伊勢の若葉病院の物語を覚えている者は、幸せである。
心豊かであろうから。
私達は、十七歳の時の記憶を印されてこの世に生きているにもかかわらず、
思い出すことのできない性を持たされたから…。
それ故に、戎崎裕一の語る、次の物語を伝えよう。
僕が里香の病室に入った途端に、頭上からミカンが落ちて来た。
ミカントラップである。
僕が頭にぽこっぽこっという感覚を感じると共に、里香の実に楽しそうな笑い声が弾ける。
「ひ、ひっかかった〜! あはは!」
「くっ‥最近やられてなかったからなあ…」
「残念だったね、裕一」
僕は今日も、里香の病室に来ては借りて来た本を渡したり、本の事等を話したり、
里香の散歩兼体力作りに付き合ったりする日常を送っていた。
第三者から見れば特別に幸せでも無く、ましてやパラダイスでも無い生活だろう。
でもその生活が、今の僕達にとってかけがえの無い毎日だった。
最近は里香のお母さんとも大きな摩擦は起きていないし、夏目も大人しくしている。
たまに司やみゆきや山西が来たりするけれど、三人とも丁度良く空気を読んで発言してくれる。
僕と里香の事をわかってくれているみたいでありがたかった。
お陰で僕も学校の事を忘れずに済むし、里香は本からでは得られない知識が得られた。
今の里香の笑顔にはもう、闇に喰われそうになっていた少女の面影は無い様に思える。
僕はベッドの近くにある見舞い患者用の安っちいイスに座ると、里香と話し始めた。
「今日はどうしたの? もしかしてまた本借りに行ってくれるとか?」
「お前なぁ‥人にミカン落としておいてそれは無いだろう…」
里香はほとんど悪びれる様子もなく、楽しそうに話しかける。
「行ってくれるなら、前借りてきてもらった本の中下巻を頼みたいんだけど?」
「わかったよ‥はぁ…」
少し前、ふとした事で里香は僕と関係を持ってしまったのだが、
それが原因での悪影響は里香の心身に無かったようだ。
僕と普通に口をきいてくれるし、妙に恥ずかしがる事もない。
それ所か、里香の身体は以前よりも可愛く、色っぽくなった気がする。
機会があったらまた抱いてみたいとは思うが、僕にはそんな事をするチャンスは当分無さそうだし、
何より…僕の考えで里香に無理はさせられない。
僕がそんな事を考えながら里香と他愛ない話をしていると、病室のドアが開いて看護婦の亜希子さんが入って来た。
多分、里香の様子を見に来たのだろう?
「よぉ裕一、まぁた里香ちゃんとべったりかい?」
亜希子さんは、二人で話していた僕達を冷やかす様に挨拶してきた。
けれど、元はと言えば里香と僕を出会わせてくれたのは他でも無い亜希子さんであって、
それ以後も僕と里香の関係の為に尽力してくれたのだ。
だから、今の亜希子さんの表情や口ぶりは冷やかしというより、僕には祝ってくれている様に感じられた。
そういう感覚は里香にもあるらしく、僕と里香は少しだけ照れて挨拶をした。
「こんにちわ、亜希子さん」
「谷崎さん、こんにちわ‥」
僕達の初々しい反応に亜希子さんは目を丸くした後、くっくと笑ってから話しを続ける。
「ちゃんと挨拶が出来る、若くて良いカップルだねぇ。 感心感心!」
その亜希子さんのカップルという言葉に、僕達は思わず顔を赤らめて反論してしまった。
実際、やましい事をしてしまった訳だし…
「そんな、カップルだなんて冷やかさないで下さいよ!」
「そ、そうですよ谷崎さん!」
「はいはいわかったよ…‥裕一も上手くやったもんだねぇ?」
「またそういう事言うんですから亜希子さんは…!」
僕達の過剰とも思える反応に、亜希子さんはまた笑って言う。
そして亜希子さんは、このやりとりの中でポロッと、
とある単語を口に出してしまう。実に自然に笑っている顔でだ。
「まぁ、この調子ならオリジナル戎崎コレクションの出番も無さそうだね!」
亜希子さんはあろう事か、僕の最重要機密を喋ってしまったのだ。
「………あ‥」
「………げ…」
「……………」
数秒間、この病室の時間が止まる。
その後亜希子さんは表情を変えて、必死にフォローしようとするが無駄だった。声が上ずっている。
僕は自分でも表情が凍り付くのがわかった。今里香の顔を見ている余裕は無い。
「ま、まぁコレクションったって前みたいな、エ、エロ本じゃないよなぁ?
