淫らな月が上る空〜里香とバイトと巫女装束〜
伊勢の二人の少年と少女との物語を覚えている者は、幸せである。
心豊かであろうから。
私達は、十七歳の時の記憶を印されてこの世に生きているにもかかわらず、
思い出すことのできない性を持たされたから……。
それ故に、戎崎裕一の語る、次の物語を伝えよう。
ピンポ〜ン
祝日の眠くなる様な気温の昼下がり、僕は里香の家のチャイムを鳴らして、
緊張感のかけらもない呼び出しの為の電子音を立てる。
まだ二人とも入院していた頃は、こういう日常が待っているとは夢にも思っていなかった。
退院する時の里香、少し怖がってたけどもうこの生活には慣れたかな?
こうやって里香の住んでいる家を近づいて見てみると、実に歴史が感じられ、悪く言うとぼろい家だとも思えた。
ただ、住んでいる里香と里香のお母さんはここをとても気に入っている様だし、
それにこういう風情のある家は、読書家の里香の住む家としては相応しい様な気もした。
まあ、下手にそんな事を里香に向かって言ったら誤解されそうで怖いな。
……そんな事を考えながら、里香か里香のお母さんが出てくるのを待っていると、
戸のガラス越しに里香の細身の、しかし始めて会った時よりはかなり健康的な身体が映る。
首の綺麗なうなじも、腰から足へのラインも、ちょっと小さい胸やお尻も一瞬で思い出せた。
そんな事を考えていると次の瞬間、戸の鍵がガチャリと開いて質素な服装の里香が出てきた。
里香は楽しそうに笑って、僕を出迎えてくれた。
「裕一! 来てくれるの、早かったのね?」
「まぁ、里香が出来るだけ早く来てくれって言ったしな」
簡単な挨拶を交わした後、僕は里香の家に上がった―――
―――そもそも僕が今日里香の家に行ったのは、
僕に出来るだけ早く見せたい服があるからだと里香が少し前に電話で話したからだ。
その時の里香が実に嬉しそうに話していたのが、電話越しでもわかった。
僕はその話しを聞いた時、里香が服を僕に見せたがるなんて珍しいなと心から思った。
でも、里香は今までずっとおしゃれなんて楽しむことは出来なかったんだし、
何よりも、僕に見せたいと言っていたのだから、その点でもこんなに嬉しい事は無かった。
「今日はママ遅くまでいないから、あんまり遠慮しなくても良いよ?」
母親が遅くまでいないという里香は、僕に何か期待しているのだろうかとも思ったが、
とりあえず冷静を装って流しておくことにする。
「いやぁ、里香の服見たら俺は帰るよ」
「そうなの? せっかく来たのに」
そんな風に里香に連れられて、里香の自室がある二階に僕は向かった。
ギシギシと音が鳴りそうな、いや実際鳴る階段を登り、上って右側にある里香の自室の前まで来ると、
里香は急に立ち止まり、僕の方をくるっと向いてこう言った。
長く伸びた綺麗な髪が揺れ、威圧するような里香の顔が映る。
里香の可愛い眉毛がつり上がる。
「……裕一、私これから部屋の中で着替えるから、絶っっ対に覗かないでよ!」
いつもの事ながら僕は気押されながらも当然の如く同意する。
覗きでもしたら一体どうなってしまうのだろうか……
「わかったよ」
「ん、よろしい! じゃあ楽しみにしててね」
里香がそう言って戸を閉めると、僕は一人部屋の外に取り残される。
しかし着替えを覗かれたくないと言っても、実際はそれ以上の関係を持ってしまったのだから、
今更そんな事言ってもなぁ…という考えが僕の頭に残る。
その考えが元で、僕が色々な事を思い出してしまって悶々とした心持ちになりながら
里香が着替えて出てくるのを少しの間待っていた。
中からは里香が着替えている事によって起こる衣擦れの音が聞こえている。
「裕一、開けて良いよ」
不意に、戸の向こうから里香の声が聞こえた。
僕はその声を聞くと、馬鹿みたいに心が弾むのを感じた。
里香があんなに僕に見せたがっている服って一体なんなんだろう?
もの凄く可愛いといいんだけどなぁ…そんな風に考えながら、僕は里香の部屋の戸を開けた――――
僕が戸を開けると、目の前には神社で働いているような巫女さんの服を着た里香がいた。
美少女巫女と言ってさしつかえない外見だった。
その姿に、僕は思わず鳩が豆鉄砲を喰らってしまったような顔をしてしまったと思う。
いや、見とれてしまっていたのだ。
すると里香が、僕に自慢する様に言ってきた。
「どう? この巫女装束?」
僕は思考を元に戻して、巫女装束を着た里香の姿をよく見てみる。
里香が見せたがっていただけあって、とても似合っていて可愛かった。
長くて艶っとした髪が学校でしているようなポニーテールになっていて、
日本人形の様な顔立ちや肌の白さが、紅と白を基調とした巫女装束ととても良くマッチしている。
「……ああ! 凄く良く似合ってるよ!」
僕の言葉を聞いた里香は、嬉しそうに続けた。
「裕一にそう言ってもらえると、私も嬉しいなぁ
これはね、神社でアルバイトする事になったから持ってるのよ」
神社でアルバイトという里香の言葉が引っかかった。
「アルバイト? 何でまた?」
「ちょっと前ね、ママと一緒に神社で散歩してたら
神社の人に話しかけられて、『手が足りない祭りの時だけで良いから働いてくれないか?』
って頼まれたの」
「……そ、そうか、やっぱり里香はそういう服が似合うんだな、
じゃなけりゃスカウトなんかされないぜ」
「私もこの服好きだし、仕事も気に入ってるのよ」
……正直、一週間に五日だとかそういうハードなバイトじゃなくて良かったと思った。
里香の身体は長時間立ちっぱなしで働けるほど頑丈ではないはずだ。
本人は社会勉強のつもりでいるのだろうが、僕としては喜べなかった。
里香のお母さんは良く里香のアルバイトを許したものだ。
僕は里香を小さな箱に閉じこめたいとすら思っているのだ。
病気の事を神社の人に教えているのか、もし発作が起きた時にはどうするつもりなのか?
とても長くて綺麗な髪や、白い肌をなぜ持っているのか聞かれた事があるのだろうか?
そしたら一体理由をどう説明するのだろうか?
里香に聞きたくなっけれど、それは今の里香の笑顔を奪ってしまう様で聞けない。
……僕の頭の中にはそんな考えが灰色に渦巻いて、少しの間黙りこくってしまった。
部屋の中を気まずい沈黙が支配する。
その沈黙に気付いた里香が気遣うように話題を変えた。
「……そうそう、神社でもらった甘酒をちょうど今温めてたの
下に行って取ってくるね?」
そう言って階段に向かった里香を、僕ははっとして呼び止めてしまった。
「いや、俺が取ってくるよ。場所は台所だろ?」
しかし、僕のその言葉を聞くと里香は階段を下りながらこう返した。
「だーめ! 裕一はお客さんなんだから、私の部屋で待ってて」
巫女装束を着た里香が、スッスッという音を立てながら階段を降りていく。
僕は心にさっきの気まずさを残したまま、言われた通りに里香の部屋で待つことにする。
里香の部屋に入って戸を閉めて、部屋の真ん中辺りにあぐらをかいた。
眩しくはない柔らかい明るさの光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
女の子らしい服や、アクセサリーや音楽機器が並ぶわけでもない、
高校の制服や教科書などが目立つ所に置かれているだけの地味な部屋だ。
こんな部屋の中では年季の入った本や難しそうな本で一杯になった本棚もどうしても目に付く。
何度もこの本棚は見ているのだけれど、並んでいる本の中のいくつかの背表紙を見る度に
僕の心には言葉に出来ない感情が生まれる。
里香の笑っている顔、具合の悪そうな顔、怒っている顔、拗ねている顔が浮かんでくる。
これまで里香と一緒に歩んできた思い出で心の中が一杯になって、溢れてくる。
里香は、こんな気持ちになる事があるんだろうか?
