
「うん……」
僕は温かい里香の膣内を前後に動き始める。
グッ……ズプッ‥‥ズッチュ……
水音が漏れる度に、僕のペニスが里香の膣内に優しい圧力をかけて扱かれるのがわかる。
僕は荒い息を吐くために口を半開きにして腰を振り続ける。
絶頂に向かい、ペニスを出し入れする。
亀頭の先がニュルンと、里香の小さい膣口を抉る。敏感な快感が僕を愉しませる。
「くう、うっ……!」
圧迫感のある肉襞に散々に扱かれながらも、亀頭の先が里香の子宮口をコツンとノックする。
『ごめんくださーい』と言っている感じだ。
「ひゃああっ……!」
どちらの時も、里香は歯を食いしばって快感に耐えていた。
淫らな水音や愛液で濡れた肉が擦れる音に、里香と僕の喘ぎ声が主旋律となって重なり、
いつしか一つの淫靡なハーモニーを奏でていた。
そんなことが何回も続き、僕も射精の予兆を感じてきた頃だった。
ズッ!!!
「ぁっ……あっぁんっ!!!」
奥深くをゴリッと突き上げてやったところ、里香が大きく嬌声を上げた。
「…………ゆういち」
直後、里香は妙な声のトーンで話しかけてきた。
その目は理性の光を止めているが、とても気持ちよさそうだ。
僕は自分の腰を止めて里香に応じる。
「里香……どうしたの?」
僕が聞くと、里香はか細く小さい声で応じる。
「……しいの……」
「ん?」
良く聞こえずに、僕は聞き返してしまった。
「わたし……もっと、もっと裕一が欲しいの……めちゃくちゃにして……」
里香が甘く震えた口調でとんでもない事を口走る。
僕の脳髄とペニスにビクンと震えが走る。
「え、里香……」
「裕一……おねがい」
里香の目つきは割と普通なのに、口から出た言葉が変で僕は慌てる。
少なくともイキかけた状態でなければ、普段プライドの高い里香がこんなことを言うはずがない。
それが不思議に感じられたのと、里香にあまりにも激しく感じられては危ないので
僕は思わずこんなことを口走ってしまう。
「ちょ、それじゃまるでヘンタイじゃ――」
しかし里香は正気に戻るどころか、逆に淫らな言葉を出しまくる。
「‥‥うん。 わたし、変態でいいからぁ……
 ゆういちにっ、ゆういちにもっとしてほしいの……!」
「里香……」
僕は里香の真剣そうな瞳を見ていて気付いた。里香はちゃんとした考えで言葉を紡いでいると。
……里香は、相手を感じて気持ちよくなりたい欲求で心の中がいっぱいいっぱいだったとしても、
やはり、タカが外れた時でないと素直に求めることは出来ない性格の女の子だ。
だから今は、自分の心が快感の中に墜ちたというのを演じつつ、
本当はただただ一心に僕を求めているんだ……
そのことをしっかりと察した瞬間、僕は全身全霊で里香の希望に答えることにした。
「里香……気持ちよくなってくれ」
僕はそう言いながら、里香をより気持ちよくするために体位を組み替える。
里香の背筋を曲がらせ、里香の両足を開いて持ち上げて、
僕の両肩に里香の両足を預けるようにして屈曲位を作る。
膣口が開きやすい為に性器の結合がグイッと深くなった。
里香が早速、目を細めながら悦びの声を上げてくれる。
「ふああっ……!!」
里香は足を大きく広げるという屈辱的なポーズをとらされた上、
お互いの表情が見えやすく視覚的にもより興奮が増した。
試しに軽く腰を振ってみると、その度に里香の目から理性が消えていく。
ズプッ、ズプゥッ……
「ひゃぁ……んぅっ! あぁう、きもち‥‥いいよぉ……」
いつの間にか里香は口を色っぽく半開きにし、美しい髪を勿体ぶらずに振り乱し、
涙ぐんだ目には灯った情欲の炎が煌々と灯らせていた。
それを見たとき、僕の心にも止められない衝動が生まれ出ていた。
僕は里香の背中の辺りを両腕で抱きながら、上下前後にケモノじみた勢いで腰を振り始める。
ズプッズプゥッズプッ……
先ほどよりも密着したピストン運動が、僕と里香に絶頂への階段をハイペースで昇らせる。
僕の暴発しそうなペニスは頻繁に里香の子宮口を抉り、
常時キツくて温かくて良く絡み付いてくる肉襞に翻弄される。
里香は、良くほぐれた中を僕のペニスにかき回されたり貫かれたりと翻弄されている。
「んんぁぁっ……!! やああんっ……」
時にはキュッと僕を締め上げたり、フワァッと緩くなる。
「はぁっ……ふうっ……はぁ! 里香ぁっ!」
「あんっ……ゆういち、らめっ、そこ、いいよぉ………!!」
吐息や言葉を激しく掛けあいながら、僕と里香はお互いを昂ぶらせ合い続ける。
僕は言葉をかけるついでに、里香の唇を奪う。
「りか、好きだ……はむっ……ぴちゃっ」
すると、里香は身体を切なげに震わせながら舌を絡めてきてくれる。
舌使いのテクニックは里香の方が上手なようだった。
「……ぴちぅっ、ちゅぴっ……」
そのキスが終わって、里香と僕の口の間に唾液の橋が架かった時だった。
「ゆういちぃっ……!」
里香が、息の上がりかけた声で僕の名前を呼んだ。
名前を呼ばれたことでまたペニスに血流が漲ったのを感じながら、
自分でも里香の名前を呼んで勢いよく腰を振り続ける。
「里香っ‥‥りかっ、りかぁっ!」
ズプッ、ズプゥッ、ズプゥッ……
「あっ‥‥っ‥‥!! ……はぁんっ!」
里香の身体が小刻みに震えたのを見て、僕は里香の身体を気にしつつ問いかけた。
「……里香、大丈夫?」
里香は、快感からか片目を閉じながら返事をする。
「私、もう駄目かも……っ! ひぁあ……っ‥‥!」
その答えは、絶頂を望むものであった。
僕は里香を言葉責めしながら、最後に向かうことにした。
「……俺も、もう限界だ……!