もちっとまともなヤツだよなあ裕一…?」
「い、いやだな亜希子さん! ‥そんな説明口調でやめて下さいよ‥あははは!」
「そうだよなぁ! ‥わ、わりぃわりぃ…なははは!」
「……」
そのぎこちないありがちなやりとりを目の前で見ていた里香は、少しうつむいたまま沈黙している。
先ほどまで恥ずかしげだった顔も、長い艶っとした前髪に隠れて今は見る事が出来ない。
僕はオリジナルコレクションを所持していた事がばれてしまったのかどうかかなり心配だった。
まるで、敵地に単独潜入したは良いが運悪く敵兵に姿を見られかけ、
今はダンボールを被ってなんとか息を潜めている隠密部隊隊員の気分だ。
そん風にビビッていると、里香が急に僕に話しかけて来た。
その表情も口調も僕が見る限り普通のものだったが、それが逆に怖かった。
「裕一、ちょっと今は部屋から出てて」
僕は思わず気の抜けた様な返事をしてしまう。
「へ?」
「いいから出てて! 私、谷崎さんと話す事が出来たから。
そうですよね?」
亜希子さんはなんとも言えない表情で頷く。
もちろん、この場合の里香の『谷崎さんと話す事』というのは紛れもなく
僕のオリジナル戎崎コレクションの事だろう。
里香は亜希子さんから根掘り葉掘り詳しく聞き出すつもりなのだ。
「え、ああ‥うん」
しかし、僕は里香の雰囲気に押されるがままにイスから立ち、
へたへたと里香の病室から出て行ってしまった。
病室には里香と気まずそうな亜希子さんだけが残る。
多分この後、僕は…いや想像したくない…
―――僕が亜希子さんを介して、里香に病院の屋上に呼び出されたのはもう夜の8時を回っていた頃だ。
あのわがままな里香に取り調べられて使い走りにされた形の、そして今回落ち度もある亜希子さんは、
何とも居たたまれない様子で僕の病室に来てこう言った。
「なぁ裕一、今回は私が本当に悪かった‥
お詫びにいつか必ず、お前と里香を私の車でドライブに連れてってやるよ…」
正直、かなり危ないので丁重に遠慮しておいた。
「え、遠慮しておきます…」
「そうか‥すまんな‥まぁ屋上なり砲台山の上なりで里香と仲直りしてくれや…」
「頑張ります…」
そんな低調な会話を済ませた後、僕は屋上までの廊下や階段を進みながら、今日の問題について考える。
ぼーっとしていたので、他の患者さんに一回ぶつかりそうになったが大事故は起きなかった。
……僕が里香に『コレクション』を見つけられて怒られるのはこれで二回目だが、
里香だって僕に、その手のモノを使って●●●●している所を見られてて、(多分ワザと)
それから二人同意の上で、口に出しては言えない事をしてしまったのだ。今思い出しても顔が赤くなる。
ならば、これでお相子じゃないかと僕は考えた。
でも里香の世間知らずな所も、性格が破綻してる所も良くわかっているつもりだし、
今回の僕は再犯で、しかも所持していたコレクションは相続したモノでは無くて自らが集めたモノだ。
普通の女子とは全く違う過酷な人生を送って来た里香が、
理由を付けてその辺の女子の様に怒ってみせて、僕に焼き餅を焼きたい気持ちもわかる。
何だかそう考えると、心のどこかを掴まれた様にとても切なかった。
そんな事を考えていると、僕の足がふと病院に設置されている自動販売機の前で止まる。
120円のミニペットボトルで大好きな里香の機嫌が取れるならと、僕は財布を取り出していた―――
――――里香があまり力を入れなくても開く様に僕が油を差したドアを、僕が開ける。
自分でもなかなか上手くやったと思うが、今の里香にはそんな事言っても通じないだろう。
ドアを開けた先には、見慣れた夜の病院の屋上が広がっていた。
風が少しだけ吹いてたが、あまり寒くは無かった。
洗濯物も取り込んであって、昼間の暖かみとはまた違ったその殺風景さがあった。
里香はそんな屋上の手すりに両手で寄りかかって、伊勢のわびしい夜景を見ていた。
風に揺れる見慣れた長い髪の毛と、柔らかく細いラインの身体が月明かりに映えていた。見間違える事はまず無い。
そんなものを見ても面白くないのになと思いながらも、僕は里香に声をかけた。
「…里香」
里香は僕の方を向かずに返事をした。
「遅い」
僕はちょっと落ち込みながらも、平身平頭徹頭徹尾謝ろうとしたが……
「あの里…」
「裕一、私がいいって言うまで目、瞑ってて」
僕は里香が何をしたいのかがわからなかったが、とにかく目を瞑った。
「え? うん…」
よくあるパターンならキスの一つでもされるのだろうが、里香の事だからまあまず違うだろう。
どんな酷い悪戯をされるんだろうなんて考えていたら、急に両脇の下にくすぐったさが走った。
「ひッ!」
里香が僕の背後に回り込んでくすぐっているのだ。
その里香の予想外の行動に僕は思わず変な風に笑ってしまう。
「…わひゃひゃひゃひゃ! 何だよ里香ぁ!?」
僕の変な笑い方を見た里香も、くすぐるのをやめて笑い出した。
「何その笑い方! …おかしい〜! またくすぐってやる〜!」
「わ、笑うなよ〜! う、わひゃひゃひゃ〜!」
「裕一おかしい〜!」