「裕一、今両手塞がってるから開けてくれない?」
その里香の声に、僕の思考は今戸の向こう側にいる里香に向けられた。
きっと今の僕はしょぼくれた顔をしているだろうから、ワザと明るく振る舞おう。
「わかった、今開けるよ」
僕が戸を開けると、徳利と二つの杯をお盆に乗せて持っている里香が、すたすたと部屋に入ってきた。
里香の服装に徳利と杯が妙に合っているのが可笑しかった。
里香はお盆を部屋の真ん中辺りの床に置いてちょこんと女座りをすると、そこに僕を手招きする。
その手招きの仕草が巫女さんを真似ている様にも感じられた。
僕がその隣にあぐらをかいて座ると、里香がおもむろに杯を僕に差し出した。
僕は不思議に思いつつも杯を右手で受け取ると、里香はそこに甘酒を注ぎ始めた。
「おいおい、わざわざとっくりなんか使って……」
「良いから良いから」
まさかこんなバイトはするはずがないだろうから、ごっこ遊びの様なものなのだろうと思った。
楽しそうな顔の里香が傾けた徳利から、白濁色の甘酒が僕の持つ杯にトクトクと注がれる。
やがてそれが杯に一杯になると里香は注ぐのをやめて、僕に話しかけた。
「では裕一様、ぐいっとお飲みになって下さい」
「そ、そこまでするのか?」
「いいから早く飲んでよ」
様付けだなんて、普段の里香とのギャップが激しすぎるなと心の中で苦笑しながら、
僕は里香の注いでくれた甘酒を一口でぐいっと飲んだ。
僕の口の中を、甘酒の懐かしい様な甘い味が満たす。
甘酒なんて、小さい頃親父に初詣に連れて行ってもらった時に飲んだ以来だ。
そういう懐かしさと、里香が注いでくれたモノだということでかなり美味しいく感じた。
「どう? おいしいでしょ」
里香が感想を聞いて来たので、僕は素直に答えた。
「ああ、うまいな! これもやっぱり神社でもらったのか?」
「うん おすそわけだって」
楽しそうな里香を見ていたら、さっき自分の心の中の中にあった疑問や感情が消えていくのを感じた。
「残り物か……? でもうまいな」
「うん」
僕は巫女装束の里香と話していて、退院したすぐ後に里香を花見に連れて行ってあげた時の事を思い出した。
そこでは神社にお参りしたんだっけ……
僕は試しに聞いてみた。
「里香さ、あの時に何お願いしてたの?」
里香も自分で甘酒を注いでは美味しそうに飲んでいた。
杯から手を離すと、僕に聞き返した。
「あの時って?」
「花見の時に行った神社でだよ。覚えてない?」
僕がそう聞いたら里香はくすっと笑って、一言返した。
「秘密」
「なんだ、減るもんじゃないし良いじゃないかよ」
僕がそう答えると、里香は勿体ぶるようにしてこう言った。
「……じゃあ今、キスさせてくれたら教えてあげようかな?」
僕は杯を持ったまま思わず赤くなってしまったが、
杯をお盆に戻すと、隣にいる里香の顔を見た。
里香は少し恥ずかしげな顔をして、目を瞑っている。
こんな事は何度もあっただろうに、自分の心臓がどんどん高鳴って来るのが嫌でもわかる。
僕は変に初々しくなって、少しずつ里香の唇に自分の唇を近づけていった。
お互いの唇が少しずつ近づいていって、接触する。
里香の唇のほんのりと温かい感覚と、甘酒の残り香が心地良い。
身体の一部が触れているだけで、こんなにも安らいだ気分になれるのだろうか?
僕は少しの間、里香との浅くて穏やかなキスを愉しむ事にした。
だけどその次の瞬間、里香が急に積極的に舌を入れて来てしまった。
僕は思わず唇を離して、里香に話しかけた。
「ちょ、ちょっと…里香…!?」
しかし、里香は僕の言葉で行為を止める所か、僕に体重を預けて押し倒そうとまでしている。
僕の身体に里香の重みがかかって、動けなくなる。
しかも里香は僕の背中に両腕を回してきて、巫女装束越しに里香の柔らかい肌が触れる。
「ん、っ―――」
唇も完全に塞がれて、無理に抵抗する事もできない僕は、
ただただ里香に口づけされているしか無かった。
里香は僕の舌の根を抜くかの様な激しい愛撫を繰り返す。
予想外の甘く激しい感覚が、僕の脳を鷲掴みにする。
僕の口の中の上から下まで隅々に里香の舌がぬめりながら入り込み、
快感を与えると共に、正常な思考を奪っていってしまう。
すぐ目の前の里香の表情は逆光になってあまり読み取れない。
その上、里香が愛撫によって立てているいやらしい唾液の音が僕を煽る。
……こういう事の為に里香の家に来たわけではないのに、
次第に、今自分にのしかかっている里香の身体の柔らかさに欲情していった。
胸や局部の部分も密着してしまっているのだから堪らない。
この美しい紅白のコントラストを持つ巫女装束をもう少し程脱がして、
そこから覗く里香の白い身体を蹂躙したい、という情けない欲情だ。
……僕がそんな自分自身の劣情に申し訳ない気分になっていると、
里香は息が続かなくなってきたのか、名残惜しそうに唇を離す。
唾液の糸が縦に僕と里香の口から伸びていた。
僕も息が少し苦しくなっていたので、自然と息が荒くなってしまう。
里香の部屋には、僕と里香の吐く荒い息の音だけが響いていた―――――
―――いきなりの里香の行動に面食らっていた僕はようやく落ち着いたけれど、
里香に何か話しかける機会も、押し倒し返してどうこうする機会も逸していた。
僕がなんとか里香に話しかけようと口を開く。
「……あの…り」
「ごめん……」
先に話したのは僕に乗っかっている形の里香だった。
どこか言いしれぬ圧力を持った里香の一言に、
普段から里香に頭の上がらない僕は押し黙ってしまった。
でも、里香が何か僕に伝えたいのなら僕はそれを聞かきゃいけない。
里香の自分自身を責めている様にも捉えられる言葉に、思わず口より先に身体が動いていた。
僕は上体を起こすと、里香の細く柔らかい身体を正面から抱きしめる。
僕の鼻に、里香の肩の髪の毛のシャンプーの匂いと巫女装束に染みついた神社っぽい匂いが入り込む。
その後僕が里香の顔を見ると、強張っていた里香の表情が急に柔らかくなった。
まるで買い物に来ていて親とはぐれた子供が、運良く親を見つけられた時の様な表情になる。
すると、里香の方から僕に話しはじめてくれた。
里香の口がゆっくりと動き始める。
「ごめんね……裕一」
僕は出来るだけ里香が落ち着くように聞いていた。
「どうしたんだよ、里香」
里香は申し訳なさそうな顔になる。
その普段とは違う顔が僕にはとても可愛く思えたが、妙に翳りがある。
「……私って、わがまま‥‥だよね?」
「へ?」
今更、そんなわかりきった事を言われても遅いじゃないか。
という雰囲気を壊す考えを今は押し込めつつ、僕は答えた。
「なんでそう思うの?」
聞き返すと、里香は悲しそうな顔になってしまった。
「だって…‥私、裕一に何も知らせずに勝手にアルバイト始めようとしちゃったし……
それに、病院にいた頃からずっと裕一に迷惑かけてた……
散々使い走りにしたり、階段から突き落としたり、一日だけ学校に行かせてもらったり……」
「……そんな、俺は………」
「……私、ママにも迷惑かけてる‥‥ママにね、私がアルバイト始めるって言ったら
凄く驚いてて、私ちょっと悲しかった……」
話している里香の顔がどんどん翳り始める。
里香の言っている事は間違ってはいないのだけれど、
僕としては里香に振り回される事は全然苦では無いのだ。
僕はどうしようもない青二才かも知れないけど、
僕が全てを捧げられる相手がいるとしたら、里香しかいないんだ。
この世界に一人ずつの、僕と里香なんだ。
しかし、里香は僕に心配をかけてしまった事に責任を感じているらしかった。
「……裕一だって、さっき凄く嫌そうな顔してたよ?
