そっと、里香が誰にも見せたことがない場所に手を添えた。そこは知識のあまりない僕でも分かるほど、ぬかるんでいた。
「…すっごい濡れてる」
里香は僕の首に腕を回し、耳元で恥ずかしそうに呟いた。
「あ…相手が、裕一だから…」
「里香…」
その一言がとても嬉しかった。じんわりと身体に染み渡って、鼻の奥をツンとさせた。
なんだか泣くのも気恥ずかしいから、眼を閉じてグッと堪える。しばらくそうしていたら、下から里香が声をかけてきた。
「ねえ…裕一、はやく…」
いけない。里香を放って自分の世界に入るなんて、男として最低だ。
「あ、その…」
こんな時にいちいち謝るのも野暮ったい。だから僕は、指を動かすことで謝罪の代わりをした。
「んっ…!」
里香の身体が震え、艶っぽい声が漏れる。僕はそれに気を良くして、手の動きを早めた。
「ん…あっ…!」
「すげえ可愛いぞ、里香…濡れてキラキラしてる」
「あ…やぁ…」
「ここ、もう膨らんでるな…どう?気持ちいい?」
「いや、いやぁ…」
僕の言葉に里香は、恥ずかしそうに首を振った。それでもその秘部からは、とめどなく蜜が溢れている。
それを指ですくい、しっかりと自己主張している突起に塗り付けてみた。
「ぁ、や…ふあぁっ!!」
里香は、電流が流れたかのようにビクビクと震えた。それが、まあ、いわゆるそういうことだって気付くのに、何秒か掛かった。
「…里香?もしかして、軽くイっちゃった…?」
「っ〜〜〜」
里香は僕の問いには答えず、頬を真紅に染めてそっぽをむいてしまった。
なんかよく分からないけど、バカだとかデリカシーがないとか聞こえた、気がした。本当だよ嘘じゃないって。本当にそんな気がしただけなんだって。
「あの、里香…」
まあ。野暮ったいとか言ってたけど、アレは撤回しよう。こういう時はやっぱり、ちゃんと謝らないと。
「あ〜…ごめ…」
そこまで言って、僕は里香に黙らされた。それは必然的に里香にも黙る方法。最も簡単で、いろいろとズルイやり方だ。
「………」
「……んっ…謝らないでよ、バカ」
里香は僕を見ていた。僕は、そんな里香の眼に魅入られていた。恥ずかしくなったのか、里香が眼を逸らした。
「里香…ありがと」
「…ん」
お返しって訳じゃないけど、僕からもキスを一度。唇を離した時には、里香の眼は潤み、僅かに乱れた呼吸と上気した頬が僕を刺激した。
「………ゆう、い…ち」
「………」
さて…。とうとうこの瞬間がやってきた訳だ。僕と里香が一つになる時が。今の里香の言葉から、里香自身そろそろだと思ってるのがわかる。
でも、いいのだろうか…?確かに、いかがわしい資料で仕入れた、拙い知識を総動員して一通りはこなした。途中は何がなんだかよく分からなかったけど。
それでも、僕は不安になってしまう。このまま僕のを挿入れても、里香に負担が掛かるだけなんじゃないだろうか。
そんなのはダメだ、僕の本意じゃない。僕は里香を大切にするって決めたんだ。
「?…あっ、裕一…はぁっ…!」
そうなれば、することは決まっている。僕は里香の秘部に、中指を差し入れた。
「ひぅっ…!」
「里香…大丈夫か?」
「あ…んっ…だい、じょ…ぶ…んぅ…!」
予想通りというか何というか、里香の膣内はとても狭かった。僕の指を押し返すように、キュウキュウと締め付けてくる。
「あっ、やあっ…!んぅ、ふっ…あっ、あっ…んっ…ぁ、んっ…んんっ…!」
指を少し動かすだけで、里香は敏感に反応した。僕は固い膣内をほぐすように、ゆっくりゆっくり指を奥に進めた。
「あっ、やっ、はぁ…んーっ…ふぅ…や、いやぁっ…!」
やっとのことで、僕の指が根元まで里香に埋まった。だけど、里香の膣内はやっぱりキツくて、指が動く度に締め付けてきた。