………二人のそんな笑い声がしばらく屋上に響いて収まった後、里香が急に切り出して来た。
その表情には怒りは感じられず、ただ楽しそうな里香がいた。
怒っていないということは、やっぱり里香はただ焼き餅を焼いてみたかっただけなのかなと、僕は思った。
「裕一、ここで一緒に夜景見ない? そうしたら許してあげる」
「あ、ああ」
僕は里香のすぐ隣に、手すりに両手で寄りかかった。
ふと、夜景を見る里香の綺麗な横顔を見ていると、その上の方に半月が見えた。
思わず、その柔らかい光を放つ半月を僕は見つめてしまう。
「裕一、ちゃんと夜景見てる?」
僕が夜景を見ていない事に気付いた里香が僕に聞いてくる。
「あれ、今晩って半月なんだ?」
半月に気付いた僕が試しに言ってみると里香は、
「そうだよ 今まで気付かなかったんだね?」
「お前の事で大変だったからな …そうだ、これ」
僕は今が丁度良いタイミングだと思って、
あらかじめポケットに突っ込んでおいた120円のミニペットボトルを取り出して里香に手渡した。
ちたみに中身は、里香が身体を冷やさないように僕なりに気を使った結果
ホットのはちみつレモン味のジュースになった。
「これ何? 私にくれるの」
里香は不思議そうな顔をしながらもボトルのキャップを開ける。
僕はジュースが里香の口に合うか心配だった。
「出来るだけ里香の好きそうなモノ買ってきたけど、どうかな?」
里香はボトルからジュースをごくっと飲んだ後、感想を言う。
「裕一にしては良いセンス」
「ど、どうも」
僕が少しおどおどしているのを見て、里香は楽しそうに言った。
「そんなに怖がらなくてもいいじゃない 裕一も飲めば?」
だけど僕は、里香が妙にすんなり許してくれたのがやはり不思議に思えた。
「あ、ありがとう…」
「今日の事は許してあげる 裕一にだって秘密はあるもんねぇ……」
僕は里香から手渡されたジュースを一口飲んで、また里香に手渡した。
これって良く考えたら間接キスだって事に気付いたのは、
口の中からはちみつレモンの味が消えていった頃だった…
―――先ほどのやりとりの後ヵ僕達は消灯時間も気にせず
わびしい夜景を見ながら、手すりで延々と色々な事を話し込んでいた。
これじゃ謝りに来たんじゃなくて、ただの病院内デートみたいなものだ。
付け加えて言えば今の話題は丁度、亜希子さんについての事だ。
「あの人、さっき俺の所に里香の伝言しに来たんだけどさ、すっごいテンション低くて、
『お詫びにお前と里香を私の車でドライブに連れてってやるよ…』なんて言ったんだぜ?あの亜希子さんが!」
「へぇ〜、谷崎さんがね…‥ ちょっと連れてってもらいたいかも」
亜希子さんがそう言う言動をした原因の一端は里香にあるのだろうが、本人に悪びれる様子は無い。
僕はそのまま話を続けた。
「何言ってんだよ…里香は知らないだろうけど、
あの人の車の趣味と運転なんて暴走族そのものだぜ?」
里香が目を丸くして言う。
「ホントに?」
「ああ、運転テクは凄いけど、スピードが滅茶苦茶で死ぬかと思った!
しかも急に車のカスタマイズについて語り出したり、いきなりレースしたりするんだぜ!」
「す、すごいのね…」
「俺も、あんなヤバイ乗り物が身近にあるなんて知らなかったよ…」
亜希子さんの車の事を僕が話していると、里香が少し伏し目がちになってこう言った。
「でもドライブかぁ…私行ってみたいなぁ…」
心にチクリと針が刺さった様な感覚がした。里香はこの手の外出経験が無いんだろう。
僕はまた、いつかの様に強がって里香に言ってみた。
「もし、俺が原チャリか車の免許取ったら、一番始めに里香とドライブに行くよ」
僕の馬鹿っぽい言葉に、里香は表情を明るくしてくれた。
「ほんと?」
「ああ! それに今だって、チャリの二人乗りでなら出掛けられるしな、
お前が食ったこと無い伊勢の名物だって沢山食べさせてやる! 前に教えたヤツだよ」
僕がそう言うと、里香は本当に嬉しそうな顔をしてくれた。
里香の形の良い顔が、花が咲いた様に華やかになる。
僕の強がりに、里香は喜んでくれているんだ。
すると、里香が夜景を見るのをやめて身体の向きを僕の正面に向けた。
「…裕一、ありがとう」
里香がそう言ったかと思うと、僕の視界に里香の顔が広がって、僕の言葉は里香の唇で途切れた。
里香の持っていたペットボトルが、屋上のコンクリートに落ちて音を立てる。
そして両腕には、里香の身体の柔らかく暖かい感触があった。
僕は目を瞑りながら、身体のバランスを崩さないようにして
舌と舌を絡め合わせて里香と長く、激しい口づけをした。
里香もかなり積極的で、僕達の身体の隙間は全くと言って良いほど無かった。
僕達は、そこが病院の屋上だということも忘れてお互いの唇をただ求めた。
両腕でお互いの身体を抱きしめ合い、愛する人の温もりをただ感じていたかった。
僕は、殺風景な屋上がまるで舞台で、わびしい伊勢の夜景や星々が舞台照明で、
ただ一人の観客は、里香の向こう側の空に浮かぶ半月の様な気がした。
里香と同じ本を読んでいる内に、文学的な考えがうつってしまったのだろうか‥?
