陽もだいぶ傾いて、夕暮れといったところか。
僕は2週間ぶりの自慰に浸っていた。
病室なんかでやったら誰かに見つかってしまうんじゃないか・・・なんてことは考え付かなくなるほど、
僕の気持ちは昂ぶっていた。なぜだろう?

思えば、今日も里香と散歩へ行こうといつものように彼女の部屋に行ったとき・・・

部屋の前まできて、ノックをしようとした瞬間、扉の向こうから声が漏れてきたのだ。声にならない声が。
僕は混乱した。いったい誰が「こんな」声を?・・・しかしここは里香の病室。そこにいるとすればただひとり、
「里香・・・」
1分ほどその場に立ち尽くしていた。もっとも、僕にはそれがとても長く感じたのだが。
声は最初に聞いたのが最後だった。となるとあの時達したのだろうか・・・

それにしても里香が・・・・

当然彼女も僕とおなじ17歳で、ちょうどその頃の連中なんて考えることは同じだった。
でも僕には、同年代の女の子がそういうことを実際にするということが、いまいち考えられないのだ。
里香にしても、あるいはみゆきにしても・・・。
男って生き物は、多分無意識のうちに、女の子にそういう「清らかさ」みたいなものを抱いてしまうのだろう。
でも、人間の3大欲のひとつは「性欲」だ。別におかしいことじゃないんだよな・・・。
だから里香だって・・・あ、でもいったい何を考えながら行為に及んでいたのだろう?もしかして・・・

扉の前で突っ立って考え事している姿なんてやっぱり不自然なのだろう。ふと横に目をやるとお婆さんと目があった。
とりあえず笑ってみたが、これがまた自分も分かるくらい不自然だった。
お婆さんはそんなことは気にしないで、また歩き出していった。

深呼吸して、落ち着いて、ノックをしよう。
見てしまったことを悟られないように、冷静に。
ノックをして、「里香、入るぞ。」
「裕一?・・・いいよ。」
扉をくぐる。そこにはいつものように里香がベッドにいる。
「・・・遅い。」
「え?」
「3分も過ぎてるじゃない。時計くらいよめるでしょ?」
な、何を言ってるんだろう、里香は。3分前といったら、まだ彼女は・・・。
と、ここで二つの考えが浮かんだ。
あの里香のことだ。何かと理由をつけて僕をしかりつけたいのかもしれない。
僕が怒られているとき(亜希子さんに)の顔を見る里香は、なぜかいつも笑顔だ。
本当に性格悪いよなぁ。そんなに僕の困った顔を見て楽しいのだろうか?

もうひとつの考え。里香は本当は僕にあの光景を見てもらいたくて、そしてそのまま・・・・
・・・っと、これは違うか。
「裕一・・・どうしたの、ニヤニヤして。」
「え?・・・いや、ぜんぜんそんな顔はしてない!」
顔に出てしまっていたのか。これはまずい。妙に鋭いからなぁ、里香は。
「それよりも、はやく散歩に行こうぜ?」
「・・・うん。」
いつものように彼女の手をとる。
その小さくて綺麗な手に、いつもと違うぬくもりを感じた・・・・気がした。
散歩はなんら変わりなく終わった。
いつもどおり・・・だけど僕は興奮しっぱなしだった。
落ち着こうなんて口だけで、ずっとさっきのことが忘れられなかったのだ。
あのときの里香の声と、姿(これは僕の勝手な妄想)が頭の中でループ再生されて、止まらない。
当の里香はいたって普通。これじゃ、僕一人だけオドオドしててみっともないじゃないか。

その後、部屋で喋っていたら、
「里香、診察にきたぞ・・・って、クソガキは邪魔だ。さっさと自分の病室に戻れ。」
・・・一方的に追い出されてしまった。扉を開けるとき、
「今日の予定でしたっけ?」
「ん・・・あぁ、まぁな。」
という会話が耳に入ったので、すぐさま確信した。
あのバカ医者め・・・・・・。
でも、「今日」に限ってはよかったのかもしれない。
僕もそろそろ我慢の限界だったのだ。いつボロが出てしまうかわからない。
気持ちが冷め切るどころか、ますます膨れ上がって、病室に戻ってきたのだ。

・・・とまぁ、こんなところだ。
ついに欲望を抑えられなくなって、自慰にはしってしまった。
抑えきれない、いや、抑えたくない。一心不乱に手を動かし続ける。

ひとつの足音が近づいてきているのに気づかずに・・・。


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