何で、発作で死にかける事もある私がわざわざ働く必要があるんだって、すごく思ってたでしょ?」
その言葉と里香のある種の勘の良さに、僕は心が五寸クギを打ち込まれた様に痛んだ。
里香のある種の勘の良さは、病人として長い間病院暮らしをしていたからこそ持ってしまったものの一つだ。
自分が病人だという事に対する周りの人間の考えを知り尽くしているのかも知れない。
「そ、それは……」
思っていた事をほとんど的中させられて僕は動揺してしまう。
それが顔に出たらしく、里香は寂しそうな顔をしてこう言った。
「やっぱり、そういう顔しちゃうんだ……」
僕は、自分が里香を心配することで里香が傷付けた事に気付いてしまった。
里香だって自分なりに考えて社会に出ていたのに、僕はそこまで気づけなかったんだ。
「……無茶……だよね?」
嫌な汗と火照りが僕を襲うと共に、里香は話し続けた。
「…もし裕一が、私にアルバイトをやめて欲しいんだったら…」
……違う。
里香の涙ぐんだ顔と、震えた声が僕を何かに駆り立てる。
僕は確かに里香に元気でいてもらいたいけど、そのために里香が嫌な思いをするのは嫌だ。
里香が少しでも長く笑っていてもらえる様にする事は、多分僕にしか出来ない。
自己満足に繋がるとしても、僕は、自分で里香の為に役割を果たすんだ。
「駄目だ」
「え?」
僕は思わず、里香が相手だというのに口調を強くして話し続けた。
「……里香が自分で働きたいと思うんだったら、アルバイトをやめちゃ駄目だ!」
「ゆ、ゆういち……」
里香は涙目の顔を上げて、僕を見た。
「……里香に無理をして欲しいなんて思ってない……
でも、俺は里香に笑っていて欲しいんだ!
里香のお母さんも、夏目や亜希子さんもみゆき達だってそうだ!」
僕がそこまでなんとか言うと、里香は僕の上体に顔を埋めて来た。
「裕一‥‥」
「……里香が元気でも、笑っててくれなくちゃ俺は嫌なんだ……」
僕はそのまま里香を抱きしめて、お互いの温もりに、心の温かさに触れていた。
巫女さんのなかなか可愛い服も柔らかくって抱き心地がとてもいい。
僕達は、言葉だけじゃ通じない想いはこうやって伝える事が出来る。
何度も、僕達はこうしてここまで歩んできた。
今も、お互いの心から溢れ出た気持ちの温かさがとても心地よかった。
なんて素晴らしいんだろうと、僕は心の底から思った――――
――――僕と里香の暖かい抱擁がしばらく続いた後、お互いがふと顔を見合わせた。
里香はわずかに目を充血させていて、恥ずかしそうな顔をしていた。
その顔が可愛くて僕がクスッと笑ってしまうと、里香はいつもよく見る拗ねた顔になって言った。
「な、何よ……人の顔見て笑わないでよ……」
そんな強がりにも僕に対する気持ちが込められているのかと思うと余計に里香が可愛く思えた。
「悪い」
「悪い、じゃないわよこのスケベ」
「怒ってても里香は可愛いな?」
「はぐらかさないで!」
普段の里香が戻って来た様で僕は嬉しかった。
やっぱり、里香にはいつでもこんな風でいて欲しい。
「……なぁ、里香 聞きたいことがあるんだけど、いいか?」
「何?」
「あの……里香は、病気の事を神社の人に教えてるのか?」
その事は、僕が里香のアルバイトについて最も知りたかった事の一つだ。
里香は特に表情を曇らせるわけでもなく答えてくれた。
「うん‥‥担当の人には家とか若葉病院の電話番号も教えてるわ」
僕は、里香のそういう賢さが嬉しかった。
こういう事なら僕も安心していられた。
「バイト先の人は親切そうか?」
「大丈夫よ」
「そうか、それなら俺は良いんだ……」
僕は聞きたかった事が里香の口からちゃんと聞けて人心地がついたけれど、
同時に、今は里香と身体が密着したままで向き合うというこっぱずかしい状況だと言うことに気付いた。
「……」
「……」
巫女装束の布何枚か先には、里香の身体があるんだ。里香は逆の事を考えているかも知れない。
気恥ずかしさから僕達は顔を赤らめたまま黙りこくってしまう。
その沈黙を先に破ったのは里香だった。
「……ねぇ、裕一?」
「ん?」
「……私が何お願いしてたかって‥‥聞かないの?」
里香が妙に色っぽく話しかけて来るので、僕はドキッとして返事が遅れてしまった。
「………あ、あぁ……キスしたら‥‥教えてくれるんだったよな?」
僕がそう言うと里香は顔を近づけて来て、僕の耳元でそっとこう言った。
里香の髪の匂いと女子っぽい甘い匂いがかすかにする。
「……裕一が、砲台山の頂上で二回も私に言ってくれた事と同じだよ」
その瞬間に多分、僕の顔は真っ赤になっていただろう。
僕が里香に何か言おうと考えてる内に、僕の唇は再び里香によって塞がれていた―――
―――あの後、僕と里香はどちらが言い出した訳でも無く、
里香の部屋の床の上でお互いの身体を激しく求め合っていた。
カーテンから漏れ出した昼下がりの陽光が、僕達を照らしている。
狭くて地味な感じだけど、本だけは沢山ある里香の部屋に
二人分の息と、服が擦れる音が響いている。
しかし、里香の巫女装束はこういう時にはとてももどかしいモノだと思う。
どういう訳か、里香はなかなか巫女装束を脱ごうとしない。
僕としても里香のお気に入りの服を無理矢理脱がす訳にはいかないから、
里香に体重をかけない様に組み敷いているような体勢で、
白い着物の上から里香の身体を愛撫していた。
しばらくそれを続けていると、唇にしても胸にしても
直に触れる時よりもむず痒そうに反応する里香が可愛く思えた。
里香の性格と違って自己主張のあまり無い胸を軽く掴む。
とりあえず大まかな形を指でなぞったりした後
そのままふにっとした可愛い弾力を何度も何度も愉しむ。
「はぁっ……」
里香は昂ぶりがまして来たのか、ふうっと甘いため息を吐いた。
僕はそれを見逃さずに胸に軽く力を込めながら、左の耳朶を優しく噛んでやった。
他の肌と同じように白くて、ほのかに硬い耳朶を口に含んで遊んでみる。
「変態……ばかぁ‥‥なんで耳ばっかり……」
「ご、ごめん やりすぎたかな?」
「……そういう問題じゃない!」
里香は僅かに身体を震わせながら、僕を小声で罵倒していた。
そんな里香の行動も仕草も、行為の妨げになっている巫女装束も僕を興奮させる材料でしか無かった。
つい調子に乗って右の耳朶もいじめてしまうと、里香は僕の頭を手で押さえた。
僕が里香と顔を見合わせると、その里香の顔はまた随分と恥ずかしそうで、
自分が一方的に愛撫されるのを拒んでいるかの様な気色を含んでいた。
それに、している場所が今までと違って大分明るいから余計恥ずかしいんだろう。
僕が里香に罰の悪そうな顔をしてみせると、里香は許してくれた様で恥ずかしそうにまた無防備になってくれた。
僕ははやる気持ちを抑えながら、里香への愛撫を再開する。
今度は両手で、里香の小さな胸を服越しにふにっとおさえると、
里香はゆっくりと目を瞑って僕に身体を任せて来る。
僕は自分の鼓動が高まるのを嫌でも感じた。