――――その後、二人の間にどういう会話があって、
どう考えて里香のパジャマのボタンを外したり、お互いのスリッパを脱いだかなんて覚えていない。
さっきから散々抱き合ってキスして、周りに誰もいなかったからかも知れない。
お互いが、『これも思い出作りの一つ』だと思っていたのかも知れない。
里香の方から誘って来た気もするが、これが何とも……
とにかく今僕は、パジャマの前がはだけた里香の両胸を愛撫している。
夜中の病院の屋上で、というのが二人の興奮を更に高めていた。
二人の喘ぎ声やら水音が、誰もいない屋上に少し響く。
里香は仰向けの形で横になって、僕はそれに覆い被さる様にしている。
里香の胸元と唇は、二人のものが混ざりあった唾液で濡れていて更にいやらしかった。
ついでに里香の好みの性感帯である耳も、里香がやめてよと言うまでつい嬲ってしまった。
小さいが、唾液で濡れて光っていて健康的な双丘も、痛いほどに乳首が赤く隆起していて弾きたくなる衝動に駆られる。
「はぁ…はぁ…ひぃっ!?」
里香自身も以前に比べて性感帯が開発されて来てしまったらしく、
僕がかなり強く乳首を噛んだり摘んだりしても、痛みでは無く快感として感じられる様だ。
里香のしなやかな髪が愛撫の度に揺れ、やわらかい身体が汗ばむのがわかった。
更に、僕が試しにパジャマのズボンを穿いたまま、
パジャマのズボンを穿いたままの里香の里香の秘部にペニスを擦りつけてみても、
「あっ!…くぅっ‥うっ‥!」
こんあ具合に、いかにも『寸止めされて辛い』様な喘ぎ声を上げる様になった。
僕の興奮も高まって、ペニスがどんどん大きく脈打って来ているのを感じる。
僕は里香から主導権を握って少し調子に乗っているのか、
一旦胸と秘部への愛撫をやめると、里香のズボンとショーツをするすると脱がした。
僕も里香も、また一線を越えていくという背徳感と、お互いの身体がより近くなる昂揚感を強く感じていた。
僕が里香の、よく見ると愛液で濡れている簡素なショーツを床に置いてしまうと、
そこにはもはや下半身に何も纏っていない里香がいた。
さっきから赤かった里香の顔が更に羞恥の色で赤くなるが、
そんな里香の顔が大好きな僕は、すっと里香の秘部に自分の顔を近づけていく。
里香の未発達な、薄い恥毛に守られた秘裂に近づいていく。
「裕一‥?‥…ひゃっ!」
僕の舌が里香の恥毛をかき分けて、すでに愛液が溢れていた部分を舐め上げると、
里香は弾けるように可愛らしい嬌声を上げて目を瞑った。
その里香の反応に僕は男心をくすぐられて、僕は更に顔を里香の秘部に近づけて愛撫する。
「えっちな匂いがするなぁ…」
「何するのよぉ…」
里香は僕の行動への恥ずかしさからせめてもの抵抗をするが、
拒否の言葉も二人を更に昂ぶらせる為に発せられている様にさえ思えた。
その間も僕の鼻孔の中には里香の女の子の淫らな匂いが絶え間なく入り込み、
僕の舌は、新しく染み出してくる里香の蜜を片っ端から舐め取っている。
「‥な、舐めないでぇ…」
里香は顔の見えない僕に向かって快感にまみれた、形だけ否定している言葉を発する。
僕が沢山舐め取った里香の愛液は、何とも言えない味だがどこか若さを感じさせる味だった。
せっかくなので両腕の方も愛撫を再開して、里香の身体の三点を責め続ける。
ぴちゃぴちゃぴちゃと言う水音が高くなるにつれて、里香に絶頂が近づいて来た様だ。
僕は里香の吐く息が荒くなって来たのを見計らったつもりで、二つの乳首を摘み上げた。
「あっ‥!やぁっ……!!」
僕は最後に里香の秘裂に口を付けて、愛液を吸い出しす。
「ふぁっ…ひっ‥っ…!!」
じゅるっという音が僕の口と里香の秘裂から発せられる。
こんな事をしているなんて変態じみているとは思ったが、その行為が更に二人の興奮を高めた。
「ひゃっ……!!」
里香は目を瞑りながら可愛い声を上げ、身体を反らせて軽く絶頂に達した。
「はあ…はぁ…」
里香はさすがに疲れたといった様子で、力が抜けた身体をただ横たえていた。
その、紅潮したまま目を閉じている顔や何とか落ち着こうとしている里香の仕草に
僕はある種の満足感を満たされると共に、自分の中で更なる欲求が鎌首をもたげて来るのがわかった。
もっと里香の気持ちよさそうな顔が見たい、気持ちよくなってもらいたい。僕も一緒に気持ちよくなりたい。
僕は里香を休ませている間、これから『どう』しようか考えていたが、答えが浮かんだので里香に提案してみた。
もちろん、出来るだけ里香の身体を気遣いつつの提案だ。
「里香、大丈夫?」
「うん…」
里香は大分落ち着いた様子でちょこんと座って、返事をしてくれた。
上半身が前がはだけたパジャマだけで、その下の隙間から愛液に濡れそぼった秘部が見え隠れしている。
僕は里香の痴態とも言える姿に興奮するのを抑えながら、里香に提案をした。
「里香? ちょっと頼みたいことがあるんだけど良いかな?」
里香は頷いた。提案しよう。
多分、こんな里香で無ければ聞いてすらくれないだろうおねだりを。
「…じゃあ里香に、僕の○○○を咥えてもらいながら、里香は自分で●●●●してもらおうかな?」
「……っ!!」
僕のとんでもなくいやらしいであろうおねだりを聞いた里香は、
かなりの恥ずかしさと少しの怯えが入り交じった表情になる。
里香には悪いけど、そういう顔に僕は男心がくすぐられてしまった。
案の定、里香はなかなか聞き入れようとしない。
「そ、そんな事出来る訳ないでしょ…この変態! ドスケベ! ケダモノ!!」
里香に罵倒される。元気で何よりだと思う。
上手く行くかはわからないが、僕はそのまま揺さぶりをかけ続けてみる。
「い、いや俺はそんなつもりで言ったんじゃ無くて…
ほら、前は俺が里香にしてもらってばかりだったから、今度は工夫しようと思って…」
「バカ! 変態! …どうせ裕一は自分が良ければ良いんでしょ〜?
