「よう、十代。」
「…ああ。…何か用なのか?」
目も合わせずに、そっけない態度の十代。
異世界から帰ってきて彼は変わった。
けれど、俺を拒絶するなんて。何があったって、それだけは変えさせるものか。
「上がって話しするぐらいいいだろ〜?…もうすぐ、留学期間も終わるんだ。
そしたらもう、簡単には会えなくなっちまうんだし。」
悲しそうな風を装って言えば、十代は小さく、入れよ、と呟いた。
今にも溜息でも吐きそうな、さもしょうがないといった様子だった。
さっさと背を向けて部屋に戻った十代に心の中でほくそ笑んで。…入り口近くに無造作に置かれていた、空の花瓶に手をかけた。
振り上げた花瓶は、いとも簡単に十代の頭に当たり砕け散った。
ちょっと意外だった。てっきり避けられると思っていたから。(勿論当てるつもりで振り上げたのだけれど)
それとも親友の自分がそんなことをする筈ないとでも思ってくれていたのか。だとしたら少し嬉しい。
「っ、ぐ…!ヨハ、てめ、何すんだよ…!」
「ああ、ごめんな十代。」
我ながら感情の篭っていない声だなと思う。でも心の中はすげえ興奮してる。聞かせてやりたいな、今の俺の心臓の音!
蹲る十代の背中を蹴飛ばして、うつ伏せに転がす。
いてえだの何だのわめく十代を無視して、十代の体に跨って押さえつける。
それでもなんかまだじたばたしてるから、俺のベルトで両手を後ろ手に縛ってやった。あ、痛そう。
「暴れるなよ、十代〜。」
「てめえ、何言ってやがる!こんなこと、されて…!暴れないほう、が、おかしいっての!!どけよ!!!」
乗っかられているせいで息が苦しいのか。途切れ途切れに、けれど力いっぱい十代は叫ぶ。
でも、止めてなんてやらない。俺を見ないお前に、分からせてやらないといけないんだから。
…なあ、十代、お前が悪いんだぜ?
「ヨハン、なあ、痛い、…っ、手、痛い…!」
「なんだよ、もうギブアップかあ?まだこれからも〜っと痛くなるってのにさ。」
上体を傾けて十代の耳元でそう囁けば、刺すような視線が返された。
あの眩しい笑顔も好きだけど、こういう反抗的な目もたまらない。
背中から、手を回して腹から、手を服の中へ侵入させる。吸い付いてくるような感触に、求められているような錯覚を覚える。
平らな胸まで手をやると、ひきつった声を上げて余計暴れだす。だから無駄だってのに。
ちらちら見え隠れするうなじにすごいそそられる。息吹きかけて、舐めてやったら凄い震えてんの。可愛いな。
「なんで、だよ…!なんで、こんなことすんだよ…!?」
「十代のことが大好きだからに決まってるだろ〜?どうして分かんないかなぁ?」
「っ、ヨハン…!」
ズボンごと下着をひっぺがそうとすると、いよいよ危機感を覚えたのか、十代の抵抗が激しくなる。
「触るな!…ヨハン、なんて・・・!ヨハンなんて、だいきらいだ!!」
―――涙声でそう叫んだ十代に、自分の中の何かが切れるのを自覚した。
十代の後ろ髪を掴んで…そのまま頭を床に打ち付ける。何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。
どうして。どうして分かってくれないのかな。
ふと、血のにおいを感じて手を止めた。悲鳴もいつの間にか、聞こえなくなっていた。
ぐったりしている十代が流石に心配で、仰向けに転がす。ちょっとやりすぎたかな。でも、これも十代の為なんだから、仕方ないよな。
散々床に打ち付けられた額には血が滲んでいて、形のいい鼻からは盛大に鼻血が出ていた。
「…、…っ、う…。」
「ごめんな、ごめんな十代。痛かったよな?ごめんな。」
顎から鼻へ。零れた血を辿り舌を這わす。猫みてぇだ、俺…なんてぼんやり思った。
当然血だからそんなに味はしない。ちょっと鉄っぽいけど。でも、このまま零しとくのはもったいないよなあ。
止まらない血を舐めながら、手を後蕾に伸ばす。丁度力が抜けてたから、まず中指を突き刺してかき回す。
抵抗ができないのをいいことに、そのまま人差し指…次いで薬指まで入れたところで、十代の身体が揺れた。
「……だ、…い、やだ……、」
うわごとのように、けれど確かに拒絶する十代。
血塗れの顔、焦点を結ばない瞳。…それでもいい、俺はお前を手に入れる。
3本の指で中を探れば、十代が微かに身を捩る。あ、とかう、とか、言葉にならない悲鳴が酷く愛おしい。
ああ、十代。大好き。大好きなんだよ、十代。大好き、大好き、大好き、大好き、大好き、大好き!!
少しずつ、けれど確実に解れてきた中に、笑みが浮かぶのを自覚する。きっと、いい笑顔だ。
入れていた指を抜いて、十代の片足を、己の肩に乗せる。
足を大きく開かれた体勢に、十代が言葉にならない声で訴える。やめてくれ、と。
こちらも言葉ではなく笑顔で返す。駄目。やめてなんかあげない。
「―――っ、あ、あ、あ゛あ゛あ゛っっ、うあああああああああーーーー!!」
掠れ、裏返った悲痛な声。それでも確かに心が躍る。ああ、十代は今この瞬間、確実に自分のものだ!!
仰け反った喉元に、肉食獣が獲物の息の根を止める時みたいにしてかぶりつく。
牙を突き立てたまま腰を動かせば、また声が上がる。痛い、やめて、助けて。
「…、力抜いて、十代。痛いの、嫌なんだろ?」
「あ、う…!むり……っや、だ!しぬ、しんじゃ、う!!」
今十代にあるのは何だろう。恐怖?痛み?快楽?…どれでもいい、俺が与えているものならどれでもいい!
ねえ十代、俺を見て!!
「ん、あっ、あ…!やめ、っ、うあ…!!」
「っ、う…!」
中に広がる液体の感覚に、十代がかぶりを振る。
「やだ…も、やだ、……いて、抜いて…!」
「…まだ、だよ十代。だって十代、まだイってないだろ?」
腰をゆるゆると動かせば、十代の瞳が絶望に見開かれる。その時の十代の顔を、俺はきっと忘れない。
だってその時十代は、「俺をみて」くれていたんだから!
「今度は、優しくしてあげる。」
鼻先に啄ばむような……幼い、純粋なキスを一つ。
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あとがき。
メッセでほうろさんとお話してたときに発動された宿題。ヨハ十ERO。
初っ端花瓶とかそれどんなサスペンス劇場?
てゆうか色々詰め込みすぎたよね。でも鼻血は萌えだ。譲れない。
(サイトアップ/08.02.01)