僕も目を瞑って、里香の唇に自分の唇を重ねていった。
同時に、両手で里香の胸と言わず背中と言わず激しく抱き寄せた。
口の中でも里香の舌と激しく絡み合わさせる。
里香は拒むどころか逆に舌の動きを合わせるようにしてきて、目はとろんとしている。
そんな里香に僕は愛おしさの様な劣情の様なものを感じて、
唇を離した後、今度は髪に隠れた首筋にキスをしようとする。
「ひゃっ……!!」
新しい性感帯への刺激に、里香は身体をピクッと震わせながら喘いだ。
僕はあまり痛くないように、丁度長い髪で隠れて見えなくなるようにキスマークを付けていく。
少し経った後、里香の右の首筋には僕と里香の唾液で光る赤い印が三つほどあった。
「ゆ、ゆういちぃ……」
里香が何かをねだるような、拒む様な曖昧な声を出した。
ふと里香を全体で見ると里香の身体を紅白に彩っている巫女装束が乱れてきていた。
その乱れた巫女装束や、里香の赤くなった顔や少し荒い息に心が動かされた。
僕は頃合いだと思って唾をゴクッと飲み込んだ後、里香の帯を緩め始める。
帯がするすると緩められていって、里香の白い両肩がはみ出して見えるのに興奮が高まった。
僕がとうとう巫女装束の胸を覆っている部分を開いて、里香の胸を露わにしようとすると
里香は急に、かなり困った様な顔になって胸を両手で隠してしまった。
「‥‥え?」
これでは事態が先に進まないので僕も困惑していると里香の方から話し始めた。
「あのね……裕一」
「なに?」
里香は僕から少し目を逸らしながら、ゆっくりと言った。
「私の胸の……心臓の上あたりに傷があるの」
「……手術の痕?」
「……うん」
里香は、自分の胸の傷を見ても怖がったり驚かないで欲しいと言いたいらいい。
僕がまだ知り得なかった、里香の病気の傷跡があったのだ。
暗い所でならわからないかも知れないけれど、ある程度明るい所ではそれが見えてしまうだろう。
女の子にとって間違いなく大事な部分である胸にずっと残る傷跡に、里香は劣等感を感じていたのだ。
どんなにワガママでしたたかな里香でも、体と心に見えない傷を抱えている。
里香の気持ちを知って、胃の辺りがキリッと痛んだような気がした。
僕が里香の潤んだ色素の濃い瞳を見つめながら里香の両手をそれぞれ左右にスッとどかすと、
小さな双丘の真ん中の少し左寄りに確かに手術の痕があった。
里香が手術を成功させた勲章にも思えない事もない。
縫合した医者……多分夏目の腕と、器具が良かったのだろうが、
そんなには目立たない少し蛇行した縫い目が確かにあった。
僕の目の辺りが熱くなってきた気がする。
こんな傷跡のせいで里香は劣等感を持ってしまっているんだ。
事情を知らない他人相手にならともかく、里香は僕にまで気を遣っている。
そんな事気にする必要なんか無いんだと言葉にして伝えて、
ついでに里香の気を逸らす様な事も言ってやりたいけど、
その言葉を紡ぎ出すだけの勇気とか器量とか言う物は僕には無いんだ。
僕は自分の感情を抑えきれずに、里香の小さな胸の間に顔を埋めていた。
「ゆっ、裕一……!?」
せめて今くらいは僕が、里香に胸の傷の事を忘れさせてやろう。
右の方を手でこね回しながら、もう片方の胸の頂の柔らかくてこれまた小さい乳首を押す様に舐めた。
弾力性のある乳首が向こう側にぷるんと揺れる。
「んぅっ……」
里香が小さく声を出すと次に僕は唾液を滴らせた口で、里香の乳首をカプリとくわえ込んだ。
「っ!」
味なんかほとんど無いけれど、何度も何度も舌で舐めた後弾いたり、
前歯でコリコリと傷付けない程度に強めに噛む。
「ひゃあぁ‥…」
出るはずのない母乳を吸い出すように僕は里香の乳首を愛撫した。
さっきからの様々な種類の刺激によって乳首がしこり立ち、里香の身体が震える。
その里香の表情は快感に彩られていてた。
里香が良い感じになって来た所で、僕は里香の傷跡に舌を這わせた。
まるで僕は犬が傷跡を舐めて癒す様に、胸の傷跡を舐めた。
縫い目の感覚が、あまり舌には気持ちよくは無かった。
「え……?」
里香は実に不思議そうな声を出して僕を見たけれど、咎めるような事はしなかった。
「裕一……ありがと」
逆に僕の頭を犬か猫の頭を撫でる様に愛撫してくれる。
僕の肩の辺りに手を回して、頭の辺りの匂いを嗅ぎながら里香はこうも言った。
「裕一の匂い、好きだな……」
「里香……」
僕はついつい嬉しくなって、お返しのつもりで里香の大事な部分を袴の上からさすってみた。
「ひぁ……」
僕はそんなに強く触れていないのに、里香は嬌声を上げた。
里香の昂ぶり具合がわかった僕は、アイコンタクトで里香に問いかける。
さすがに面と向かっては聞けないからこうしたのだが、
それでも里香は顔を赤らめて恥ずかしそうに頷いてくれた。
僕も顔がどんどん赤くなるのを感じながら、里香の下半身を紅く彩っていて
今は大分緩くなった袴をスルスルと脱がした。
長い袴を脱がしてその辺りに置くと、里香の秘部を覆っているものは
里香自身が分泌したモノに濡れそぼって透けて張り付いてしまった簡素なショーツ一枚だけになる。
白くて細長い足に、上半身だけ巫女装束を着ているというのも良い。
実に淫らな里香の姿に僕は興奮がいやでも高まり、里香を言葉責めしてしまう。
「うわ……すげぇ濡れてるな‥‥」
「ちょっと……ぬ、濡れてるって何よ!」
「だってさ、本当だよ?」
その言葉を聞くと里香は恥ずかしそうに顔を両腕で覆いながら僕に反論した。
「やめてよぉ……裕一のバカ! ‥‥スケベ、H、変態……」
「だから、そんなに恥ずかしがるなよな?」
僕は里香の反応に苦笑いしながらも濡れたショーツを脱がして、
控えめな恥毛に守られた里香の秘裂を露わにする。
甘ったるくて淫らな匂いが漂ってきて、僕のペニスもズボンの中で激しく暴れ始める。
僕は里香の両腕で顔を隠されたままの顔を見ながら、
露わになった少し開いている薄桃色の縦筋を右手で愛撫する。
ねちゃっという小さな水音と共に僕の右手の指が粘ついた。
ひどく柔らかい敏感な部分の感覚も忘れられるものではない。
ちなみに、上の方では僕は気まぐれに里香の胸や唇を愛撫している。
「ひゃっ……!!!!」
里香の身体はかなり敏感になっているようで、これならもう少しいじめても良いかなとも思う。
「里香? どうしてもやめて欲しかったら言ってくれよ?」
「わかった‥‥」
僕の言葉に里香は僅かに頷く。
僕はまず里香の濡れそぼった秘部の全体からほぐす様に指を使って責めた。
淫らな水音がどんどん大きくなり、それに合わせて里香の吐く息も荒くなって来た。
ぐちゃっ…ぐちゃっ…ぐちゃ…
次から次へと愛液が溢れ出して来て、その度に僕の右手が粘つく。
「くぅぅっん……」
たまに思うのだけれど、人間の身体って変な部分が多いと思う。
里香の喘ぎ声が大きく漏れたのは、僕が里香のクリトリスの包皮を剥いたからだ。
充血して赤くしこりたったクリトリスの包皮は思ったより簡単に剥けて、
直接他人が手で触れる事を許さないような色味の肉真珠がそこにあった。