絶対にやってあげないからね! そんなの!」
里香は今度拗ねたような顔になって渋り出す。
これでは何かまた僕が里香に謝っている様な状況だが、今の僕には交渉の材料があった。
「…里香、だったら何で前の時あんなに一生懸命に俺にしてくれたの?
「あ、あの時は成り行きで…」
里香の語調が弱まる。
「でもさ、俺は嬉しかったよ」
里香の眉がぴくっと動いた。
「それに今日だって里香、凄く可愛かったよ?」
里香の顔が、異性の事でドキッとした女の子の顔になる。
「な、何よ裕一………もう…!」
里香の心が揺れているのがわかった。
すると里香は、僕の目の前で前と同じような四つん這いの様な体勢になって僕を促してきた。
その目には恥ずかしさと、僕への愛おしさが宿っている気がして嬉しかった。
「…ほらっ、少しは感謝してよね?」
僕は、里香に心から感謝しながら下半身のパジャマと下着を脱いでいた―――――
――――結局、なんだかんだ言って里香はかなり積極的な女の子なんだなというのが僕の実感だ。
いつの間にか主導権を奪い返されていた。
今晩の里香は前の時の様な手探りをする訳では無く、里香なりに正確なテクニックを使ってきた。
まず里香は、その細く絹の様な白さの指で僕のペニスの包皮をゆっくりと、力を調整しながら剥いた。
少し焦らされながら剥かれているような感じだ。
亀頭が屋上の外気に晒された時、僕はまたペニスに血流が漲ってくるのを感じた。
次の瞬間、里香は僕のペニスを軽く口に含むと、口の中で舌を使い唾液をペニス全体に塗りつける。
甘噛みもされたりして、まるでキャンディの様に舐められ続けた。
しかし、それでそのまま続けるのかと思えばそうでは無く、里香はペニスを口から出していた。
唾液が糸を引いて僕の亀頭と里香の口に橋を架ける。
僕のペニスが里香の唾液に濡れて光っていた。
意外な展開だったので、僕は里香に聞いてしまう。
「えっ…り、里香?」
聞かれた里香の方はこれが答えだと言わんばかりに、
里香の唾液という潤滑液を得て滑り易くなった僕のペニスの包皮を扱き始めた。
里香の右手が、そのやわらかさに見合わない激しい上下運動で僕を責める。
里香の表情には妥協が感じられず、強気さが戻っている様にも思えた。
しかも、スピードだけでは無かった。里香は一回一回包皮を限界までひん剥き、
その後上に上げると言う、ある意味『手加減』の無い仕方だったので、自分の手では味わえない快感があった。
「うっ‥」
僕が思わず射精の前兆に襲われそうになると、里香はそこで剥き返すのをやめ、
僕のペニスを掴み、真ん中辺りでギュッと絞り上げてきた。
「い、いたっ!」
…一人じゃイカせてあげないんだからという里香の小さい声が聞こえた様な気がした。
く見れば里香は四つん這いだった体勢を崩し、どちらかと言えば腹ばいの様な格好になって僕を愛撫している。
そして、里香の左腕は里香の股間の方に埋められ激しく水音を立てていた。
里香はいつからか、ずっと僕への愛撫と自慰を平行して来たのだ。
頼んだのは僕なのに、僕はこの光景にゾクッとしてしまった。
そんな僕を現実に戻すかの様に、今度は里香の左腕が自慰を止め、
右と左、二つの手で僕を責めようとしていた。
見れば、里香は右手にも唾液を自分の唾液を塗りたくっていた。
「…変態」
里香はそう静かに言った後、僕のペニスの包皮を左手で根本まで剥ききると、
右手で輸精管など様々な管がビキビキになっているペニスを人差し指でなぞり、
最後に唾液と先走りにまみれた亀頭に、同じようなものにまみれた右手の手のひらで触れる。
里香はそのまま手の平や指を使って直接僕のペニスを責め立てて来た。
「くっ…うぁっ…!」
里香の白い手のひらや細い指が、僕の亀頭やエラを隅々まで蹂躙していく。
里香はたまに鈴口までを指で愛撫してくる事がある。
「い、いたっ…」
しかも根本に包皮を集められているせいで、痛いほど僕のペニスはそそり立ってしまっていた。
包み込まれるのとは違う、神経が直接犯されている様な感覚だ。
自分の包皮や手では到底味わえないハードな手コキだった。
僕の理性は削ぎ落とされて、今はただ里香の手で達したいと思うだけだった。
しかし僕が絶頂の予兆を感じる度に、里香は愛撫を弱めたり、
先ほどの様にペニスを絞り上げたりして結局は寸止めされてしまった。
良く見れば里香は四つん這いだった体勢を崩し、どちらかと言えば腹ばいの様な格好になって僕を愛撫している。
そして、里香の左腕は里香の股間の方に埋められ激しく水音を立てていた。
里香はいつからか、ずっと僕への愛撫と自慰を平行して来たのだ。
頼んだのは僕なのに、僕はこの光景にゾクッとしてしまった。
そんな僕を現実に戻すかの様に、今度は里香の左腕が自慰を止め、
