誰に謗られようとも構うものか。
…俺は。十代を、愛している。これだけは誰にも否定させない。俺だけの、真実だ。
十代を、ベッドの上に放り投げる。
分からない、といった表情で十代が見つめてくる。戸惑いを宿した琥珀に、心が痛まないでもない。
けれどここで引いたなら、十代は先程と同じ事を繰り返す。すなわちそれは、十代が己の傍からいなくなるという事だ。
…それこそ耐えられない。
「…にい、さま…?」
「もう一度聞くぞ、十代。…あんな事をして、俺が喜ぶと思っているのか。」
「かあさまが…よろこぶって…だって、にいさまは…にいさまが!」
己が発する怒りを感じ取ったのだろうか。十代はしどろもどろになって言葉を紡ぐ。
いつも自分の意に反することを言われると物凄い勢いで反論してくる十代だが、流石に怖くなったのか。
己の上に覆い被さり、押さえつけてくる兄が、十代にはどう見えているのだろうか。
自分に向けられる悪意を、悪意として十代は感じない。十代にとって、世界は善意でのみ成り立っている。
そんな真っ白な妹を…実の妹を。双子の妹を!自分は今から汚そうとしている。
「俺は喜ばない。」
「にいさま…、ちがう、にいさまは…だってかあさまが、いったんだもん…よろこぶって、だから、だから…にいさまは、よろこんでくれるんだもん…。」
「お前は俺の言葉より、あんな奴の言葉を信じるのか…?」
そっと、耳元で囁く。…十代を、堕とすための言葉を。
「悪い子だな、十代。」
「あ、ああ…!あ、……あ、あ!」
その言葉は、十代にとって、タブーであった。瞳は涙の膜を張り、全身は音を立てそうなほどがたがたと震えている。
悪い子は嫌われる。悪い子には誰も会いに来てくれない。悪い子はずうっと一人ぼっち。それから…それから?
「ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!ごめんな、さ…ごめんなさいい、っ!ごめんなさいごめんなさい!ごめ、なさい…!」
彼女が持つ唯一の贖罪の言葉を、ただただ繰り返す。出来の悪いからくり仕掛けの人形を見ているかのようだった。
時折嗚咽が混じる謝罪に、幾分か覇王の心は満たされた。けれど完全に、ではない。
「そう思うのなら、拒むなよ?」
未だ許しを請い続ける十代に、覇王は口の端を上げた。
そこここに口付けを落としながら、淡い桃色のドレスを剥いでゆく。戸惑いを含んだ、十代の声。けれど拒絶ではない。
現れた小ぶりの胸にも、口を寄せる。ひっ、と微かに息を呑む音。胸から腹へ、舌を這わす。臍のくぼみに舌を入れると、甲高い声が上がった。
そのまま更に下部へ。十代の身体の、一番秘められた場所へ。
「に、にいさ、ま…!ご、ごめんな、さい、ごめんなさい、っ、ごめ、ごめん、な、さ…ご、ごめ…っ、ごめんなさいいいいい!」
しゃくり上げるようにして紡いでいた言葉が、遂に絶叫に変わる。覇王の舌が蜜壺に侵入したのだ。
入ってくる、異物。ぬめりと緩慢な動きが、十代の女としての本能を目覚めさせる。
「あ、う…ごめんなさいっ、にいさま…ご、めんなさい…!にいさ、ま…!!」
顔を両の手で覆い、悲壮な声で十代は啼いた。
舌を抜く。未知の感覚に半ば呆然となっている十代に、覇王は静かに語りかけた。
「お前は、俺の事だけ見ていればいい。」
「…に、さま…?」
「俺の言う事だけ、聞いていればいい。俺の事だけ、考えていればいい。…お前の世界には、俺だけでいい。」
暗示のようなその言葉は、酷く純情な恋にも似ていた。
ぐいと、乱雑に額の汗を拭う。繋がり始めてから、一体どのぐらいの時間が経っているだろうか。
時間の感覚なぞ消し飛ぶほどの熱。妹の体内は何もかもを溶かしつくしそうな程の灼熱をもって兄のものを受け入れた。
「あ…っ、ん…う、うぁ、っ…!」
上がる声は既に掠れていて。涙に濡れた琥珀が、たまらなく愛おしい。
「愛している…十代。」
半ば独白に近い睦言を落として、覇王は十代の中に白濁を吐き出した。
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あとがき。
ERO部分よりも、ごめんなさいをエンドレスリピートな十代のが書いてて楽しかった件について。(救えない)
あんまり、というか全然EROくなんなかったよ…うう、最近裏がスランプかも…。
前編を2月の終わりに上げて、2ヶ月近く放置してたら某hうろさんに怒られたから急いで書いてみた。ごめんこんなんで。
(2008.05.03)