ある程度明るいところで見ると、これはかなり強烈だ。
僕は少しの背徳感を覚えながらその汚れない肉真珠を右手の人差し指と親指でグニッと摘む。
「ひゃあっ……そ、そこ……やめ……!」
最後に僕はクリトリスをもう一回グニッと摘みながら、
愛液の匂いが濃厚な里香の股間に一気に顔を埋めると、里香の秘裂に舌先をニュルッと捻り込んだ。
里香の肉の感覚が、僕の舌先から脳に伝わって更に興奮した。
「……ふわ、あぁっっ……!!」
里香は絞った様な嬌声を上げて身体をブルっと震わせる。多分、イッてしまったのだろう。無理もない。
里香の秘裂からほんの少しだけ飛んだ、絶頂の蜜が僕の顔を汚した。
そっと舐めとると、少し生温かった。
仰向けのまま息の荒くなった里香は床にぐったりとして、休憩を取る。
僕は里香の身体を気遣って話しかけてみる。
「……里香、大丈夫? 少し休もうよ?」
「う、うん……でもすごい‥‥」
「……辛かったら、早めに言ってくれよ?」
「わかった……ちょっと休ませてね」
里香は絶頂の余韻で惚けた顔で返事をしてくれたので、とりあえずは安心だ。
僕も自分をなんとか落ち着けると、自然に里香の秘裂に視線が移った。
里香を休ませている間、ずっと見ていたのかも知れない、
先ほどは一筋だった秘裂がだいぶ開かれていて、はしたない程に女の子の匂いと蜜をトロっと溢れさせている。
髪の毛に良く似た色合いの恥毛も、愛液に濡れそぼっていてまるで違うモノの様に見えた――――
――――「……裕一、いい?」
里香が恥ずかしそうに顔を真っ赤にして僕に問いかけた。
僕は床にあぐらをかいていて、里香の方はというと僕のはち切れそうに
盛り上がった股間のファスナーを、巫女装束の袖から覗く白い右手で摘んでいた。
僕は里香のそんな表情や仕草の一つ一つに胸が高鳴るの感じながら返事をしていた。
「……うん」
「じゃ……はじめるね
‥‥最初から口でしちゃうけど別に良いでしょ?」
里香はかなり小さい声でそう言うと、
ほとんど躊躇わずに僕のズボンのファスナーを下ろして次に安物のトランクスの社会の窓まで開けてしまう。
その積極さに僕が内心驚いていると、里香はまた小声で僕に話しかけて来た。
「……邪魔だから、もう服全部脱いでくれない?」
「……あ、ああ」
里香の頼みだし、全く断る理由も無いので、
僕は上半身の服をもぞもぞとやって靴下までも脱いでその辺りに置いた。
……男とは言え、他人の前で裸になるのは倫理的にも抵抗があったが、そのせいで余計興奮してしまう。
しかも、これからフェラチオをしてくれる半裸の里香が目の前にいるのだから、
僕のペニスはすでに輸精管まで最大限に赤く勃起してエラが張り出し、鈴口から滲んだ先走りがいやらしかった。
外気に曝されながら、時折ピクンピクンと波打っている。
里香はペニスをやはり恥ずかしそうな顔で見ながら、僕の身体を床に仰向けに倒した。
その手つきも妙に色っぽくて、これも愛撫なのかなと思う。
里香は自分の顔を僕の股間に埋める様にしたので、僕からは里香の顔はあまり見れないのが残念だけど、
考えてみたら里香だってかなり恥ずかしいのだから、せめて僕の顔は見たくないのかもしれなかった。
うぅ……そろそろ辛いなぁ……もう我慢出来ないかも知れない……
ぺろっ
丁度我慢が辛くなって来た時に、里香の舌先が僕のペニスの鈴口を舐めた。
今日初めてのペニスへの愛撫に、僕の身体全体がぶるっと震える。
里香は左手で僕のペニスの根本を軽く押さえた。
「うっ……」
ぺろっぺろっ にちゃぁ
「あぅっ……」
股間と里香の口元から水音が発せられると、僕は情けないうめき声を出してしまった。
里香の舌先はまず僕のペニスの鈴口を集中的に責め立てて、
痛くて鋭くもある快感を断続的に与えて来る。
次に狙われたのも裏筋やカリなど、いずれも敏感な部分だった。
裏筋は何度も何度も上下に唾液のたっぷりと付いた舌で舐められてしまったし、
カリも何度も甘噛みされて、赤くヒクついている。
敏感な神経を少しずつ抉り出され、完全にペースをとられていた。
里香に愛撫される度に僕のペニスに血液が漲り、自分のマゾっ気が増してしまう気がする。
しばらくそんな里香ペースの愛撫が続くと、僕は耐えきれずに里香に懇願していた。
「りか‥‥ぁ」
「……なに?」
僕のその懇願に対して、里香は前にも見たようなちょっと意地悪な笑みを、
でも今日は僕への愛おしさを帯びた笑みを見せてきた。
こういう顔を見てしまうと、普段どんな迷惑をかけられたとしても笑って許せる気がする。
「あのさ……そろそろ‥‥」
「そろそろ‥‥何よ?」
里香は僕が何をして欲しいのか知っているにもかかわらずに、こんな風にとぼける。
「……わ、わかってるんだろ?」
「ふーん、どうかなぁ〜?」
僕が強く言い出せないのを良いことに、里香は更に僕を責め立てた。
ぐにっ
「いたっ!」
亀頭の辺りに甘い痛みが走ったのかと思うと、
里香は僕の亀頭を右手の指先でフォークボールみたいに挟んでいた。
次に里香は挟んだ亀頭にグニグニと力を入れて、僕の亀頭を弄くり回す。
形を変える亀頭から先走りが滲む。
「うぁっ……くぅ……」
僕の口から思わず声が漏れたのを見て、里香がにやっとして話し出した。
しかも左手では僕の睾丸を弾いたりしてもいる。
「‥‥裕一、辛いでしょ?」
里香に手玉に取られているのを嫌と言うのをわかりながら、僕は返事をした。
「う、うん……」
「楽になりたいの?」
里香の問いに僕が頷くと、里香は僕のペニスに舌を使って大量の唾液を塗りつけた。
僕のペニスが唾液に濡れて、ヌラヌラと里香の目の前で光っている。
その後、里香は形の良い口を開けて亀頭の辺りまで僕のペニスをくわえ込んだ。
それでまず鈴口へのついばむような愛撫から、徐々に裏筋や包皮を上下させる愛撫へと移行していく。
「ふぅぅ……」
里香の口内の生温かい感覚に僕の口からため息が漏れる。
里香の方はというと気にせずに、僕のペニスを口内で舐めしゃぶる。
上下に、左右に僕のペニスは里香の愛撫に翻弄された。
里香は更に、僕のペニスの亀頭から真ん中辺りまでにかけて、
これまた形の良くて紅潮したほっぺたの裏の所に密着させて上下させて扱き上げた。
妙な密着感と弾力性があって、これも新しい快感を呼んだ。
たまに舌と歯茎とでザラザラと、コリコリとアクセントを付けて、
大きく包皮も上下させて僕を絶頂まで連れて行く。
僕は抑え切れなくなる前に、里香にその事を伝える。
「里香‥‥! 俺、もうそろそろ限界なんだけど……」
僕の言葉を聞いた里香は口をすぼめてペニスをくわえ込み直すと、
一気に僕を絶頂まで達せさせるつもりなのか、
口の中全体を密着させて大きく首を振り始めた。
グチャッ……グチュッ……ネチャッ……ピチュッ……ヂュルッ
そんな感じの淫らな水音と共に、僕のペニスは里香の口内と歯茎に扱き上げられて
舌と上下の歯でアクセントも付けられて、最後に吸い上げられる様にされた。
チュゥゥゥゥ!