右と左、二つの手で僕を責めようとしていた。
見れば、里香は右手にも唾液を自分の唾液を塗りたくっていた。
「…変態」
里香はそう静かに言った後、僕のペニスの包皮を左手で根本まで剥ききると、
右手で輸精管など様々な管がビキビキになっているペニスを人差し指でなぞり、
最後に唾液と先走りにまみれた亀頭に、同じようなものにまみれた右手の手のひらで触れる。
里香はそのまま手の平や指を使って直接僕のペニスを責め立てて来た。
「くっ…うぁっ…!」
里香の白い手のひらや細い指が、僕の亀頭やエラを隅々まで蹂躙していく。
里香はたまに鈴口までを指で愛撫してくる事がある。
「い、いたっ…」
しかも根本に包皮を集められているせいで、痛いほど僕のペニスはそそり立ってしまっていた。
包み込まれるのとは違う、神経が直接犯されている様な感覚だ。
自分の包皮や手では到底味わえないハードな手コキだった。
僕の理性は削ぎ落とされて、今はただ里香の手で達したいと思うだけだった。
しかし僕が絶頂の予兆を感じる度に、里香は愛撫を弱めたり、
先ほどの様にペニスを絞り上げたりして結局は寸止めされてしまった。
「り、里香ぁ…」
僕が何とか言うと、里香はちょっと意地悪な笑みを浮かべて僕に返して来た。
「なぁに裕一? これから、私にどうして欲しいの?」
「…その‥イキ‥たいです」
僕の小さい声が聞こえなかったのか、それとも僕を苛めたいのか、
里香はいじらしく聞き直してきた。
「もっとはっきり言ってくれないと、わかんないな〜?」
僕は、里香の手玉に取られている事は承知で言わざるを得なかった。
「…り、里香の口で、僕の▲▲をだ、出させて下さい…」
情けなかったと思う。でも里香が喜んでくれれば僕に不満は残らないだろう。
里香は嬉しそうににやけると、僕に話しかけた。
「…裕一ってやっぱり変態だねぇ? こんな時でも口でして欲しいなんておねだりするなんて」
反論の言葉が見つからず、僕は情けない顔をして黙りこんでしまう。
そんな僕を察してくれたのか、里香は笑ってこう言った。
「そんな顔をしないでよ、ゆういち」
里香はそれだけ言ってから再び左手を自らの濡れそぼった秘部に埋め、口に僕のペニスをくわえ込んだ。
そして、前の時よりも密着感の高いフェラチオで僕と里香自身を昂ぶらせていく。
里香はその細い左手で自分を責め続け、僕のペニスを隅々までしゃぶり尽くそうとする。
「里香ぁっ…!!」
時には舌で激しく舐め回す様に、時には甘噛みと組み合わせて噛みほぐす様に、
時には中身を鈴口から吸い出す様に、時には口内と舌と歯茎とで上下に扱き上げる様に。
もう僕は何度も絶頂の前兆に襲われていたが、今度は本当に駄目そうだ。
ペニスがまるで胎内にあるかの様な錯覚さえ覚える。二つの陰部からの水音がいやらしい。
僕は里香に自分の限界を告げた。
「り、里香…俺もう…」
すると里香がそのまま愛撫のペースを早め、一気に僕達を絶頂に追いやろうとする。
フィニッシュのつもりなのか、里香は最後に大きく首を振って僕のペニスを扱き上げた。
耐えきれずに煮えたぎった僕のペニスが暴発を起こす。
「ぐっ…!」
僕の何度も寸止めされて限界に近かったペニスから、
夥しい量の精液が里香の口内に、ドクドクと力強く脈打ちながら送り込まれていく。
僕の脳にはその量に比例した絶大な快感が押し寄せる。
里香はそんな量の精液を、やや辛そうに喉を鳴らして飲み込んでいく。
恐らく、むせ返る様な味と匂いのドロドロとした熱い液体を、
僕が頼んだからこそ飲んでくれているのだろう。どこか申し訳ない気分にもなった。
よく見ると、里香の表情は快感にも耐えている様な、そんな顔をしている。
もしかしたら同時に里香も自慰で絶頂に達していて、イキながら僕の精液を飲んでいるのかも知れない。
そうかは結局わからなかったが、かなり長めの射精にも終わりが来て、
里香は僕のペニスをやや苦しそうな顔をして口から引き抜いた。
少しの精液と、唾液の混じった物が糸を引いた。
二人とも床にへたばって目を瞑り、荒い息を整えようとした。
その間に、僕は急に里香の身体が気になって声をかけてみる。
激しい運動は里香の命取りになってしまう可能性があるからだ。
「…里香、大丈夫?」
その声を聞いた里香は顔を上げた。その口元には少し僕の精液が付いていた。
里香は気にせず、微笑んでくれながら返事をしてくれた。僕は思わずドキッとしてしまう。
「あぁ〜〜…苦かった…また溜めすぎだよ…
裕一、飲まされる女の子の気持ちも考えなさいよ!」
「ごめん…」
僕が罰の悪そうな顔をすると、里香は僕の心遣いを汲んだのか話しを切り替えた。
「あ……うん、大丈夫 多分発作は起きないよ」
「よかったあぁ〜…」