これくらいの太さなら里香の方も痛みはなく、快感だけを得ているようだった。でも僕の、里香に対する欲望指数MAXの愚息は、指よりももちろんデカい。まず間違いなく、里香は痛みを感じるだろう。初めてなんだから、男の僕には想像もできない激痛が里香を襲うはずだ。
もしかしたら里香は泣いてしまうかもしれない。あ、いや…それはないか…。きっと泣きたいのに、唇でも噛み締めて堪えるんだ。辛いはずなのに、痛いし怖いはずなのに、バカだの何だの僕を罵るんだ。
実際、その通りだった。
僕のが膣内に入っていく途中、弱音を吐かなかった。ただ一度だけ、小さく呻いただけだ。
「っ…!」
その声に割り進むのを止め、僕は里香を見つめた。美しい顔は苦悶に歪み、目尻に泪を溜めて、身体を小刻みに震わせていた。それでも里香は、僕を見ていた。しっかりと、真っ直ぐに。
「…裕一、の…バカ…っ…な、に…止まってん……のよっ…はっ…早く、しな…さいよぉ…」
そう言われて、僕は一息に里香を貫いた。里香の言葉を聞いた、里香の表情を見たその瞬間に、僕の頬を熱い何かが伝った。
「…っ…全部、入ったぞ…里香、里香…ぅ、あ…ああ…」
里香と繋がった嬉しさと、里香を傷付けた罪悪感。二つの感情がせめぎ合い、混ざり合い、訳が分からなくなって泣きそうになった。
本当に泣きたいのは里香の方だって分かってたから、なんとか堪えることができた。
「…っ…裕一、泣きそうな顔…して、る…んっ…泣かない…で…」
そう言って里香は笑った。どっちがだよ。なあ、里香。お前今、ヒドい顔してるぞ。泣きそうなのを必死で堪えて、それで笑える訳ないだろ。引きつった顔で、そんなこと言うなよ。
ああ、ダメだ。クソ、ホントにいい女だな…。里香が傍にいてくれるなら、もうどうでもいいや。
「里香…」
愛してる、って一度も使うことのなかった言葉を言った。言って、すぐに恥ずかしくなった。
「…ばか」
眼を閉じて、里香が呟いた。いつもの刺はまるで無く、安心したような口調だった。
「…動くよ?」
僕の言葉に、里香は無言で答えた。僕の首に腕を回し、頬に口付けを一度。それを合図に里香は眼を閉じ、僕は腰を少し引いた。
「んっ…ふぅんっ…!」
半分ほど引き抜いて、また膣内へ進める。指で慣らしたとはいえ、やはりキツい。それでも僕のを出し入れする度に、里香は艶やかな声で啼いた。
「はっ…!あ、ああっ」
ピストンする度に、里香の媚肉が僕のモノに絡み付く。なんていうか、天国?それほどの快感だった。
くちゅ、ずちゅ、と生々しい水音が部屋に響く。最初は痛みに顔をしかめていた里香も、段々と頬が上気し、漏れる声に甘い響きが混ざってきてるのは決して、気のせいじゃないはずだ。
「あっ…!裕一、裕一!だめっ、ん…あっ、やあっ…!」
自然と僕の腰の律動も速くなり、同時に下半身からの刺激も大きくなった。
里香が身体を揺さぶらせながら―まあ僕が腰を打ち付けてるからだけどさ―喉をのけ反らせる。
「っ…だめっ!…ゆう、いちぃっ…ああっ!」
か細い嬌声を残して、里香が上りつめた…らしい。同時に、僕のを今までに無いほど締め付けた。どうにか耐えて、抜いた直後に僕は欲望を開放する。
「っ…り、か…」
愛してるっ…!
僕の大切な想いが迸り、里香に降り掛かった。白い肌が、白濁で汚れる。
「あ…裕一の…あつ、い…」
ありがと、と呟いて里香はベットに深く身体を沈めた。数秒後にはもう、静かな寝息。きっと、疲れたんだろう。
「悪いな…無理させちまった」
後始末を済ませて、僕も里香の傍らに寝転ぶ。軽く髪を梳いてみるけど、起きる気配はない。
僕は寝てる里香にキスをした。触れるだけの、簡単なキス。一度やってみたかったんだ。眠りに付く前のキスを。
「こっちこそありがと…おやすみ、里香」
fin.
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