 里香のナカが、暖かくてヌルヌルしててキツくて気持ちよすぎるせいだぞ」
具体的に、里香の身体の中の状況を告げてあげた。
「やめて、ゆういちのバ‥‥」
眼前の僕にそんなことを言われた里香は、
さすがに恥ずかしくなって反論しようとした。が……
ゴツッ……
「〜〜〜っ……!」
勢いよく突き込まれた僕の亀頭が偶然にも里香の子宮口を貫いてしまい、
里香はそれによってもたらされる快感で達するのを、歯を食いしばってやりすごしたのだ。
僕と一緒に達するために、一人で達するのを我慢してくれたのかと思うと
僕はとても嬉しく感じた。その感情を押さえながら里香に問いかける。
「だ、大丈夫?」
「だめぇっ…… このままじゃ、私だけいっちゃうよおっ‥‥」
里香は、本当にもう駄目だという感じでそうおねだりしてきた。
僕も限界が近いので、快く返事をする。
「里香……おわりに、しようか?」
「うん……。 わたし、裕一といっしょにイきたい……!」
そんなことを言われては、僕は嬉しさだけで射精しそうになってしまう。
「俺もだよ……里香……んっ」
「ゆうい‥‥んっ……!」
もう一度、深い口づけを交わした後に僕と里香は一気に絶頂へ向かっていった。
「はあぁんっ! やっ、ぁぁっ………!!」
心が快感で焦げ付きそうになりながら、僕はなんとか喋った。
「このままっ、俺、里香の中に……!」
「いい、よ……。 もう、ゆういちの好きにしてぇっ……!」
里香も、理性を丸ごと奪い去ろうとする快感に身体を震わせながら、
それでも僕の問いにコクコクと頷いてくれた。
僕はガシッと里香の身体を抱きしめ、絡み付いてくる肉襞を愉しむ余裕なく腰を振り立てた。
「っ……! 裕一い! ゆーいちぃ……! ふわああっ……!!」
里香のイキかけた時の喘ぎ声は、いつ聞いても綺麗に感じられる。
僕は最後に、絡み付きが激しくなってきた里香の中に深くペニスを突き込んだ。
ゴツンと、里香の子宮口を抉ったのを僕は感じ取り断末魔の叫びを口にする。
「よしっ、里香! 俺、おまえの中にっ……!! うううっ……!!」
僕の身体と里香の身体が同じ波長で震えながら、腕に思わず力が入り互いを強く抱きしめ合う。
そして、僕と里香はこの世界で一番高い所に昇りつめた。
その刹那、僕の亀頭はブルブルと震えながら凄まじい勢いで濃厚極まりない白濁液が吐き出し、
狂ったように収縮を繰り返す里香の中を瞬く間に真っ白く満たしていく。
ドクドクドクッ!!!
それが引き金となり、暴発しかけていた感情を里香は理性を失った口調で一気に解き放つ。
里香は僕のペニスから容赦なく精液を搾り取ろうとする。
「ひあぅっ!……ぁあっ! やああっ!イク! イクのぉっ!! ふああ!