僕は里香の返事に大袈裟に反応してしまったが、本当に安心した。
半月の月明かりに映える元気な里香を見ていると、心が暖かくなる。
そんな風に僕が安堵していると、今度は里香が頼み込む様な、それでいて艶っぽい表情になる。
その顔を見ると収まりかけた僕の中の何かが、またドロッと蠢いた。
「あのね……ゆういち…私…もうこれだけじゃ、嫌……」
僕は里香が何を求めているのかわかった。それは、僕が求めているモノと同じだからだ。
次の瞬間、僕は里香の上半身を覆っていた最後の衣類である、
汗に濡れて女の子の甘酸っぱい体臭がするであろうそのパジャマをするりと脱がし、
一糸纏わぬ姿になった里香の身体に正常位で迫った。
「え、何…?」
汗ばんだ顔に疑問符を浮かべる里香に僕は答えずに、
再び血流が漲った僕のペニスを、里香の秘裂にすんなり飲み込ませて行く。
「っ‥!」
程良く紅潮した里香の口から喘ぎ声が漏れる。
僕はその淫らな里香の姿に、そのままペースを無視して激しく腰を振って
射精したくなる欲求をなんとか堪えつつ、また里香に提案をした。
里香は快感に耐えている事を覗けば、まるでまな板の上の鯉の様な顔をしていた。
「…あのさ里香、これから俺の言うとおりに体位を作ってくれないか?」
里香は少し不安そうな顔をしたが、次には強がってみせてこう言った。
「変な事しないでよ…裕一」
「大丈夫だって! これは気持ちい良いし、里香にあまり負担はかからないんだよ」
そう言い終わった僕は、里香に向き合った体勢で挿入したまま文字通り、手取り足取りで体位を作る。
僕も不安だったが、間違っても里香に迷惑をかける訳にはいかないので、必死になってしまった。
まず里香に僕の両肩を両手で掴んで持ってもらい、両足は僕の腰に巻き付けるようにする。
僕は里香の小さくて可愛いお尻を両手で抱えるように下から持ち、そのまま立ち上がった。
里香が僕よりも細いから出来た体位だ。俗に言う駅弁スタイルの体位である。
里香の体重と万有引力の効果で、里香の胎内がかなりの密着度で僕のペニスを押し包んで来た。
挿入していると言うより、飲み込まれて行くと言った方が良いかも知れない。
逆にその感覚は、里香にとって前回の正常位を遙かに上回る挿入感を生んだ。
二人の身体が一つに繋がる。
「あっ………!」
里香の形の良い唇が色っぽく開かれ、小さな嬌声を生む。
自分の愛液で、良い具合に犯されやすくなった胎内を一本の熱いモノが下から貫いていて、
それに激しく胎内と自分の精神が反応をして更に強く締め付けてしまうという感覚だ。
僕はそんな里香をもっと恥ずかしがらせようと思って、耳元で言ってやった。
「…ほら、この体勢はキクだろ?」
軽く腰を突き上げるだけで、里香の表情が悦びと恥辱に歪む。
顔を見られながらだと余計恥ずかしいらしい。
「ば、ばかぁ…や、めてよ…」
胎内の密度がきゅっと上がるのがわかった。
もう二、三回腰を突き上げてやる。胎内は凄い締め付けだった。
「里香のそういう強情な所、好きだな」
「ふあぁぁっ……!」
里香はこういう風に押し切られると弱い様だった。
僕はまた調子に乗って少し里香を苛めてしまう。
「…じゃあ、里香がやめてって言うなら俺から動くのはやめるよ」
僕はそう言って、腰を突くのをきっぱりとやめる。
すると里香は、切なげな表情で自ら少しずつ腰を振って来た。
里香の腰が切なげに揺れる度に、長い髪も揺れた。
「ゆういちぃ……」
今度は向こう側からの高い密着性を持った上下運動に、僕のペニスがかなりの快感を受ける。
里香の胎内は暖かく、情熱的に僕のペニスを扱き上げた。
「くっ…!」
僕まで喘ぎ声を出してしまう程だった。
しかし里香はそれでは満足出来る訳が無いと、あくまで僕に懇願する。
半開きの口の端から色っぽく唾液が垂れていて、かなり煮詰まっているようだ。
「ゆういち…もう‥焦らすのやめてよぉ…」
確かに、焦らしすぎるのは里香の心臓にも良くない。
男でも腹上死というのがあるのだから、気を付ける必要がある。
僕は、ちょっとだけ条件を付けて里香を解放してあげる事にした。
「それならさぁ、里香がちゃんとナニをどうして欲しいのか言ってくれたら、
俺も一緒にしてあげても良いよ?」
「そ、そんな…」
里香は少し躊躇った後、必死に言葉を紡いで僕に懇願した。
「…ゆ、裕一の○○○で、私をっ、イカせて…下さい…!」
僕の中の何かが、僕を支配した。
その時の里香の表情や口調は信じられない程普段の里香とギャップがあって、
僕は里香に返事をする間を自分で我慢することも出来ずに、激しく腰を突き上げていた。
痕が付いてしまうでははいかと思うほど強く、お互いの身体を掴む。
「ひやぁああっっ!」
里香の嬌声が、僕の荒い息が、淫らな水音が、肉と肉の悦びの声が一つとなって、