「―――っあ……!」
僕のペニスは里香の波状攻撃にこれ以上耐えられる筈も無く、やがて絶頂を迎えた。
ビュクッ!ビュクッ!と僕のペニスがなかなかに力強く脈打ち、
里香の口の奥に大量の白濁液を流し込んでいく。
膣の中とは違った熱さに、僕は心がなめらかに溶かされるのを感じた。
……僕が里香の異変に気付いたのはほとんど射精が終わっていて、
里香が僕のペニスを口からチュルンと引き抜いて顔を上げた時だった。
その里香の口元には引き抜く際に付着したと思われる精液が白く付着していて、
表情は苦そうな、苦しそうな顔をしている。
僕は里香が、喉の奥にまでぶちまけられた生臭い精液を
さすがに飲みきれなかったんじゃないかと思って、里香に声をかけた。
もし喉に詰まりでもしたら、それはまずい事になる。
「里香、飲めないなら出した方が良いって!」
でも僕に気にかけられるのが元々あまり好きではない里香は、
僕の言葉を無視してなんとか頑張って口に含んだまま、
苦しさで涙目になりながらもコクンと飲み込んでしまった。
本人は苦しいのだろうが、僕から見たらとても可愛らしくて健気だった。
僕が里香の行動に半ば唖然としていると、里香は荒い息を整えながら話しかけてきた。
その表情はどこか幸せそうだった。
「裕一の事好きだから‥‥飲めるよ」
「‥‥え?」
里香の少し抽象的な言葉に僕は聞き返してしまった。
「っ……何度も言わせないでよ!」
すると里香は紅潮した顔を隠す様に僕の股間に再び顔を埋める。
里香は、射精した後の僕のまだ熱を帯びているが、フニャッとなってしまったペニスを再び口の中へと運んだ。
「り、里香? うっ……」
里香は目の前にそそり立つ僕のペニスに付着した精液の白い残滓を、
まるで甘い砂糖菓子か何かを舐めしゃぶるかのように、舌で丁寧に隅々まで拭い取っている。
その里香の行動に、僕は心の奥が温かくなるのを感じた――
―――僕のペニスを丹念込めて綺麗にしてくれた里香は、
安全のため長めの休憩をとった後、すっと可愛い腰を上げた。
……僕が次に里香とナニをしようかなと邪に考えてみたり、
逆に何もしないで布団でも敷いて里香とだらだら話しながら休んでも良いかなと考えている内に、
里香は自分の身体を気遣いつつも、積極的に先に進めようとしていた。
「……裕一 動かないでね」
「えっ、り、里香!?」
今里香は仰向けのままの全裸の僕に、俗に言う騎乗位で跨ろうとしている。
里香の美しく整った細いプロポーションが上から下まで見ることが出来る。
上半身を覆う乱れきって少し汗に濡れて白い着物だけは、
僕に全裸を見られるのが恥ずかしいのか脱いでいない。
アルバイトで使うのに、汚れてしまったら後でどうするつもりなんだろう?
……そして里香は、薄桃色になって愛液を滴らせている自らの秘裂を
右手の親指と人差し指と中指とでクチャアッと開いた。
「っ……!?」
その瞬間、僕の目には鮮やかな赤い色をした里香の肉襞が少しだけ見えて、
それに一回射精したペニスまでもがビクンと反応して興奮が高まる。
こういう自体を予測してコンドームを持ってこなかったのは心から僕の失策だと思う。
しかし、今は里香の身体を気遣う方が僕にとって先決だった。
「だ、大丈夫なのか?」
「……大丈夫って、何がよ?」
里香はどこか切なげな、快感にまどろんだ様な表情で答えた。
僕は今更ドギマギしてまいながらも話しを続ける。
「それは‥‥その……安全日かどうかって事も……」
僕が最後に『も』とほのめかす用に付け加えて言ったのは、
そもそもこの姿勢……騎乗位でする事自体が里香の身体に大きな負担をかける恐れがあるからだ。
そういう二つの意味を含んだ問いに、里香は答え始めた。
「今日は、大丈夫な日だから……」
里香はちゃんとそこまで把握していたのかと思うと、それはそれで嬉しい。
「でも……もし発作が‥‥」
「やめてよ‥‥!」
僕がなおも何かを言って里香に食い下がろうとすると、
里香は怒っている様な、悲しそうな表情になって反論してきた。
里香のこういう顔を見るのはあまり気持ちの良い事じゃない。
「……私、裕一にそんなに気を使って欲しくない」
「里香‥‥」
「……確かに危ないかも知れないのはわかってるけど、
‥‥前の定期検診の結果、凄く良かったでしょ?」
確かにそうだった。今里香の身体はこれ以上無いほど調子が良いのだ。
「……ね、だから許してよ……裕一」
里香はとても切なげに僕を見下ろして来た。もうこれ以上里香も僕も我慢出来そうにない。
僕は里香の希望を聞き入れる事にした。
それでも、本当の所はして欲しく無いのだけれど。
「……わかった でも無理だけはしないでくれよ?」
「ありがとうね……裕一」
里香は可愛く小声でそう言うと両腕を床に付いて体勢を保持しながら、
遂に僕のペニスに向かって腰を落とし始める。
指で開かれたままの艶めかしい秘裂が、徐々に僕の亀頭を飲み込んで行く。
里香と僕が繋がって、一つのモノになりつつあった。
僕のペニスが、里香の膣によって少しずつ下まで剥かれていく。
お互いの脈動が、局部を通して大きく感じられる。
「くっ……!」
「ふぁぁっ……!!」
里香がなんとか腰を最後まで落としきると、
僕と繋がれた嬉しさと快感からか色っぽく表情を乱して声を漏らした。
ペニスと膣がお互いに一瞬だけビクビクッと震えた様な気さえする。
僕がそんな里香の仕草とペニスからの快感に惚けてしまっていると、
積極的な里香は自分から動き始めようとした。
「……じゃ……わ、私から動くね」
里香はぎこちない口調でそう言ったので、僕は頷いた。
すると里香は、やはり同じようにぎこちない動きで腰を上下し始めた。
ぐちゅ……ねちゃあっ……
いや、ぎこちないというよりは、この位慎重にならないと里香には命取りになってしまうのだ。
そして僕のペニスには、かなり変な例えかも知れないが、
まるでミミズが千匹程で寄って集って絡み付いて来るかの様な快感がどんどん迫ってきた。
お互いの感じる快感が一気に増えてきたので、声も漏れだしてくる。
「くぅっ…!」
「ふぁぁっ……ひぁ‥‥!」
くちゃっ……ぐちょっ……ねちぃっ……
重い音質の淫らな水音が、部屋に響き始める。
さほど使い込まれていないお陰で、丁度良い密着感も心地よい。
しかも今回は上から里香の体重が一方的にグイッとかかり、そのおかげでかなりの相乗効果を生んだ。
いつも里香に尻に敷かれている僕としては本望とも思える。
里香は普通上下に、たまに左右にクセを付けて僕に腰を振ってくれた。
その度に、僕のペニスが圧力に形と角度を変えられて翻弄された。
里香の色っぽく開かれた口から時折漏れる、
恋人と繋がる悦びにまみれた喘ぎ声とある程度の規則的な水音も花を添える。
ぐちゃっ!……ぐちょっ……ぐちゅう!