 あつくて……わらひ、おかしくなっちゃ…っ‥‥あ、あああぁぁっああ―――……‥‥!」
脳をトロトロに溶かすようなひどく熱い快感を里香も感じているらしい。
里香の悲痛なほど甘い声が響くたび、
僕の中では射精後と気持ちよさと同時に里香への愛おしさが育っていった。
里香はまだ少ししか落ち着いていない喘ぎ声を出している。
「ああぁぅっ………はんぅっ………」
この絶頂は、僕と里香二人の心を一方では激しく、もう一方では優しく満たしてくれたようだ。
……やがて里香の締め付けも弱くなってきて、大分長く続いた絶頂も終わったのがわかった。
「はぁ……はあ……」
里香の落ち着いてきた息がそれを物語っている。
余韻は繋ぎ目を解いて二人でゆっくりと楽しむのが、里香のお気に入りだった。
僕は実に名残惜しく感じながらも、硬度を失って愛液塗れのペニスを
未だに絡み付いてくる里香の中からぬるりと引き抜いた。
ズイイッ……
「ふわあ…っ……」
先ほどまで身体の一部になっていた僕のペニスが引き抜かれる感覚に、
里香は堪えきれずに甘く切なげな声を上げていた―――
―――僕と激しく愛し合った痕跡の付いたままだった里香の身体を
僕は枕元にあったティッシュで丹念に掃除してあげて、
里香は僕のペニスを丹念に隅々まで舐めて綺麗にしてくれた。
その後は二人で裸のまま、布団だけで身体を隠してベッドの上に横になっている。
そこで静かに抱き合いながら、お互いの温もりや嗅ぎなれた体臭に心を和ませ、
目を瞑って優しく深い余韻を楽しんでいた。
……そんな時、里香が不意に僕の目を見て話しかけてきた。
さっきとはうって変わって、とてもしっかりとした顔つきと口調だ。
普段の里香に見える。
ただ、その目からは僕に対する愛おしさが溢れるように感じられた。
「裕一、今日は口紅ありがとうね」
「あ、ああ」
僕は里香の色の濃い瞳に心をグラリと動かされながらも、普通に返事をする。
「ねぇ……逆に私からもらいたいモノはないのかな?」
じゃれついてくる子猫のような感じで、里香はそう聞いてきた。
「うーん………」
興味深そうな里香の目つきが、僕の心をくすぐってきて妙にドギマギした。
考え込んだ僕は不覚にも、里香がとてもいじりたくなりそうな答えを口にしてしまう。
「り、里香の笑顔」
そう言った次の瞬間、里香がニヤニヤと小悪魔的に笑い出す。
「うふふ……」
「な、なんでそんな笑い方すんだよ!」
僕は途端に自分の顔が熱くなったのがわかり、
それでもなんとか虚勢を張ろうとするが、もう里香には通用しなかった。
「だって裕一……『おかしい』んだもん。自分で言ってて、恥ずかしくないの?」
里香は実に楽しそうに、僕の頬をツンツンと突いてそう言った。
「ばっ、馬鹿言え、俺は別に……!」
「ふふふふっ」
里香はさっきのように変に笑いながら僕を見ている。
「うふふふっ……」
僕はおちょくられているのが内心は嬉しいけどやはり癪に触ってしまい、やめさせるようにする。
「だからやめろって、その笑い方」
すると里香はおかしな笑い方をやめたかと思うと、
楽しそうにニコニコしながら今度はこんなことを僕にし始める。
「裕一が笑って欲しいって言うから、私は笑ってあげてるのよ?
 ……あ、そうだ。裕一も笑いなよ。 
 笑う門には福来たるっていうじゃない? ほらほら!」
こちょこちょ……
里香の細くて白い指が、裸のままの僕の脇の下を容赦なくくすぐる。
「わっ、やめろって!ちょ! くすぐった……! ひっ!」
くすぐっているのが里香のせいか、僕は激しく反応してしまう。
それに、布団に収まっている里香の肢体が見え隠れしてしまうからかも知れない。
里香はなおも僕をいじくり倒すような口調で話し続ける。
「ふふっ! 女の子みたいに敏感なんだね、かわいいなぁ裕一。 
 ……ねえ、今日はちょっといじめてもいい?」
里香に可愛いと言われたのは嬉しかったけど、あまりバカにされたら僕も怒る。
「なんで疑問系なんだよ! い、嫌って言ってもやるくせに!」
そう言われると、里香は若干詰まらなさそうに眉毛を曲げて僕に反論してきた。
「……だって、裕一が嫌がらないと、いじめてることにならないじゃない?」
そして、裸のままの僕にまたくすぐり攻撃を開始する。
「なんて理屈……うわまた! ちょっ! どこ触って……はうっっ! っあ!」
里香の細い指の感覚に、僕は背筋に電流を走らされたように感じてしまう。
いや、もはや性的な意味でも感じてしまっていた。
「ひぃ……だめぇっ、りかぁ……あうぅ!」
「……裕一をこうしていじめるの、ホントに楽しいなぁ〜〜」
僕と同じように裸のまま寝ている里香は、本当に楽しそうにそう言った。
天の上にいる汚れを知らない天使のような笑みが、
意地悪な悪魔のような笑みが、里香のその笑顔には同居していた。
里香、僕の近くで、いつまでもそんな風に笑っていてくれよ?
……僕はその言葉を胸の中にちゃんとしまいながら、
それから長い間里香の遊び道具にされていた……
でも、こんなのも悪くない。
―――里香が笑っていてくれるんだからさ。

〜終わり〜


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