誰もいない屋上に木霊する。
「ゆういちぃ! ゆういち!」
その光景の目撃者は、夜空に浮かんだ星々と半分の月だけだった。
もはや里香は言葉になる声を発していない。
「……っ〜〜!!」
僕はふと、なぜこんな女の子が僕より必ず早く死ななければならないのだろうと思った。
今だって里香の心臓はちゃんと動いていて、身体は暖かい。
性格は悪いところもあるけれど、本当に可愛いんだ。
僕はそんなやるせ無さを振り切る様に、ただ里香の腰を突き上げ続けた。
里香も積極的に、薄らぐ理性の中でその小さな腰を振り始め、
僕のペニスが溶かされて飲み込まれてしまいそうな感覚すら覚える。
時折、深い挿入のお陰で僕のペニスが里香の子宮口を抉った。
ごりごりっとした感覚が、僕と里香に更なる快感をもたらす。
それが引き金で更なる胎内の締め付けと、絶頂の予兆が生まれる。
「ひやっ…!! 奥までっ、裕一のが来てるよぉ…」
たまに僕が腰を振りつつ里香の耳朶を口に含んだり、舌まで絡むキスをしている内に、
里香が遂に限界を訴えて来た。快楽に歪んだ顔に、切なげに涙を浮かべている。
「ゆう、いち…わたし…もうイッちゃうよぉぉ…」
僕も、もう限界だった。身体や心の奥底に溜まったモノが吐き出される場を求めている。
僕は里香に伝わるよう頷いて、最後に里香のお尻を掴んでいる両手を引き寄せる様にして、
僕のペニスで里香の最も奥を突き上げた。里香も丁度腰を下の方に振っていたので、相乗効果が凄まじかった。
「うっ……!!!」
劣情も、愛おしさも、切なさも、全てを精液と一緒に里香の胎内に吐き出した。
まるで意識がショートしてしまいそうな感覚に、僕は体位を崩さないよう必死に耐えた。
前戯のときよりも遙かに多い熱い白濁液が、同じように熱い里香の胎内を満たしていく。
続いて里香が絶頂の高みに達する。白濁液で満たされた胎内が激しく縮まる。
里香は最後に自分を忘れてしまうかの様な声をあげる。
涙目を瞑って、僕の背中に短めの爪を立てた。血が出てしまっているかも知れない。
「いっ、ふぁ、ひやあぁぁぁ…!!」
里香が絶頂に達したのを確認した僕は、腰が抜けてしまいそうになるのを何とか我慢していた。
僕は、結合部にまで熱い自分の精液が流れて来るのを感じながら、
薄らぐ意識の中で偶然視界に入った半分の月を見ていた――――
――「里香、大丈夫?」
気遣って僕に手を繋がれつつ、消灯後の廊下を歩いて病室に向かう里香は強がってこう言う。
「大丈夫大丈夫って、何回も聞かなくても良いわよ…」
もちろん僕達はちゃんと服を着ていて、屋上での行為の痕跡は全て隠滅した。
ちなみにジュースはどうしたのかと言うと、里香が今左手に持っている。
普段の、日常の里香が戻って来たような感じだが、僕はやはり心配だった。
「でもさ…」
僕が続きを言いかけた時、里香がそれを遮った。
「ごめんね…」
「え?」
「…勝手に巻き込んで…それに…」
いや、僕も里香との行為を拒否しようと思えば出来たのに
そうしなったからこそ里香を責める気なんて毛頭無い。
その後、里香がちょっと恥ずかしげな顔になって言葉を続けた。
「背中に‥その…爪立てちゃってごめんね。 痛かったでしょ?」
思わずちょっと笑ってしまった。
僕はそんな気遣いをしてくれる里香が可愛かったので、明るく返した。
「ああ、そういう事か! そりゃあ痛かったさ。
…じゃあさ、今度は里香が俺にジュース奢ってくれよ?
そうしたら許してあげる」
僕の言葉を聞いた里香はプッと吹き出した。
「笑うなよ里香!」
「あはは! …まぁ奢ってはあげるけど、紙コップの方だよ?」
「…ケチだなぁ〜」
僕のその一言が、里香を拗ねさせる原因になった様だ。
「ケチでも良いですよー! ふん!」
そんな話しをしている内に、僕達は里香の病室の前まで来た。
里香は僕の手をほどいて、ガチャリとドアを開けた。
次の瞬間、里香は僕の正面に立って、軽いキスをしてきた。
突然、僕の脳に甘酸っぱい感覚が走る。
僕が何秒間か面食らっていると、里香がドアの隙間から可愛い顔を覗かせてこう言った。
「…これなら、紙コップのジュースでも割りに合うでしょ?」
「…ありがとう、里香」
「ふふ、じゃあおやすみなさいだね 裕一」
里香が微笑んで、僕も微笑み返した。
「おやすみ、里香…」
僕が里香にそう言うと、里香は静かにドアを閉めた。
僕は里香の病室から名残惜しくさ帰る事にした。
僕は自分の病室に向かって歩きながら、消灯された廊下の窓の外にふと目をやると半分の月が空に輝いていた。
その輝きに、明日も里香が元気であります様にと、僕は心から祈っていた。
終わり
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