「はぁ……はぅ……ゆういちっ……」
僕のペニスは温かくて気持ちいい里香の胎内でアイスキャンディみたいに溶かされて、
そのまま飲み込まれてしまうのではないかとすら思えた。
やがて僕の亀頭と、弾力のある里香の子宮口が胎内の奥深くで互いについばみ合い始めた。
敏感な亀頭に子宮口の感覚はかなり気持ちよく、射精の予兆が現れてきた。
「お、奥で‥‥なにかあたってるよぉ‥‥」
里香も普通だったら言わないような事を口にし始める。
この事は胎内が随分ほぐされて来た事の証でもあるので、
ずっと腰を振り続けている里香の体力を考えればそろそろ潮時かも知れない。
僕は里香が腰を下に振ったのに出来るだけ合わせて、
最も深く里香の胎内を突けるタイミングで腰を上に大きく突き上げた。
相乗効果で、僕のペニスが扱き上げられ、根本まで挿入されながら里香の子宮口をゴツッと突いた。
里香の身体がガクッと揺れて、目を見開きながら激しく反応した。
「……っ!?」
里香の心身もそろそろ限界だった様で、
僕の射精を促すように胎内がキュウゥゥ〜〜っと狭まり、ツブツブの膣襞が吸い付いてくる。
「やぁん……き、きもちいいよぉっ……!」
僕は里香にそろそろなのかと聞いてみる。
「里香ぁっ‥‥そろそろ終わりに‥‥!」
里香は快感に蕩けきった目で大きめに腰を振りながら、切なげに訴えかけてきた。
「わたしもぉ……もうだめ……!」
その里香の言葉で沸騰しきった僕は、
締め付けが強くなったせいで動きにくくなったペニスをまた力強く突き上げた。
里香の胎内は激しく動くそれを強く絞り上げる。
また強く出し入れする。
ぐちゃっ!ぐちゃっ!ぐちゃっ!
激しい水音が結合部から部屋に響きだし、やがて終わりが訪れた。
里香の子宮口を突き上げた僕は、限界まで引き絞ったモノをドクドクドクッと射精した。
里香の胎内がそれなりに多い精液に満たされていく。
腰が砕けて無くなってしまいそうな快感に、瞬間的に僕は思わず目を瞑ってしまっていた。
「うっ、ぐぅ…!」
放出された白くて熱い迸りに反応するように、里香の胎内は収縮と弛緩を繰り返す。
里香は身体をビクビクッと痙攣させながら、身体を弓なりにしながら、
自分の脳に流れ込んでる快感に耐えきれずに達した。
「あっ、いやぁ、‥‥ひああああぁっ!」
その瞬間、里香は反った身体をぐったりとさせて、
僕の身体の上に糸が切れた操り人形の様に倒れ込んできた。
「あはっ……はぁ……はぁ……」
里香と僕は繋がったまま、里香の休憩を兼ねた深くて長い余韻を愉しんだ。
僕の胸の上で荒い息をしている里香の目と口は色っぽく半開きになって、頬は健康的に赤くなっていた。
その首筋には、まだ僕の付けたキスの痕が残っていた――――
――――里香の息が整ってくると、まだお互いが深く繋がったままである事と、
汗やその他の体液のほのかな匂いに顔から火が出そうになる。
なぜなら、敏感なまま結合しているお互いの局部がたまにヒクっと動いて
その度にさっきの激しい行為を思いだしてしまうからだ。
「…………」
「…………」
お互いの顔が火照っても、僕には黙っている事が精一杯だった。
流石に間が持たなくなって、僕は何か言おうとしてみる。
「里香……その‥‥身体の方は?」
「うん……だいぶ休んだから大丈夫だよ……」
「そっか……良かった」
「…………」
「…………」
里香にとっては、随分とまたありきたりな会話ですまないと思ったけれど、
元来僕には会話のセンスがあまり無いから仕方が無い。
すると、里香が何か言おうとして口を開きかけてやめ、そしてもう一回口を開いて話し始めた。
「……ゆ、裕一‥‥一つ質問しても良いかな?」
里香の神妙な顔つきに僕はちょっとドギマギしてしまう。
「‥‥い、良いけど?」
里香は気恥ずかしそうに僕に問いかけた。
「なんで……なんで裕一は私の事好きになったの?」
「えっ!? ……そ、それは……」
そういう事をこんなタイミングでいきなり聞いてくるとは、
なんて扱いづらい女の子だろうとつくづく思う。
里香は僕の答えを、少しだけ楽しみそうな表情で待っている。
実際の所、僕の里香に対する気持ちは言葉には表しきれないし、
表せられたとしてもとても歪なモノになってしまうだろう。
かと言って、僕が里香と一緒にいるのを運命だとか必然だとか言うつもりもない。
神様か誰かに頼んで、僕の気持ちのありのままを里香に伝えて欲しいとさえ思う。
……とりあえず僕はちょっととぼけて凌ぐことにした。
「……どうなんだろう‥‥う、上手く言葉に出来ないなぁ」
「そっか……でも、好きなんだ?」
僕がコクリと頷くと、里香は挑発するような色っぽい目つきで僕を見つめながら
ゆっくりと視線を絡めてくる。里香の仕草に僕のペニスが里香の胎内でヒクついた。
そのペニスの動きに気付いたのか、里香はこんな事まで言い出す。
「ねぇ‥‥裕一は‥‥もう一回したいの?」
「ええっ!?」
「……したいんでしょ?」
僕は里香の大胆な言葉に動揺して、何と言って良いかわからなくなる。
「いいよ……裕一の……したい様にさせてあげるよ……
……アルバイト、許してくれたお礼」
そう言って里香は腰を動かしながら両腕を使って僕の上体から腰までを起こし、
あっと言う間に対面座位の体勢を作ってしまう。
「くっ……里香‥‥」
僕のペニスに一気に血流が集まり、再び里香を欲していた。
僕の理性はもう無くなりかけていて、目の前にいる里香の事しか考えられなくなっていた。
顔を紅潮させて上半身に白い着物を纏って向かい合った里香が、
両腕を僕の背中に回して抱きつく様にすると、耳元でこう言った。
「……裕一、きて」
僕はその言葉を聞いた瞬間に、激しく腰をジュプジュプと突き動かし始めて、
両腕ではムニッと里香の小振りな両胸を掴んでいた。
「ま、た……胸なの‥‥?」
コリコリになるまでしこりたった両乳首を、人差し指と中指の隙間で挟みクニュッとした感覚を愉しむ。
その他の指はすかさず里香の両胸を揉みほぐしている。
「ふぁ‥‥ぁっ!」
向き合っているからこそ多彩な場所への愛撫がお互いに出来るし、相手の反応を細かく見る事も出来る。
里香の締め付けもキュッと一段階強くなった。
「やっ‥‥あ‥‥!」
里香の方もだいぶ昂ぶっている様で、僕が胸を揉みほぐす度に嬌声を上げ続ける。
「あっ……あん‥‥!!」
もう少し胸を責めようと思って、僕は里香の赤く充血した右乳首をチュュウと強く吸い上げた。
すると里香の細い身体がビクッと少しだけ揺れて、色っぽく開いた口の端からは唾液が垂れている。
「ひゃうん! やっ‥‥胸……!」
里香の反応はかなり大きく今なら身体の何処をどう弄っても、
初々しくて可愛い反応が返ってくるんじゃないだろうかと思った。
試しに里香の弱点の耳朶を、胸を揉みながらハムっと強く噛んでやった。
「ひゃっ……!」
案の定、里香は目を瞑って恥ずかしそうに声を上げた。
それと同時に、動かしていたペニスへの締め付けが増す。
しかし里香は僕の責めに怒る事もせず、逆に僕に口づけを求めながら僕の背中を抱き寄せて密着させる。
「ゆう‥‥いち‥‥?」
嬉しそうに、恥ずかしそうに目を閉じて口づけを求めて来る里香の唇を僕は奪った。
ぴちゃ‥‥ぴちょ‥‥ねちゃ‥‥ぴちゃ
「はぁん‥‥んぅ‥‥」
粘着性の高い唾液が、口の中でいやらしい水音を立ててお互いの口の中を舌で蹂躙し合う。
今日したキスの中で、最も倒錯的で激しいキスだった。
ふと結合部に目をやる。僕がグイッと腰を引くと、
それに合わせる様に里香のピンク色の肉襞がチラッと見え隠れして、
内部からは愛液と精液の混ざりモノが少し掻き出された。
その強烈な光景と快感に僕の興奮が更に高まり、早くも絶頂を望んでいる。
思わずそのまま押し倒したくなって、里香の胸から手を離すと里香の細い身体に力を入れてしまった。
里香の細い身体が床に仰向けになってしまい、里香は僕の背中に抱きついていた。
「あっ……ご、ごめんっ!」
僕が急に体勢を変えてしまったので、里香に負担がかかって
怒られるんじゃないかと思ったから謝ったのだけれど、里香の反応は違った。
里香は僕を愛おしそうに見つめながら、僕の背中に抱きついている手にギュッと力を込める。
「里香‥‥ありがとうな」
僕は、自分に合わせてくれる里香の考えを本当に嬉しく思った。
また爪を立てられても別に良い。その位は我慢出来るさ。
お互いの体勢をちゃんと整え直して、僕が再びゆっくりと里香の胎内をかき回し始める。
ぐっちゅ‥‥ぐちゅ‥‥!
「ふぁ‥‥あぁ……あっ‥‥あっっ!」
里香は二回も絶頂を迎えているのだから、今少し僕が突き上げただけで
胎内はとても熱くて、何処を突いても柔らかくトロトロになっている。
僕はその感覚のせいで熱に浮かされたように腰を引き、突き上げるのを繰り返していた。
ただ快感を貪る事と、里香の身体が発作を起こさないように気遣う事だけを考える。
ひたすら腰をズイッ、グチャッと引き、パンパン、グチョッと、
二人で奏でる肉の悦びの声と淫らな水音を部屋に響かせた。
「いっ‥‥ああぅっ…‥あっ‥‥あっ!」
自分という存在自体が、里香と繋がって果てたいという欲望に成り代わっていたのかもしれない。
愛撫があまりにも自分本位に単調になってもいけないと思って、
俗に言うGスポットの辺りを亀頭で擦るようにしてやると里香は大きく反応した。
「あっ‥そこ‥‥っ‥‥!」
里香の身体がまたも揺れて、抱きついている力が少し抜けた様だが、
それに反する様に里香の胎内は僕のペニスをキュッと締め付けてきた。
既にトロトロで柔らかくなっている筈なのに、この反応だ。
僕も里香も絶頂が近づいてきたのを嫌でも感じて、僕は里香に話しかけた。
「里香っ! ‥‥俺はもう……!!」
里香もポニーテールの髪を振り乱しながら、共に絶頂に進んでいく。
「わ、私も‥…もうだめぇっ‥‥!!」
里香の細くて可愛い身体と、胎内がヒクヒクッと震える。
僕はラストスパートをかけて腰を振り始め、里香も快感を目を瞑って堪えながら僕に密着してくる。
その時、里香の狭くてきつい最奥を真っ直ぐに犯している僕のペニスの亀頭が、
これまたほぐされた子宮口をゴリッと抉った。
「くっ……!」
「あ、‥‥ソコ‥‥ゴリッて言ってるよぉ‥‥!」
僕のが、焼き切れそうな快感を伝えるのに疲れてショートを始めていた。
終わりを渇望していた。絶頂という終わりを。
「里香っ!‥‥イクよ!」
里香もそれは同じだった様だ。
「……ゆういちぃっ! 裕一ぃ!」
僕は最奥まで貫かれた里香の胎内の一番奥、子宮口を鈴口で抉り上げて
限界まで引き絞った熱いモノを、新しい命の種を力強くペニスを脈打たせながら送り込んでいく。
ドクドクドクッ‥‥ビュクゥ‥‥ビュクゥ!
熱い液体をぶちまけられた里香の胎内は、
狂った様に収縮と弛緩を繰り返して僕のペニスを締め付けて、
やがて里香自身も絶頂に達した。
「ふぁ‥‥らめっ‥‥私っ‥‥ひゃ、ああっっ!!!」
里香の胎内が一気に精液で満たされ、僕の背中を掴む里香の手にも力がこもる。
しかしその里香の力もフッと無くなって、僕も快感のせいで姿勢の維持が辛くなる。
精も根も尽き果てて、そのまま二人で少しばかり絶頂の余韻に浸った。
長めの絶頂がやっと収まると僕はハァハァ言いながら腰を引く。
ヌルッ‥‥
里香がその感覚に甘ったるい声を出す。
「あぁ……はぁ‥‥っ‥‥」
里香のヒクついている秘裂から硬度を失ったペニスを引き抜くと、
名残惜しそうに愛液と精液が二つの性器の間に橋をかけたが直ぐに消えてしまう。
僕のペニスの形を覚え込まされてしまった里香の秘裂は、
時折コプッ‥‥コプッと弛緩と収縮を繰り返して内部に残っている
愛液と精液の混ざり物を溢れ出させていた―――――
――――とても深くて心地よい余韻の中で、先に言葉を発したのはやはり里香だった。
カーテンから漏れて来る午後の日差しと、横に寝たまま向かい合った里香の体温が温かい。
甘酸っぱい里香の体臭がほのかに漂う。
「ゆういち……」
里香はまだはっきりとしない意識のまま、僕の名前をうわごとの様に呼んでいる。
「ふぅ……」
里香は疲れて昼寝でもしたいのか、今度は小さくて可愛い溜め息を吐いた。
さっきと状況が違うのは、お互い息が割と整っている事と、最低限の服は着た事と、
僕が里香の為に押し入れから布団と掛け布団と毛布を出して敷いた事だ。
僕は一緒に寝なくても良いと言ったのだけれど、里香が一緒に寝たいと頼んだのでこうしている。
ちなみに甘酒は、布団を敷くのには邪魔だったので机の上に上げた。
……この世界に天国とか桃源郷とか呼ばれるものがあるとすれば、
僕にとってこの時そのものがそうなんだろう。
なぜなら、僕の直ぐ隣で寝ている里香はまるで親猫に寄り添って寝る子猫の様に、
布団に入ってからずっと僕に擦り寄って来るからだ。
僕が気恥ずかしくなってちょっと身体を引いても、もぞっと動いてきて出来るだけ密着しようとしてくる。
たまに僕の背中や腕に手を回してくる事もある。
本当に僕は幸せ者だ。
それにしても、何で僕はカメラを持ってこなかったんだろう?
今シャッターを切れば、もの凄く可愛い里香の寝顔が撮れるのに。
首筋のキスマークも一緒に写してやれるだろう。
もし出来たのを見せたら、もの凄く恥ずかしがってネガごと処分されてしまうかな?
そんな事を考えていると、夢心地の里香の唇が動き始めた。
僕の視線が思わずその動きに釘付けになる。
「ゆういち‥‥大好きだよ……」
幸せそうに目を瞑っている里香の顔の形の良い唇が
文字通り恋人に囁く様な、甘い言葉をそっと紡いだ。
間違いなく、僕だけしか聞くことが出来ない言葉だ。
僕はこんな状況に顔がどんどん赤くなるのを感じながら、ある事を考えていた。
凄く可愛い巫女さん姿の里香を、里香本人には見つからないように、
バレないようにこっそりと見に行こうかなと考えていた―――
終わり
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